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コミュニケーション

<第18回>より効果的な使用(掲載2005年9月)

圃場観察を重視、適期に適剤を

 食の安全・安心への取り組みのなかで、農薬の使用を削減する動きが、これまで以上にみられています。今回は、農薬の使用を少なくして防除効果をあげる方法を解説します。

先ず、効き目が長く、一度の使用で済む農薬に変更することが近道です。該当する薬剤が揃ってきた稲作分野などでは比較的容易ですが、該当する薬剤が少ない果樹・野菜など園芸作物では、新薬の登場に期待するところが大です。

 二つ目は、適期に農薬を使用すること。農薬をなるべく使うまいとして手遅れになる失敗例がみられています。散布適期を逃し、本来なら減らすべき収穫期の近くで増やしてしまうと、食の安全という当初の目的とは逆行してしまいます。防除の適期をつかむには、圃場での観察が重要で、各都道府県の病害虫防除所から出される「病害虫発生予察情報」が参考になります。殺菌剤など予防的に使うものは、感染時期の見つけ方、一度で防げなった場合に、次回以降の防除を、いつ、どんな薬剤で行ったらよいか、抵抗性・耐性菌回避のための薬剤の選び方など解決すべき課題もあります。このための試験研究(エビデンス研究会)が植物病理学会で実施されており、その成果が期待さるところです。

 三つめは、農薬以外の防除手段も取入れ、それらを合理的に組合せた総合的管理(IPMという)をする方法です。IPMはIntegrated Pest Managementの略

 病害虫の防除方法には、(1)耕種的防除(輪作体系や抵抗性品種の利用など)、(2)物理的防除(太陽熱や熱水、防虫ネットの利用など)、(3)生物的防除(天敵昆虫・フェロモン、対抗植物の利用)、(4)化学的防除(天敵に影響しない農薬の利用、局所施用)などがあります。IPMは、これらの方法を合理的に組み合せ、病害虫を撲滅するのではなく、経済的な許容水準以下に管理するというもので、現在いくつかの事例が公表されています。まだ対象病害虫の範囲も限られ、効果も不安定なこと、費用も高いなどの課題もありますが、収量も安定して得られることから、有機農業に比べてより広範囲の農家で実施することが可能なものとして期待されています。

 農家は、情報を収集し、工夫をかさね、労力をかけて、できるだけ農薬の使用を少なくしようと取り組んでいることを消費者に伝え、農産物の信頼性向上に結び付けていくことが必要な時代を迎えています。

((社)緑の安全推進協会 農薬安全相談室長 千野義彦)