そのまま食べても大丈夫?

残留農薬や食品における安全基準などについて

トレーサビリティとは具体的にどのようなことをするのですか。

トレーサビリティ(Traceability)は、もともとは技術用語で「追跡可能性」と訳されます。食のトレーサビリティという場合は、「生産履歴の遡及・確認性」を意味し、その農作物をどこの産地で、誰が、どのようにして生産したか、流通、加工を経て消費者の口に入るまでの過程の追跡ができるように記録し、消費者がどこで誰が生産したかを遡って確認できる体制のことを指します。また、反対に生産者が、自分の生産した農作物がどのように消費されたかを追跡できる双方向性も重要とされています。

すでに牛肉では、大手スーパーが当日販売する牛肉のパック一つ一つに識別番号を記載し、番号をそのスーパーのホームページ上で入力すると、BSE検査合格証や、生産地や与えた飼料などの情報が得られる仕組みを作っています。このような動きは食肉加工会社や食品会社にも広がり、牛肉以外にもベビーフードやマヨネーズ、野菜、牛乳などで一部導入され、店頭の端末で生産履歴を知ることができるスーパーもあります。また、生産者と卸、小売り業者が提携し、バーコードやIDタグ、ICカードを使い、インターネットを利用し、生産履歴、さらには流通、加工経路の検索を可能にするシステムが確立しつつあります。大規模産地では農協独自でシステム作りを進めるところも出ています。JA全農では、トレーサビリティの基本となる、土づくりから始まり、品種、肥料、農薬、生育過程などの生産履歴を記帳する運動を進めています。

トレーサビリティに注目が集まったのは、遺伝子組み換え作物の登場や2001年のBSE感染牛の問題からです。トレーサビリティには、(1)それぞれの農産物の流通、生産過程を遡って、使われた原材料や資材を特定する仕組みと(2)使われた原材料や資材が安全性に問題がないものであることを証明する仕組みが必要になります。それによって、生産履歴がきちんと管理され、その情報を追跡することができます。

(2017年3月)