一般向け

農薬ゼミ

知ってるようで知らない、農薬の話。(札幌)

講座プログラム

開催日時

:2019年7月6日(土) 13:00~15:30

第一部

:「農薬とは何か?」
(解説者:浅見 忠男 先生)

第二部

:「農薬の安全性」
(解説者:青山 博昭 先生)

参加者

:248名

今回のお話は、この方たちと。

  • 浅見 忠男 先生の写真

    【パネリスト】
    東京大学大学院
    農学生命科学研究科教授
    農学博士
    浅見 忠男 先生

  • 青山 博昭 先生の写真

    【パネリスト】
    (一財)残留農薬研究所
    理事 毒性部長
    農学博士
    青山 博昭 先生

  • 稲村 英樹 さんの写真

    【生産者】
    石狩地区高級ブランド米
    創出協議会 会長
    稲村 英樹 さん

  • 札幌コンベンションセンター「中ホール」

    【会場】
    札幌コンベンションセンター
    「中ホール」

【司会】 フリーアナウンサー 松田 朋恵 さん

農薬の役割を消費者の方々に向けてわかりやすく解説するセミナー「お母さん、知って安心、家族も安心 やさしい農薬ゼミ」を北海道支部の主催により札幌で開催しました。
第一部「農薬とは何か?」では東京大学大学院の浅見忠男先生が農薬の役割や必要性など、第二部「農薬の安全性」では残留農薬研究所の青山博昭先生が安全性評価の仕組みなどについて解説。さらに石狩地区高級ブランド米創出協議会の稲村英樹さんからは、生産現場でどのように農薬が使われているかなどをお話しいただきました。
そして今回、会場となった札幌コンベンションセンターには託児コーナーを設置。小さなお子様を連れた参加者の方も数多く来場し、大盛況の農薬ゼミとなりました。

会場内
  • 質疑
    応答
  • 参加者
    の感想

こんな質問がありました

Q農薬の基準は国ごとに違うのでしょうか?食の安心安全について日本は厳しい方なのでしょうか? 
<50代男性>

A

浅見先生の写真(小)

浅見先生

農薬の残留基準や安全性を考えるコンセプトはどの国も同じですが、国によって食生活や気候風土などが違うため、それぞれの国に合わせた残留基準を定めています。その結果、各国で農薬の登録方法が少し異なっています。日本で開発された農薬をヨーロッパや中国などの海外で使う場合には、基本的にはもう一度試験をしなければなりません。それは海外で登録された農薬を日本で使う場合も同じです。
「日本の残留基準は甘いのではないか?」と聞かれることが時々ありますが、例えばイギリスでは紅茶の茶葉の基準がとても厳しい。それは日本人の10倍も紅茶を飲むイギリスの人たちに対して、その点を考慮して基準を厳しくしておかなければいけないということです。逆に日本人がよく食べるお米などは、ほかの国々よりも日本の方が厳しくなっています。
このように食べ物の種類によって差異はありますが、農薬の安全性に関する考え方はどの国も同じです。日本だけでなくそれぞれの国々も同様に残留基準は厳しく設定されています。

Q農薬を何度も使用した作物を食べ続けると、何十年後にガンになったり、アレルギー体質になったりしないのでしょうか? 
<50代女性>

A

青山先生の写真(小)

青山先生

まさしくこういった質問に対する答えを見つけるために、私たちは試験を続けています。稲村さんのように農家の方々が基準を守って農薬を使ってくださっていれば、我々が確認した限り、例え何十年と食べ続けてもガンになるようなことはありません。
アレルギーは過敏症のことで、これについては免疫を調べる試験を行っています。一生涯食べ続けてもそのようなトラブルが起こらない許容摂取量と使用基準を定めていますから、心配する必要はありません。

Q市販野菜のほとんどがビニールハウスの中で育てられていると聞いています。この場合、農薬はまったく使用していないのでしょうか?それとも少しは使用しているのでしょうか? 
<60代女性>

A

稲村さんの写真(小)

稲村さん

農薬や化学肥料の投入量を削減した特別栽培の例もありますが、ほとんどの場合は農薬を使っています。ビニールハウスの中で育てる生鮮野菜は、病気や虫が最大の問題なので農薬は欠かせません。もちろん用法・用量は守っています。

Q農薬を使わなかった場合、植物が抵抗物質を生成し、それが人体に影響を及ぼすと聞いたことがあります。無農薬栽培や有機栽培でも抵抗物質が生成されてしまうのでしょうか?また、具体的にどのような影響があるのでしょうか? 
<20代女性>

A

浅見先生の写真(小)

浅見先生

植物は病気にかかるとそれに抵抗するように、色々なメカニズムが働きます。その中のひとつに、菌に対して効果のある物質を作るということがあります。実はその物質に対する毒性試験などは行われていません。ある方が数十種類の植物を調べたところ、半分ほどから発がん性物質が発見されたということがありました。それが農薬から出たものなら絶対に使用は認められません。しかし、その物質は天然物であり、すべての植物を調べるのは種類が多いため不可能なので、調査は行われていません。
菌の発生を抑える農薬を使えば、植物が未知の物質を生成するのを防ぐ効果があり、農薬を使わない場合よりも期待できると言えます。その場合、今度は農薬と未知の物質のどちらが心配なのかということになりますが、少なくとも農薬は安全性が担保できるように使われています。もちろん植物が生成した未知の物質も、少し食べただけですぐにガンになるというものではありません。農薬も未知の物質もどちらも微量なので、心配する必要はないと思います。

Q樹木や果物に農薬を散布していますが、マスクをせず作業して、農薬を吸い込んだり、衣服についたりしても大丈夫でしょうか? 
<60代女性>

A

青山先生の写真(小)

青山先生

最近の農薬は虫や細菌に効いてもヒトには効かないものがほとんどです。これからも用法・用量に注意して農薬をお使いください。その際には、ラベルに記載されている注意事項に従ってマスクや手袋を着用して、安全使用に努めていただきたいと思います。

参加者の感想

ゼミを聞く前は、農薬は人体に有害と思っていましたが、お話を聞いた後は直接、害がない事がわかり勉強になりました。
(女性、60歳以上、専業主婦)

食料生産への農薬の必要性と農薬の安全性評価の具体的方法がよく理解できました。
(男性、60歳以上、会社員/公務員)

農薬について基本的なことが学べてよかったです。農薬は農家だけではなく、消費者も正しい知識が必要なことであると思いました。
(女性、60歳以上、自営業/自由業)

とてもおもしろかったです。農薬についての知識がなく、食の安全をただイメージだけでとらえていました。これから科学の視点を持てるよう勉強しようと思います。
(女性、50代、専業主婦)

安全性について、過度な不安は持っていませんでしたが、具体的な安全の担保のための試験等について理解できました。“水もゼロリスクではない”という例もあったように、イメージや情報の切り取り方にまどわされないようにしていきたいと思いました。
(女性、20代、会社員/公務員)

ただの水でさえ言い方によっては、危険なものになる。正しい知識を得ることが大切だと思った。
(女性、30代、会社員/公務員)

とても勉強になった。リスクの有無ではなく、大小で考えるべきだということは、他の人にも知らせてあげたいと思った。
(女性、30代、専業主婦)

人間に薬が必要なように、植物にも病気にかからないための薬として考えることができました。クイズで参加型になっているゼミも楽しいと思いました。
(女性、40代、パート/アルバイト)

残留農薬に対する不安は少し解消されました。農薬について、色々学ぶことができ、よかったです。参考になりました。
(女性、30代、専業主婦)

今日学んだことを家族にも伝え、毎日スーパーで買う時に思い出し、ありがたく頂いていきたいです。
(女性、40代、会社員/公務員)

学校でも農薬について勉強する授業があればよいと思いました。
(女性、専業主婦)

このような機会を多く開き、多くの人に知ってもらえたらと思います。
(女性、60歳以上、会社員/公務員)

今回のお土産

「当別町の農産物を使用した加工食品各種とブロッコリー」

よくある質問

農薬工業会では、消費者の皆さんに農薬のことを理解してもらうため「農薬ゼミ」などを開催しています。
そこでは毎回様々な質問が寄せられています。その中から、「よくある質問」についてお答えします。