農薬は安全?

農家への安全対策、使用状況の把握などについて

米国小児科学会は、農薬の暴露が発達障害や脳腫瘍などを引き起こすと警告しているのでしょうか。

いいえ。米国小児科学会(AAP)は警告をしているのではありません。

米国小児科学会(AAP)「子供の農薬暴露」(2012年)は、農薬暴露が小児に健康被害を起こすという警告ではなく、小児科医には、農薬中毒の理解を深めるための教育の一貫として、農薬製品ラベルの表示事項の理解、および小児が生活する環境下での農薬使用状況を把握することを推奨し、政府には公共政策として、小児科医を含めた医療従事者への教育と支援、農薬暴露を削減するような目標設定、小児への暴露を最小限に抑えるための農薬の散布方法や適正な使用方法の推進、毒性の低い代替農薬の検討、および農薬の安全性を評価し続けることを提言しているものです。

なお、疫学研究では、小児の健康被害の発生要因が農薬暴露による可能性を示唆していますが、因果関係を科学的知見から証明したものでもなく、農薬暴露により小児の健康被害の発生が増加したことを結論付けたものではありません。

現在日本で登録されている農薬については、急性毒性(1回または短期間の内に大量に暴露された場合の毒性)、慢性毒性(長期的に摂取することにより引き起こされる毒性)および小児や妊婦への影響も考慮した複数の毒性試験を実施し、安全性が確認されています。

参考文献
*米国小児科学会の報告について
https://pediatrics.aappublications.org/content/pediatrics/130/6/e1757.full.pdf

(2021年1月)