農薬は本当に必要?

農薬に関する法律、指導要綱、社会的役割などについて

「特定農薬」は通常の農薬とどのように違うのですか。

「特定農薬」は農作物、人畜、水産動植物に害を及ぼすことがないことが明らかなものが原材料となっています。一方、通常の農薬は多くの安全性に関する審査をクリアし、防除効果も確認されたものが登録になります。

現在、天敵、エチレン、次亜塩素酸水、重曹及び食酢が特定農薬に定められています。これらは、その原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすことがないことが明らかなもので、指定だけで製造、輸入、販売、使用が可能です。一方、通常の農薬は、防除効果はじめ約30項目の安全性に関する試験の成績を提出し、審査を受け国から農薬としての登録を受けないと製造、輸入、販売、使用ができません。

2002年12月の農薬取締法改正

この改正により、登録のない農薬の製造、販売及び使用が禁止されました。特定農薬(通称は「特定防除資材」)は、この禁止にともなって、農作物の防除に使う薬剤や天敵で安全性が明らかなものまで過剰に規制されることのないように、創設された制度です。改正された農薬取締法第2条では、「その原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすことがないことが明らかなものとして農林水産大臣及び環境大臣が指定する農薬」と規定しています。

なお、「特定農薬」という語句には異議や違和感があるという声に配慮して、「特定防除資材」という通称の使用が決められました。

指定だけで製造、輸入、販売、使用が可能

「登録農薬」は、農薬としての登録を国から受けるにあたって、防除効果はもちろんですが約30項目の安全性に関する試験の成績を提出し、審査を受けパスすることが要求されます。また、登録は製品ごとに、つまり、同じ有効成分でもメーカーが違えばそのメーカーごとに登録を受けなければなりません。それに対して、「特定農薬」は「登録農薬」とは違い個々の製品ではなく、含まれる成分、即ち「重曹」といった成分で指定され、指定だけで製造、輸入、販売、使用ができます。

参考文献
*日本植物防疫協会『農薬概説(2015)』
*農林水産省ホームページ/農薬コーナー/特定防除資材(特定農薬)について

(2017年4月)