一つの農薬に対していろいろな呼び方があるようですが、どうしてですか。
国際機関や農薬登録を担当する農林水産省などが、それぞれの目的に応じて独自に農薬の有効成分に名前をつけているからです。
生物農薬をのぞいて、農薬は化学物質ですから、その有効成分の化学名(化学構造に基づいて付けた名前)で呼ぶのが、最も間違いない命名です。しかし、一般に化学名は複雑で専門家以外には馴染みがなく、極端に長くなる場合もあって、実用的ではありません。そこで、一般名には、①工業及び化学技術上の規格標準化と調整をする国際的機関の「国際標準化機構(ISO)」が推奨する国際的に通用するISO一般名と、②権威のある専門学会により承認された一般名が使われます。その両者が一致する場合もあります。学術雑誌ではこれらの一般名が多く使用されます。
種類名は、日本国内で農薬登録をする際の名称で、一般名に粒剤や乳剤といった剤型をつけた名称です。商品名は販売のためにメーカーが製剤ごとに付けた名前で、試験名は農薬の開発試験段階での名称です。
このように、いろいろな命名がなされているのは、管理するそれぞれの立場の人に分かりやすく、間違いなどを防止するためです。
(2017年4月)