農薬工業会について

ニュースリリース

2021年 会長の新年挨拶

 2021年賀詞交歓会は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため中止としました。

◆小池会長の挨拶

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 新年明けましておめでとうございます。皆様には、ご家族ともどもお健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症は、未だに収束に至っていません。そのため、本年は賀詞交歓会を中止し、WEBによりご挨拶を申し上げます。このような状況において日々ご尽力されている医療関係者の方々に敬意を表します。それとともに、感染に苦しまれている方々や経済的影響を受けられている方々に心よりお見舞い申し上げます。

 国連食糧農業機関FAOによれば、「生産から消費に至るフードシステムは著しい強靭性があり、新型コロナ第一波の影響はリーマンショックの金融危機時よりも少なかった」としています。農薬産業はフードシステムの中で食料生産に必要な資材を供給しています。そのグローバル農薬市場は、2019年は横ばいで推移し、2020年は4.3%の上昇が見込まれています。まず、南米の大豆用農薬市場が活況を呈したことです。次に、アジアにおいては、サバクトビバッタやツマジロクサヨトウなどの越境性害虫の被害拡大により殺虫剤需要が増加したこと、インドでコロナ禍による移動制限のため労働力を確保できず除草剤需要が増加したこと、などが要因とされています。

 一方、国内では、昨年の水稲の作況指数は、全国平均99と「平年並み」となりました。しかし、西日本では中国大陸から飛来してくるトビイロウンカによる被害が猛威を振るい、「不良」となった地域もありました。このような状況下で、農業生産に不可欠の資材を提供する業界として、会員企業の製造現場では新型コロナの感染者を出さないように細心の注意を払い、必要な資材の安定供給に努めました。2020農薬年度の総出荷額は、水稲分野の殺虫剤及び殺虫殺菌剤、その他分野の除草剤の伸びがあったものの、前年比微減の99.7%となりました。コロナ禍により、日本経済が打撃を受ける中で、農業生産現場の方々、行政や業界の努力により、農業資材のサプライチェーンが健全に維持されたことに安堵しています。

 さて、世界を見れば、食用作物の最大40%が病害虫・雑草の被害によって失われ、何億人もの人々が十分な食料を入手できずに苦しんでいます。国連でも、植物病害虫まん延防止に向け、それへの世界的認識を高めるため、2020年を国際植物防疫年とすることが採択されました。当会は、国際植物防疫年オフィシャルサポーターとして、国連で採択されたSDGsとも関連付けながら、農業への業界としての貢献を掲げたビジョン活動「JCPA VISION 2025」を推進し、植物病害虫や雑草による被害を防ぐ作物保護の重要性を周知することに努めています。

 国内を見れば、人口は漸減傾向で輸入食品も豊富にあり、食料不足という不満は生じていません。しかし、日本の食料自給率38%の向上を図っていく中で、農業者の高齢化、後継者不足などの課題があり、省力化が必須となっています。例えば、田植時に殺虫殺菌剤と除草剤を処理することにより長期間にわたって水稲を病害虫・雑草から守る技術、あるいはスマート農業を利用した効率的な防除などです。このように、農薬による作物保護は、少ない農業人口で産業としての農業生産を維持し、永続的な食料生産の維持・拡大に貢献しています。

 当会の「JCPA VISION 2025」将来のありたい姿の中の一つに、次の目標を設定しています。それは、「農業現場からのニーズに応えるため、農薬産業は最先端の科学技術を用いた新製品・新技術を開発し、世界の食料供給に貢献している」というものです。ここで日本企業のイノベーションについて、紹介させていただきます。現在、新規薬剤の創薬確率は十数万化合物に一剤と言われ、高額の研究開発費と、10年以上の期間が必要です。過去40年間の主要企業による新規薬剤368剤中に日本企業のものが34%を占めています。グローバルな登録規制の厳格化にともない、研究開発状況が厳しくなっている近年においても、2019年時点で開発後期ステージにある35剤に日本企業のものが12剤を占める状況です。日本企業が持つ創薬力は、日本だけでなく世界の農業に貢献しているわけです。

 ありたい姿の中のもう一つに、「農薬の安全性と有用性が多くの人々に認められ、農業者が自信を持って農産物を生産し、消費者は安全・安心な食生活を楽しめる社会となっている」という目標もあります。昨今、誤った情報に基づく報道が見受けられます。当会としては、このような報道による農業者や消費者の方々の不安を取り除くため、コロナ禍にも対応した安全広報活動を通じて、科学的に根拠のある正しい情報の発信を続けていきます。

 最新の科学的知見に基づいて評価を行う再評価制度が今年4月からスタートします。当会として、農薬の安全性を一層確保することを前提に、防除に有効な農薬が農家に適切に提供されるための取組を進めてまいります。

 最後に、コロナ禍により不自由な生活が続きますので、皆様方におかれましては健康にご留意いただけますと幸いです。その上で、会員各社の益々のご発展とご活躍、そして、新しい年が明るく充実した年となりますよう祈念いたし、新年の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。