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病害虫のついた農作物は安全ですか。
人体に有害な物質が作られている場合があります。
病害虫に侵された農作物は、ときに安全性上の問題を起こすことがあります。病害虫の攻撃に対抗するために植物自身が生成する防御物質(ファイトアレキシン、アレルギー原因タンパク質)や、病害自身が作り出す毒素(かび毒など)、などが人畜に影響を与える可能性があります。
植物は動くことができず、外敵から逃げることもできません。このため、害虫にかじられたり、汁を吸われたりすると、被害が広がらないように、その部分が固く石化したりすることがあります。
病原菌に侵された時には、対抗する抗菌物質を体内で作り出し、被害を抑えようとすることもあります。この天然の抗菌物質をファイトアレキシンと呼んでいます。抗菌物質は加害する病原菌にとって有害なだけでなく、作物が苦味などを強める場合や、いくつかの抗菌物質は人間にも有毒なことが知られています。
さらに、最近の研究では、病害虫に侵された作物は食物アレルギーを引き起こす物質がかなり増加することも分かってきました。植物は病害虫による加害などのストレスが加わると、様々な防御物質を作る事(例えばりんごでは病害、大豆では害虫による知見)がそれぞれ報告されており、その防御物質にはアレルギーの原因になるタンパク質が含まれていることが報告されています。
また、植物に被害を与える病原菌を農薬等で防除しないことで、その病原菌が人にも影響を与える毒素(かび毒)を作る場合もあります。例えば麦類につく赤かび病はデオキシニバレノール(DON)というかび毒を作ります。DONは動物実験で成長抑制、体重低下、免疫抑制等健康への影響を与えることが確認されており、令和4年に厚生労働省は小麦中のDONの規格基準値を1.0mg/kgと設定しています。また、熱帯から亜熱帯地域にかけて生息するかびの一種、アスペルギルス・フラバスなどが生成するアフラトキシンには、強い発がん性があることが知られています。アフラトキシンは少なくとも13種類(代表的なものはB1、B2、G1、G2、M1、M2の6種類)に分かれますが、毒性はB1が最も強く、日本では食品中の基準として、アフラトキシンB1、B2、G1、G2の総和で10μg/kg(0.01ppm)以下(但し、乳についてはM1の基準値を0.5μg/kg以下。これを超える食品は、食品衛生法に違反)とされております。
(2022年3月)