農薬工業会ニュース

2023年賀詞交歓会を開催

2023年賀詞交歓会を1月5日(木)12時半から、東京・千代田区大手町の経団連会館にて、新型コロナウイルス感染症防止対策を徹底し開催した。出席者は会員各社の他、農林水産省などの関係府省、(独)農林水産消費安全技術センター、関係団体、報道関係者など約230名であった。本田会長から挨拶があり、続いて来賓を代表し、農林水産省大臣官房参事官の佐藤様からご挨拶をいただいた。

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本田会長の挨拶

新年明けましておめでとうございます。皆様には、ご家族ともどもお健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。さて新年早々のお忙しい中、JCPA農薬工業会の賀詞交歓会にご参加いただきましたことにお礼申し上げます。一昨年の賀詞交換会は中止、昨年は着座形式で挨拶のみの開催といたしましたが、本年は感染防止策の徹底を図り、ここに歓談の場を設けた賀詞交歓会を開催できたことを嬉しく思います。

会長

新型コロナウイルス感染症はワクチン接種の普及により一段落するかと思いきや、次々に出現する新たな変異株との闘いとなってきています。経済活動や人の移動はかなり元に戻ってきていますが、今後より安心して使えるワクチンや治療薬などの新規イノベーションに期待していきましょう。

さて、グローバルに食料安全保障が課題となる中、農薬を含めた作物保護の重要性が高まっています。世界の作物保護市場は、前年比でみると、2020年2.7%増、2021年4.7%増となり、2022年も6.2%増と上昇が見込まれています。南米16.9%、北米9.3%、アジア3.9%増がけん引しています。

一方、国内は、当会調査による2022農薬年度の総出荷額は、水稲用の殺虫殺菌剤の減少を園芸・畑作殺菌剤及びその他分野の除草剤の伸びがカバーし前年比0.9%増となりました。

本日は年頭にあたりまして当会が現在重要事業としてとらえていることを述べたいと思います。作物保護に関連する産業界として、まず現場ニーズに応えたドローンなどで使用できる製剤や散布技術の開発によりスマート農業を後押ししてまいります。次に、有害動植物の侵入・まん延リスクが高まるなどの植物防疫をめぐる状況の変化に対応した改正植物防疫法が本年4月に施行され、「総合防除」いわゆるIPMの推進が実現されます。そのため、当会会員は、植物科学をベースとしたイノベーションに取組み、AIを活用した病害虫の診断プログラムの開発、生物農薬やその利用技術の開発、病害虫等の薬剤抵抗性が発達しにくい使用方法の普及などを行い、総合防除の実践に貢献してまいります。

先に申しましたように、食料安全保障が現実問題となり、安定的な食料生産と持続可能な農業に資する作物保護製品の重要性は今後も高まると予想されています。作物保護製品の開発能力を有する企業は欧米と日本に限られ、1980年以降の世界の有効成分の約3分の1を日本企業が創出してきています。一昨年策定された「みどりの食料システム戦略」が目指すところの「食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立」のために、当会会員は、今後ともイノベーションの創出に力を入れていく所存です。当会調査によれば、2022年に開発中の新規剤は、化学合成農薬が19 剤、生物農薬が13 剤、その他が6剤と活発にイノベーションが推進されています。努力が実を結び新しいイノベーションが社会実装されれば、持続的な農業生産とともに食料安全保障の観点からの食料自給率の向上への貢献が期待できると考えています。

農薬行政では、より一層の安全性を目指して、2020年4月1日から使用者安全及び蜜蜂に関する新たなリスク評価法の導入、2021年度から最新の科学的知見に基づいて評価を行う再評価の申請が開始されました。当会としましては、科学的根拠に基づき、農薬の安全性を一層確保するとともに、防除に有効な農薬が農家に適切に提供されることを目指して、関係府省と引き続き意見交換を進めていく所存です。

また、これら外部環境の変化を考慮して、昨年からビジョンリニューアルの検討を開始しました。「JCPA VISION 2025」は、2013年度の発案からほぼ10年近くの活動になります。本年中に、現在までのビジョン活動の検証を行い、本年中に検討がさらに進捗するものと期待しております。

本年も、SDGsも踏まえて、当会のビジョン活動「JCPA VISION 2025」を着実に実行するとともに会員各社とともに農薬を含めた作物保護の重要性について情報発信していく年にしたいと思います。皆様方の引き続きのご支援、ご指導よろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが、本日ご参加いただきました各団体、会員各社の益々のご発展と、ここにご列席の皆様方のご健勝、ご活躍をお祈り申し上げますとともに、新しい年が明るく充実した年となりますよう祈念いたし、私の挨拶とさせていただきます。