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有機栽培でも農薬を使うことができるのですか。
はい、一定の条件下で定められた農薬を使用できます
有機栽培でも病害虫や雑草による害に対して、何らかの対策が必要です。そのため、有機JAS規格では、農産物に重大な損害が生ずる危険があり、農薬の使用以外には効果的な防除ができない場合には、有機農産物の生産をする中でも使うことのできる農薬を定めています。除虫菊剤、銅や硫黄を成分とした薬剤、天敵や微生物などを用いた生物農薬、性フェロモン剤などがこれにあたります。
「有機栽培農産物」、「有機トマト」、「きゅうり(有機栽培)」といった「有機」の表示は、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)に定められた有機農産物、有機畜産物及び有機加工食品の日本農林規格(有機JAS規格)に適合したものだけに使用できます。有機食品のJAS規格は、国際的な有機の基準であるCodexガイドライン(注1)に準拠したものです。
有機JAS規格では、有機農産物の生産方法を「堆肥などにより土づくりを行い、多年生作物の場合は収穫前3年以上、その他の作物の場合は、播種又は植え付け前2年以上の間、原則として化学的に合成された肥料や農薬は使用しないこと。遺伝子組換え種苗を使用していないこと。」と規定しています。この条件をまだ満たさない(化学的に合成された肥料や農薬を使わなくなってから、3年ないしは2年経過していない)期間を転換期間といい、その間に栽培された農産物は「転換期間中有機農産物」と表示されます。
ただし、有機JAS規格では、「農産物に重大な損害が生ずる危険が急迫している場合であって、耕種的防除、物理的防除、生物的防除またはこれらを適切に組み合わせた方法のみによっては、ほ場における有害動植物を効果的に防除することができない場合」、有機農産物の生産をする中でも使うことのできる農薬を定めています。それらの農薬としては、除虫菊乳剤およびピレトリン乳剤(除虫菊から抽出したもので、ピペロニルブトキシド(注2)を含まないもの)、マシン油乳剤、硫黄粉剤、硫酸銅・生石灰(ボルドー剤調製用)などや、天敵や微生物などを用いた生物農薬、性フェロモン剤などがあります(有機JAS規格の別表2)。
国内で収穫された有機農産物は、全生産量に対して、2018年度は0.27%でした(農林水産省発表)。
有機農産物に使うことのできる農薬
有機農産物の日本農林規格(最終改正 平成29年3月27日農林水産省告示第 443号)別表2
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/yuuki-226.pdf
農 薬 | 基 準 |
---|---|
除虫菊乳剤及びピレトリン乳剤 | 除虫菊から抽出したものであって、共力剤としてピペロニルブトキサイドを含まないものに限ること。 |
なたね油乳剤 | |
調合油乳剤 | |
マシン油エアゾル | |
マシン油乳剤 | |
デンプン水和剤 | |
脂肪酸グリセリド乳剤 | |
メタアルデヒド粒剤 | 捕虫器に使用する場合に限ること。 |
硫黄くん煙剤 | |
硫黄粉剤 | |
硫黄・銅水和剤 | |
水和硫黄剤 | |
石灰硫黄合剤 | |
シイタケ菌糸体抽出物液剤 | |
炭酸水素ナトリウム水溶剤及び重曹 | |
炭酸水素ナトリウム・銅水和剤 | |
銅水和剤 | |
銅粉剤 | |
硫酸銅 | ボルドー剤調製用に使用する場合に限ること。 |
生石灰 | ボルドー剤調製用に使用する場合に限ること。 |
天敵等生物農薬 | |
天敵等生物農薬・銅水和剤 | |
性フェロモン剤 | 農作物を害する昆虫のフェロモン作用を有する物質を有効成分とするものに限ること。 |
クロレラ抽出物液剤 | |
混合生薬抽出物液剤 | |
ワックス水和剤 | |
展着剤 | カゼイン又はパラフィンを有効成分とするものに限ること。 |
二酸化炭素くん蒸剤 | 保管施設で使用する場合に限ること。 |
ケイソウ土粉剤 | 保管施設で使用する場合に限ること。 |
食酢 | |
燐酸第二鉄粒剤 | |
炭酸水素カリウム水溶剤 | |
炭酸カルシウム水和剤 | 銅水和剤の薬害防止に使用する場合に限ること。 |
ミルベメクチン乳剤 | |
ミルベメクチン水和剤 | |
スピノサド水和剤 | |
スピノサド粒剤 | |
還元澱粉糖化物液剤 | |
次亜塩素酸水 |
(注)農薬の使用にあたっては、農薬の容器等に表示された使用方法を遵守すること。
参考
2006年12月に制定された「有機農業の推進に関する法律」に基づき、農林水産省は2007年4月末に「有機農業の推進に関する基本的な方針」を策定しました。また、2014年4月と2020年4月に2回の変更を経て新たな基本方針を策定し以下の取組を推進します。(1)有機農業者の人材育成、(2)産地づくり、(3)販売機会の多様化、(4)消費者の理解の増進、なお、有機農業推進法に基づく農法により生産された農産物についても、JAS法の規制対象になります。
(2022年3月)