農薬の使用-調製

農薬の希釈液、散布液を準備する際の情報です。

川の水を使用して散布液をつくると、水の中の病原菌等により何か悪影響が出ますか。

はい。悪影響が出る可能性があります。

一般的には農薬の調製に使用する水は井戸水や水道水などの奇麗な水であれば問題ありません。但し、動物ふん等の汚物や家畜ふん堆肥で汚染された水の場合は、O157等の有害微生物のリスクがありますので、そのような水は使用を避ける方が好ましいです。河川水を作物に散布したことに起因する食中毒の発生が問題となる可能性はまれですが、2018年には生産者の使用水が汚染されていたとは断定されていないもののサンチュが汚染原因とされる複数の病原性大腸菌O157の食中毒事案がありました。なお、河川水を利用する場合でも酸性やアルカリ性の強い水や、透明度の低い水は、農薬成分が分解や吸着を受けて効果が低下する可能性がありますので注意が必要です。

参考文献
中公新書「感染症 広がり方と防ぎ方」井上栄 著

また、農林水産省作成資料の「栽培から出荷までの野菜の衛生管理指針」では栽培に使う水の管理ポイントとして以下が記載されています。

  • 使用前に濁りや異臭がないことを確認し、これらに異常があれば異常のある間は使わない。
  • 水源、水路等やその周辺を定期的に点検し、適宜、整備・清掃する。
  • 収穫1週間以内の生で食べられる野菜(収穫部位)※1に対しては、安全性を確認した水※2、飲用に適する水等を使うよう努める。
    • ※1皮を剥いてから食べられるなど、直接可食部に水がかからないものは除く。
    • ※2検査で大腸菌が 100 個/100ml(目安)以下であることを確認した水。
  • やむを得ず、これら以外の水を使う場合には、できるだけ収穫まで日を空ける。

(2021年1月)