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農薬の作用メカニズム

<第17回>除草剤の作用メカニズム(掲載2005年8月)

植物の光合成や成長を妨げる

 殺虫剤(第12回)および殺菌剤(第13回)の作用メカニズムについて説明しました。今回は、除草剤の分類と作用メカニズムなどについて説明します。

■ 使用場面から見た分類

 使用場面に適した除草剤を選び、作物に薬害の出ない効果的な使い方をすることが大切です。
以下に、使用場面から見た分類を示します。

  1. 除草剤は、人が栽培する植物(以下作物と略)に対して影響のない除草剤(選択性除草剤)と、雑草も作物も枯らしてしまう除草剤(非選択性除草剤)とに分けられます。非選択性除草剤の中には、人が栽培する植物のない場面で使用される除草剤(農薬登録のないものもあります)もあります。農薬登録のない除草剤は作物には使えません。
  2. 除草剤には、既に生長した雑草そのものに散布して枯らすもの(茎葉処理剤)、まだ雑草が芽を出さない前に土壌表面に処理して雑草を生長させないもの(土壌処理剤)に大別されます。この二つの性質を発揮させるもの(茎葉兼土壌処理剤)もあります。
  3. 除草剤ごとに枯らすことのできる雑草の種類・大きさは異なります。
■ 作用メカニズム

 殺虫剤や殺菌剤とは異なり、枯らしたい雑草も栽培作物も同じ植物ですので同じように除草剤の作用を受け易いのです。しかし、使用場面を考えると雑草だけを選択的に枯らすことが望ましく、選択性は除草剤を開発する時の重要な条件となっています。

 一般的に植物固有の生理機能に作用する除草剤は、植物と動物とが生物学的に大きく異なるので、動物への影響は小さいといえます。

 さて、植物は空気中の二酸化炭素と水から、光のエネルギーを利用して糖と酸素を作ります。植物はこの光合成産物と、根から吸収した窒素、リン酸、カリその他の栄養素により生長していきます。光合成または生長のそれぞれの過程を妨げれば雑草は生長できずに枯れていきます。

 現在使われている除草剤を作用メカニズムから分けると以下のようになります(カッコ内はその例)。

 そして、作用メカニズムの違いにより枯れ方の様子、枯れるまでの時間が変わります。

  1. 光合成や呼吸によるエネルギー生成を阻害するタイプ(シマジン、バサグラン、アクチノール)。
  2. アミノ酸、タンパク質、あるいは脂質などの生合成を阻害するタイプ(ザークに含まれるスルホニルウレア系成分、ラウンドアップ、バスタ、ラッソー、ナブ、タルガ)。
  3. 細胞分裂、細胞伸長を阻害するタイプ(トレファノサイド、ゴーゴーサン、クレマート)
  4. 植物ホルモンの作用を攪乱し、植物の生長を阻害、あるいは促進するタイプ(2,4-D)。
  5. 過剰な活性酸素が生じるような条件を作りだし、その酸化力で雑草の細胞を破壊し枯らすタイプ(プリグロックス、エコパート)。
■ 上手な使い方
 使う場所はどこか、対象作物は何か、除草したい雑草は何か、その大きさはどれくらいかなど、使用場面を確認し、最も適した除草剤を選び、その性能を最大限に発揮させる使い方をしてください。

(農薬工業会安全対策委員会事務局 花井正博)