そのまま食べても大丈夫?

残留農薬や食品における安全基準などについて

残留基準値は都合のいいように変えられるのでしょうか?基準値が突然1000倍や2000倍になることがありますか?

いいえ。農薬の残留基準は都合のいいように変えられるわけではありません。

残留基準値の設定は、農林水産省により農薬GLPに適合することが確認された信頼性の高い試験機関で実施された残留試験成績をもとに、公開で開催される厚生労働省薬事・食品衛生審議会で行われています。(GLP制度についてはこちらを参照

残留基準値は、人が一日当たりに食品から摂取する農薬の推定量が許容量であるADIの80%以内に収まるように作物ごとに設定されます(ADIについてはこちらを参照)。当該農薬を使用して栽培された作物の残留農薬がその残留基準値に収まるように農薬の使用基準が作成されます。また、ADIの80%以内に収まる範囲であれば、防除の必要から使用方法を変更・追加することも可能です。一方、当該農薬の適用がない作物には、ポジティブリスト制度によりADIの有無に関わりなく人の健康を損なうおそれのない量として、原則として0.01ppmの一律基準が適用されています(ポジティブリスト制度についてはこちらを参照)。これまで適用のなかった作物に対し新規に適用が認められた場合、新たに残留基準値が設定されます。新たな残留基準値として例えば科学的に安全性が確認されたうえで10ppm、あるいは20ppmという値が設定されれば結果として残留基準値が従来の一律基準の1000倍あるいは2000倍になります。しかし、その1000倍、2000倍と言う数値は安全性が確保されている範囲の変更ということになります。

(2021年1月)