農薬は安全?

農家への安全対策、使用状況の把握などについて

登録が失効した農薬は使ってはいけないのでしょうか。使えない場合には、その失効農薬の処理はどうしたらよいのですか。

失効により農薬製造者及び農薬輸入者は製造や輸入、販売はできなくなります。しかし、農薬使用者は登録が失効した農薬でも使用禁止農薬でなければ最終有効年月までは使用して構いません。
不要農薬や空容器などは、農薬工業会の「空容器および使用残農薬の処分についてのガイドライン」に準じて、廃掃法上の問題を生じさせないよう適切に処分してください。

農薬の登録失効には大きく分けて二つの場合が考えられます。

一つは安全性の問題で、法に基づき国が登録を取り消し、製造・販売・使用を禁止する場合です。この場合は、使用者ならびに消費者の安全を守る為に、さまざまな方法でその情報が伝達されますので、絶対に該当する農薬を使用してはいけません。

もう一つは、製造者が(1)売れ行きが悪い、(2)より性能のよい製品への切り替え、等の経済的な理由で自発的に登録を取り下げるか、再評価を申請しない等の場合です。この場合は安全性に問題はないので使用できます。ただし、基本的に有効期限の切れた農薬は使用しないように努める事が、農薬取締法で求められています。

また、不要となった農薬を廃棄する場合は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)に従った処理が必要です。

不要となった農薬や空容器の廃棄処理は農家など排出者の責任です。しかし、農家自身が処理を行うのは実際には困難です。地方自治体やJAの支援のもとに地域共同の取り組みによって回収し、知事の許可を受けた廃棄物処理業者に処理を委託する事になります(野焼きは法律で禁止されています)。

農薬工業会資料「使用済み容器中の付着農薬の除去と空容器の処分について」及び「使用残農薬の管理と処分について」も併せてご覧下さい。

→農薬工業会ホームページ https://www.jcpa.or.jp/user/guideline.html

参考文献
*日本植物防疫協会『農薬概説』

(2023年10月)