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農薬の安全性はどのようにして確かめられているのですか。
農薬は、ヒトに対する安全性や環境に対する影響などの様々な試験が実施され、その結果について審査を受けて登録となります。さらに、新たな安全性等に関する試験を求められた場合には、追加実施します。
農薬は、農薬取締法にもとづき国の登録を受けなければなりません。登録して始めて、製造(輸入)・販売・使用が出来ます。農薬は、食べ物の生産などに使われ、使用する場所も田畑や緑地など開放された環境だけに、病害虫や雑草への効果や農作物に対する薬害試験だけではなく、さまざまな安全性評価試験や、環境への影響試験の実施が要求されます。試験成績の一部または全部を用いて、次の4つの見地から、詳細な安全性評価が行われます。
農薬の使用者に対する安全性
農薬使用者の農薬使用時における健康影響の可能性
農作物に対する安全性
作物の生長や収穫物の収量・品質に対する影響の可能性
消費者に対する安全性
残留農薬による長期的暴露あるいは短期的曝露による、人の健康に対する影響の可能性
環境に対する安全性
土壌、水、大気等環境への影響や、環境中の動植物への影響、又は環境中での水を通しての人への影響の可能性や分解性等
安全性評価で、人の健康や、農作物への影響、環境への影響を明確にしてから、その薬剤の効能が適切に発揮でき、かつ、農作物と人や動物、環境に影響を及ぼさない使い方が定められます。それを農薬の「使用基準」と呼びますが、農薬取締法の下に、農薬の安全性を管理する重要な手段です。使用基準を守って使用した場合には、農作物への残留農薬も人の健康に影響が出ない量に管理されています。この状態を確認して、はじめて農薬として登録されます。
科学の進歩とともに、農薬の安全性を評価する為の試験法も進歩し、試験から得られる情報も増加します。その成果は、農薬の安全性評価に反映されています。新しい試験項目が加わった場合は、すでに登録を受けている農薬についても、必要に応じて試験成績の提出が求められ、安全性の審査が行われます。また、改正農薬取締法(2018年12月1日施行)において、全ての農薬について、定期的に、最新の科学的知見に基づき安全性等の再評価を行う仕組みが導入されたところであり、改正法の施行後に登録された農薬については、今後、概ね15年ごとに再評価が実施されることとなっています。
農薬登録に関しては、「農薬の登録申請において提出すべき資料について」(平成31年3月29日付け30消安第6278号農林水産省消費・安全局長通知)で、以下の表のとおり試験成績が要求されています。また、ほとんどの試験項目はGLP制度に適合した試験機関で、GLPに準拠して実施することが要求されています。
農薬登録に必要な試験成績
適用病害虫又は適用農作物等に対する薬効に関する試験成績
(1)適用病害虫又は適用農作物等に対する薬効
(2)農薬の作用性
農作物等に対する薬害に関する試験成績
(1)適用農作物に対する薬害
(2)茶の残臭
(3)たばこの喫味
毒性 |
人に対する影響に関する試験成績 (1)動物の体内での代謝に関する試験成績 (2)急性毒性、短期毒性、長期毒性、遺伝毒性、発がん性、生殖毒性、神経毒性その他の毒性に関する試験成績 ①有効成分の評価に用いる試験成績
②農薬(製剤)の評価に用いる試験成績
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生活環境動植物及び家畜に対する影響に関する試験成績 (1)生活環境動植物 ①水域の生活環境動植物への影響
②陸域の生活環境動植物への影響
(2)家畜 ①ミツバチへの影響
②蚕への影響 |
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残留性 |
植物の体内での代謝及び農作物等への残留に関する試験成績
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食肉、鶏卵その他の畜産物を生産する家畜の体内での代謝及び畜産物への残留に関する試験成績
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環境中における動態及び土壌への残留に関する試験成績
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適用作物や使用方法によっては試験成績の提出を要しない場合があります。また、セイヨウミツバチのデータを野生ハナバチの評価に用いるなどの代替も一部あります。
また、生物農薬に関しては、「微生物農薬の登録申請に係わる安全性評価に関する試験成績の取扱について」(平成9年8月29日付け9農産第5090号農林水産省農産園芸局長通知)によって、次の試験成績が要求されています。
注)「微生物農薬」とは、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、線虫(共生細菌のようなものを活性成分に持つものに限る。)を生きた状態で農薬としての目的で、製造または輸入して販売しようとするものとし、寄生蜂、捕食虫等の天敵及び抗生物質等の微生物源農薬は対象としないものとする。なお、遺伝子組換え微生物については当面対象の範囲に含めないものとする。
(2022年3月)