農薬工業会ニュース

2024年賀詞交歓会を開催

2024年賀詞交歓会を1月5日(金)12時半から、東京・千代田区大手町の経団連会館にて4年ぶりに通常形式で開催した。出席者は会員各社の他、農林水産省などの関係府省、(独)農林水産消費安全技術センター、関係団体、報道関係者など約320名であった。小澤会長から挨拶があり、続いて来賓を代表し、農林水産省大臣官房参事官の大島様からご挨拶をいただいた。

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小澤会長の挨拶

新年明けましておめでとうございます。皆様には、ご家族ともどもお健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。まず、本年元旦に発生しました能登半島地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げますとともに、現在も災害復旧に尽力されている関係者の方々に敬意を表します。

会長

さて、新年早々のお忙しい中、JCPA農薬工業会の賀詞交歓会にご参加いただきましたことにお礼申し上げます。コロナ禍を経て、ここに以前と同じスタイルで歓談の場を設けることができました。

世界の作物保護市場は、2016年以降上昇を続けてきていましたが、2023年は前年より1.8%減少になると予測されています。価格、在庫、為替要因により減少となりますが、総体としては今後も上昇トレンドを維持すると推測されています。

国内では、当会調査の農薬総出荷金額は一部製品の値上げとその他使用分野の除草剤の伸びにより前年比101.8%となりました。毎年耕作地面積が減少するなか、作物保護の重要性を反映したものと推測されます。地球沸騰化ともいわれ始めた気候変動等により、作物の生育環境や病害虫・雑草の発生状況の変化に対応した作物保護が益々重要となってきています。

食料の多くを輸入に依存している我が国は、食料安全保障が現実問題となり、安定的な食料生産と持続可能な農業の推進が喫緊の課題となってきています。政府は昨年9月の食料・農業・農村基本法の見直しの方向性や、12月の食料・農業・農村政策の新たな展開方向に基づく施策として、「食料安全保障の確立」、「環境に配慮した持続可能な農業・食品産業への転換」、「スマート農業等による生産性の向上」等を示しました。こうした政府方針のもと、農業現場での担い手の減少と高齢化による労働力不足の状況に対応するため、当会は作物保護に関連する産業界として、農作業の省力化のための新規剤、スマート農業や総合防除に利用できる有効な資材やソリューションの提供に努めていく所存です。

さて、ここで当会活動について少し触れさせていただきます。2013年に当会は、「JCPA VISION 2025」を策定し、全会員がベクトルを合わせて活動していくこととしました。ビジョン策定から10年が経過し、目標とした「将来のありたい姿」にどのくらい近づいたのかを検証してみました。

「将来のありたい姿」1番目は、「農薬は必要で安全であることが広く認知されている、農業者が農産物を自信を持って生産できている、消費者が安心して食生活を楽しんでいる」でありました。当会は、農業者の方々向けに、農薬の正しい情報を提供し、農薬の適正使用を目指した講師派遣事業を緑の安全推進協会に委託し進めてきています。一般消費者の方々には、農薬ゼミあるいはパブリシティ事業を展開いたしました。2021年に消費者意識調査を実施しましたところ、約60%が農薬は必要と感じていましたが、残念ながら約50%の人が農薬に不安を感じていること、さらに農薬に「関心がない」が全体60%、特に学生は75%と高率でした。そこで、昨年11月に若年層を対象に、クイズ王伊沢拓司氏が率いる知識集団QuizKnockとコラボし、思い込んでいませんか?なんとなく不安というだけではありませんか?と問いかけから始めるSNS情報発信を行いました。5日間で約56万件、コメント865件があり、非常に大きい反響があったと感じています。これは第一歩の認知であり、今後、当会の活動を知る理解のステージへ、さらには若い人達が周りの人に伝えるという行動のステージに向けて取組みを強化していきます。

「将来のありたい姿」2番目は、「産業は新たな製品や技術を創出している、世界の食料の安定供給に貢献している」です。当会会員の大多数を占める日本企業の多くが研究開発力を持ってきています。グローバルには、1980年から2013年までの主要企業による新規剤の上市品中に日本企業のものが約3割を占めていました。2013年以降の約10年間の上市品を見れば、日本企業のものが約半数を占める状況になってきており、当会会員が着実に世界の食料安定供給に貢献してきていると感じています。

「将来のありたい姿」3番目は、「産業界が社会からの信頼を得て、産業の健全な発展を支える」でした。関係機関や団体等でのステータスは高くなっていると感じています。しかし、消費者意識調査では一般消費者の認知度が低いのが現実でした。そのため、産業界のイメージ向上として、会員各社の関連事業所の中で利用可能なスペースに蜜蜂などの訪花昆虫の好む植物を栽培する「蜜蜂フレンドシップ計画」を2020年度から開始しました。当会ホームページで花畑のきれいな写真を発信していますので是非ご覧ください。

当会が新たなステージに進むため、これらの検証をベースに、昨年から理事会社23社の若手メンバーの意見を聴き、ビジョンのリニューアルを検討してきています。本年5月に皆様に公表することを目指しています。

最後になりましたが、本日ご参加いただきました各団体、会員各社の益々のご発展と、ここにご列席の皆様方のご健勝、ご活躍をお祈り申し上げますとともに、新しい年が明るく充実した年となりますよう祈念いたし、私の挨拶とさせていただきます。ご清聴有難うございました。