旬素材の産地から

旬素材の産地から ナガイモのこともっと話そう 寺澤和夫(てらさわかずお)さん
                    土づくりからこだわった、甘くておいしいミネラルの豊富な「ナガイモ」があると聞いて春まだ浅い青森県へ。JA十和田おいらせ、ながいも専門部会の部会長・寺澤和夫さんにお話を伺いました。
                    JA十和田おいらせは、青森県の東部に位置する十和田市、むつ市、おいらせ町、七戸町が合併して2010年4月に誕生。販売高全体の5割を占めるのが野菜類で、ナガイモ、ニンニクを主力作物に県内最大の野菜産地になっています。

ナガイモ若手育成塾って、なんですか?

春掘りの収穫作業がはじまった

部会長 寺澤さん
ナガイモづくりの専門知識を学ぶ若手の育成塾です。2012年からスタートして、もう7年になります。会場はここの畑。若手農家が30人ほど集まり、ナガイモの栽培や農機の操作の仕方などをみんなで勉強します。

寺澤さんは、塾長のナガイモ達人!

部会長であり、塾長の寺澤さん

部会長 寺澤さん
若手からいろんな質問が飛んできますよ。「どうすれば美味しく作れますか?」「効率よく収穫する方法は?」「農薬は何回まきますか?」普段感じている疑問を遠慮なくぶつけてくるから、こっちも知っていることを全部オープンに回答するんです。塾生が真剣に耳を傾けてくれるのがうれしいですね。

育成塾って、すてきな試みですね

部会長 寺澤さん
20年前、私が就農したとき、3年かけて他の農家さんの畑を見て回ったんです。視野が開けました。農家ごとにやり方が全部違う。育成塾ではそれと同じことが学べるんです。若いときに正しい知識と技術を身につけることが大事だと思います。

成果がでてますね。収穫量が10~20%アップ!

美味しいナガイモは、おしりで見分ける

部会長 寺澤さん
種芋の選別を意識することで開眼する若手が多いんです。開講前の2011年と比べるとJA十和田おいらせのナガイモ収穫量は110%程度(2016年)に。育成塾の狙いは、1人1人が生産技術を習得して、全体のレベルアップを図ることです。その成果がでてきたと思いたいですね。

人に聞くこと、自分で考えること。

若手の笑顔が、収穫現場に活気を呼ぶ

部会長 寺澤さん
塾生にいつも言うのは、5年先、10年先のことを考えろってこと。そのためには人の話をしっかり聞いて、観察して、自分で考えることが大事です。情報と考察のない行動は、ダメですね。それから…失敗することが大切です。

え、失敗することが、大切?

部会長 寺澤さん
そうです。失敗したことは忘れませんからね。「失敗したことから学ぶ」は、なにより身につく学習法です。

JAさんの「担い手育成塾」、すばらしい施策ですね

JA十和田おいらせ指導やさい部指導課 杉山課長(写真向かって左)と川村課長補佐(右)

JA十和田おいらせ 杉山さん
ありがとうございます。若手の生産者が将来、安定した農業経営ができるように、達人の寺澤さんらの力を借りて運営しています。ナガイモだけでなくニンニク、ゴボウ、ネギなど、品目別の育成塾を展開しているのが特徴です。

農業のマネジメントも学べる!

収穫は大型トラクターと人の連携プレー

JA十和田おいらせ 杉山さん
昨年の9月からマネジメントスクールも始めました。専門講師から、経営シミュレーションソフトを使った収支予測や、消費者ニーズを基本としたマーケティングも学んでいます。数字を意識した農業経営は、農家にとって大切なスキルだと考えています。

受講費、ゼロ円!太っ腹ですね~

JA十和田おいらせ 杉山さん
学ぶ意欲に投資しています。技術とマネジメントの両輪がなければ農業経営はうまくいきません。若手農家の経営力を上げることで、就農者の定着につながっていけばいい…それが地域の活性化になると考えています。

塾生さん、みんな仲よしだとか

部会長 寺澤さん
みんな30代ぐらいで、塾が仲間づくりの場にもなっています。農業のスキルを学ぶことで好奇心が高まり、新しいことにチャレンジする機運も生まれています。お互いを意識する、その刺激が、塾生たちを結びつけていると思いますね。

え、達人も学んでいる?

部会長 寺澤さん
はい。若手の創意工夫や、新しいチャレンジに、毎回「はっ」とさせられます。新しい発見は、個性がぶつかりあう現場で生まれると思います。ここでのコミュニケーションは、私にとって何よりも価値がありますね。

おいらせの水と、健康な土づくり

あ、ナガイモ畑だ。おじゃましまーす! 

トラクターが地中のナガイモを一気に掘り出す

部会長 寺澤さん
雪が溶けて、春の収穫が始まったところです。この畑は、11~12月の「秋掘り」と、3月下旬~4月の「春掘り」で半々ずつ2回に分けて収穫しています。今掘っているのは、自然の冷蔵庫で越冬したナガイモ。春掘りの方が実がしまってさらに甘みが増します。

ナガイモは、トラクターで掘るんだ

部会長 寺澤さん
地面の下に大きなヘラのようなものを潜り込ませて、それを引っ張ってナガイモを掘り出します。植える間隔は24センチと決めています。間隔が狭いと小さいナガイモが、広いと大きなナガイモが育ちます。

今年の出来栄えは?

堂々と実った、おいらせのナガイモ

部会長 寺澤さん
去年はちょっと雨が多かったのですが、例年通り美味しいナガイモが実りました。

トム・ベジ(TOM-VEGE)って何ですか!

上質感のあるTOM-VEGEのパッケージ

部会長 寺澤さん
トム・ベジはJA十和田おいらせのブランド名です。十和田おいらせミネラル野菜、略してTOM-VEGE(トム・ベジ)(T:十和田 O:おいらせ M:ミネラル VEGE:野菜)です。

なぜ、ここの野菜はミネラル野菜と呼ばれるの…

おいらせの清らかな雪どけ水

部会長 寺澤さん
ここの野菜は、国立公園の十和田湖からそそぐおいらせの水と、土の栄養バランスを考えた「健康な土」で育てています。だから、野菜本来の旨みとミネラルがたっぷり。そこからミネラル野菜と呼ばれるようになりました。

「健康な土」ってなんですか?

育まれた健やかな土

部会長 寺澤さん
「ミネラル分の豊富な土に健康な野菜が育つ」という農業の考え方があります。私たちの畑は、この考え方に沿って「土壌診断」を行い、土の栄養バランスを整え、良質な堆肥を使った健康な畑です。だから野菜体内の酵素が活性化し、土の栄養(ミネラルなど)をしっかり吸収。作物本来の甘味、旨味のあるビタミン、ミネラルの豊富な野菜が収穫できるんです。

子供が、よろこぶ!ミネラルたっぷりのナガイモを目指す

部会長 寺澤さん
そう言っていただけるとうれしいですね。ミネラルは子どもの健やかな成長や健康に欠かせません。それに糖度が高いから、野菜嫌いな子どもも美味しく食べることができます。

年間の栽培スケジュールを教えて

収穫を支える女性の細やかな手作業

部会長 寺澤さん
種芋づくりに1年かかります。できた種芋を植えるのが5月上旬、6月中旬に芽が出て、7月にかけてつるが伸びます。8月には茎や葉が繁り、9月に茎葉が最大に。土の中のナガイモは7月の後半から成長し、10月上旬まで育ちます。10月末から収穫ですが、半分収穫したところで、あとは越冬して春に掘ります。ちょうど2年かかりますね。

農薬は、役立ってますか?

撮影待ちの時間に、ちょっと一休み

部会長 寺澤さん
なくてはならない存在です。種芋を植えたあと除草剤を使うのですが、もっとも農薬が大事なのは7月からのアブラムシ対策です。これにやられると収量が1~2割落ちてしまうので、発生予報をみながら随時散布しています。また6月には殺菌剤の散布、8月にはナガイモコガの防除も行っています。

健康な土と、農薬が寄り添ってますね

部会長 寺澤さん
はい。塾生の若手にも土づくりと共に農薬の使い方を教えています。農薬はナガイモ栽培で、とても重要な役割を担っていますよ。

農家1軒1軒の土壌診断を行う、農業技術センター

これ?ナガイモ畑の土のサンプルですか

ナガイモ農家さんの土のサンプル

JA十和田おいらせ 杉山さん
そうです。農業技術センターではナガイモ農家500点の土壌サンプルを分析しています。「化学」を活用して全員がハイレベルな農業を実践する…私たちが考える農業を実践するための拠点、それが農業技術センターです。ニンニク、ネギ、ゴボウなど他の農産物の土壌検査を含めると、平成30年度は3,950点の土壌診断を行いました。

ひえ~、3,950点の土の分析!

JA十和田おいらせ 杉山さん
平成10年が622点、平成20年が3083点でしたから、すごい勢いで増えてますね。

あ、土の色が、黒かったり、白かったり

農家へフィードバックされる土壌診断書  自動化学分析装置(土壌分析システム)

JA十和田おいらせ 杉山さん
スルドイですね。同じJA十和田おいらせの管轄地区でも畑によって土壌は微妙に違います。ここでは土の細部の成分まで分析して、それぞれの農家に最適な対処法をまとめた土壌診断書を作成しています。

「土」の通信簿ですね!

ナガイモを保管する低温貯蔵施設

JA十和田おいらせ 杉山さん
土壌診断は、毎年5月の植えつけ前に採取した畑ごとの土壌サンプルを分析装置にかけて行います。1日40点のペースで土壌診断書をフィードバック。農家は記載された対処法をベースにして、土壌のコンディションを整えていきます。

低温貯蔵施設も、すごいスケール!

JA十和田おいらせ 杉山さん
ナガイモを1年中市場に届けるために欠かせないのが、集荷場と1つになった低温貯蔵庫です。秋掘りのナガイモは、温度コントロールした貯蔵庫で保管し、1年を通して1日平均12~13トンのペースで出荷します。主な出荷先は関東が約7割、あとは中京、大阪です。

あ、真っ白。瑞々しいナガイモが並んでいる

水洗いされ、きれいな姿をあらわした

JA十和田おいらせ 杉山さん
今朝、寺澤さんの畑で穫れたナガイモです。地元のお母さんたちの手で水洗いされ、形とサイズで分類し箱詰めしています。トム・ベジナガイモは出荷前に糖度や硝酸値のチェックもしています。

おいらせのナガイモ、どんな食べ方が美味しい?

これがおいらせのミネラル野菜

JA十和田おいらせ 杉山さん
そこはナガイモ塾長の、寺澤さんに聞いてみてください。

塾長、お願いします(笑)

形とサイズごとにパッケージされ出荷

部会長 寺澤さん
短冊に切って、醤油を垂らして食べるのが美味しいですよね。でも私が一番好きなのは、ちょっと違うんです。それはなにかというと、ホイルに包んで焼いて食べる「焼き芋」です。

え、焼き芋ですか?

塾長と寺澤家の3代目のツーショット

部会長 寺澤さん
はい。ナガイモの焼き芋に、今日は瀬戸内産、明日はエーゲ海産・・・といったように、こだわりの岩塩を合わせていただいています。「おいらせのナガイモにブランド岩塩を添えて」これが最高です。簡単ですから、みなさんも一度、ホイル焼きをご賞味ください。

塾長、農業を楽しんでますね!

JAと農家さん、チームワークは抜群

部会長 寺澤さん
若手たちと農業の未来を考えるのが一番楽しい。長年の経験で得た情報を、たくさんの若い担い手に伝えていきたいですね。

いろんな交流が、活気につながっていく

部会長 寺澤さん
農家が知恵とこだわりで栽培し、JAが安定出荷を推進する。お互いに高め合う関係ができています。ベテランと若手、この地域とあの地域…いろんな交流があって、学びが生まれ、いい雰囲気が育っています。これからも交流を通して、知識を増やし、士気を高めて、おいらせの農業を持ち上げていきたいと思います。
  • JA十和田おいらせの「ナガイモ」 青森県のナガイモは全国有数の出荷量を誇り、国内流通量の約4割を占めています。近年はアメリカや中国、台湾などにも輸出され、アジア系の人たちの食材や薬膳として使われています。JA十和田おいらせのナガイモは、県内でもトップクラスの生産量で、その味は絶品です。農家が大切に育て収穫したナガイモは、JAに搬入後洗浄、大きさ、品質などを1本1本丁寧にチェックし、確かな商品をお届けしています。ナガイモはタンパク質、ミネラル、ビタミンなどが豊富で栄養価の高い野菜です。とろろの他、千切りにしてサラダ感覚でも味わえ、鍋に入れてホクホクとした食感も楽しめます。色々なバリエーションで味わってみてください。

  • JA十和田おいらせの「ナガイモ」

ナガイモ 栽培スケジュール

ナガイモのこともっと話そう

寺澤和夫(てらさわかずお)さん

寺澤和夫(てらさわかずお)さん

土づくりからこだわった、甘くておいしいミネラルの豊富な「ナガイモ」があると聞いて春まだ浅い青森県へ。JA十和田おいらせ、ながいも専門部会の部会長・寺澤和夫さんにお話を伺いました。

十和田市

十和田市

JA十和田おいらせは、青森県の東部に位置する十和田市、むつ市、おいらせ町、七戸町が合併して2010年4月に誕生。販売高全体の5割を占めるのが野菜類で、ナガイモ、ニンニクを主力作物に県内最大の野菜産地になっています。

ナガイモ若手育成塾って、なんですか?

部会長 寺澤さん
ナガイモづくりの専門知識を学ぶ若手の育成塾です。2012年からスタートして、もう7年になります。会場はここの畑。若手農家が30人ほど集まり、ナガイモの栽培や農機の操作の仕方などをみんなで勉強します。

春掘りの収穫作業がはじまった

寺澤さんは、塾長のナガイモ達人!

部会長 寺澤さん
若手からいろんな質問が飛んできますよ。「どうすれば美味しく作れますか?」「効率よく収穫する方法は?」「農薬は何回まきますか?」普段感じている疑問を遠慮なくぶつけてくるから、こっちも知っていることを全部オープンに回答するんです。塾生が真剣に耳を傾けてくれるのがうれしいですね。

部会長であり、塾長の寺澤さん

育成塾って、すてきな試みですね

部会長 寺澤さん
20年前、私が就農したとき、3年かけて他の農家さんの畑を見て回ったんです。視野が開けました。農家ごとにやり方が全部違う。育成塾ではそれと同じことが学べるんです。若いときに正しい知識と技術を身につけることが大事だと思います。

成果がでてますね。収穫量が10~20%アップ!

部会長 寺澤さん
種芋の選別を意識することで開眼する若手が多いんです。開講前の2011年と比べるとJA十和田おいらせのナガイモ収穫量は110%程度(2016年)に。育成塾の狙いは、1人1人が生産技術を習得して、全体のレベルアップを図ることです。その成果がでてきたと思いたいですね。

美味しいナガイモは、おしりで見分ける

人に聞くこと、自分で考えること。

部会長 寺澤さん
塾生にいつも言うのは、5年先、10年先のことを考えろってこと。そのためには人の話をしっかり聞いて、観察して、自分で考えることが大事です。情報と考察のない行動は、ダメですね。それから…失敗することが大切です。

若手の笑顔が、収穫現場に活気を呼ぶ

え、失敗することが、大切?

部会長 寺澤さん
そうです。失敗したことは忘れませんからね。「失敗したことから学ぶ」は、なにより身につく学習法です。

JAさんの「担い手育成塾」、すばらしい施策ですね

JA十和田おいらせ 杉山さん
ありがとうございます。若手の生産者が将来、安定した農業経営ができるように、達人の寺澤さんらの力を借りて運営しています。ナガイモだけでなくニンニク、ゴボウ、ネギなど、品目別の育成塾を展開しているのが特徴です。

JA十和田おいらせ指導やさい部指導課 杉山課長(写真向かって左)と川村課長補佐(右)

農業のマネジメントも学べる!

JA十和田おいらせ 杉山さん
昨年の9月からマネジメントスクールも始めました。専門講師から、経営シミュレーションソフトを使った収支予測や、消費者ニーズを基本としたマーケティングも学んでいます。数字を意識した農業経営は、農家にとって大切なスキルだと考えています。

収穫は大型トラクターと人の連携プレー

受講費、ゼロ円!太っ腹ですね~

JA十和田おいらせ 杉山さん
学ぶ意欲に投資しています。技術とマネジメントの両輪がなければ農業経営はうまくいきません。若手農家の経営力を上げることで、就農者の定着につながっていけばいい…それが地域の活性化になると考えています。

塾生さん、みんな仲よしだとか

部会長 寺澤さん
みんな30代ぐらいで、塾が仲間づくりの場にもなっています。農業のスキルを学ぶことで好奇心が高まり、新しいことにチャレンジする機運も生まれています。お互いを意識する、その刺激が、塾生たちを結びつけていると思いますね。

え、達人も学んでいる?

部会長 寺澤さん
はい。若手の創意工夫や、新しいチャレンジに、毎回「はっ」とさせられます。新しい発見は、個性がぶつかりあう現場で生まれると思います。ここでのコミュニケーションは、私にとって何よりも価値がありますね。

おいらせの水と、健康な土づくり

あ、ナガイモ畑だ。おじゃましまーす!

部会長 寺澤さん
雪が溶けて、春の収穫が始まったところです。この畑は、11~12月の「秋掘り」と、3月下旬~4月の「春掘り」で半々ずつ2回に分けて収穫しています。今掘っているのは、自然の冷蔵庫で越冬したナガイモ。春掘りの方が実がしまってさらに甘みが増します。

トラクターが地中のナガイモを一気に掘り出す

ナガイモは、トラクターで掘るんだ

部会長 寺澤さん
地面の下に大きなヘラのようなものを潜り込ませて、それを引っ張ってナガイモを掘り出します。植える間隔は24センチと決めています。間隔が狭いと小さいナガイモが、広いと大きなナガイモが育ちます。

今年の出来栄えは?

部会長 寺澤さん
去年はちょっと雨が多かったのですが、例年通り美味しいナガイモが実りました。

堂々と実った、おいらせのナガイモ

トム・ベジ(TOM-VEGE)って何ですか!

部会長 寺澤さん
トム・ベジはJA十和田おいらせのブランド名です。十和田おいらせミネラル野菜、略してTOM-VEGE(トム・ベジ)(T:十和田 O:おいらせ M:ミネラル VEGE:野菜)です。

上質感のあるTOM-VEGEのパッケージ

なぜ、ここの野菜はミネラル野菜と呼ばれるの…

部会長 寺澤さん
ここの野菜は、国立公園の十和田湖からそそぐおいらせの水と、土の栄養バランスを考えた「健康な土」で育てています。だから、野菜本来の旨みとミネラルがたっぷり。そこからミネラル野菜と呼ばれるようになりました。

おいらせの清らかな雪どけ水

「健康な土」ってなんですか?

部会長 寺澤さん
「ミネラル分の豊富な土に健康な野菜が育つ」という農業の考え方があります。私たちの畑は、この考え方に沿って「土壌診断」を行い、土の栄養バランスを整え、良質な堆肥を使った健康な畑です。だから野菜体内の酵素が活性化し、土の栄養(ミネラルなど)をしっかり吸収。作物本来の甘味、旨味のあるビタミン、ミネラルの豊富な野菜が収穫できるんです。

育まれた健やかな土

子供が、よろこぶ!
ミネラルたっぷりのナガイモを目指す

部会長 寺澤さん
そう言っていただけるとうれしいですね。ミネラルは子どもの健やかな成長や健康に欠かせません。それに糖度が高いから、野菜嫌いな子どもも美味しく食べることができます。

年間の栽培スケジュールを教えて

部会長 寺澤さん
種芋づくりに1年かかります。できた種芋を植えるのが5月上旬、6月中旬に芽が出て、7月にかけてつるが伸びます。8月には茎や葉が繁り、9月に茎葉が最大に。土の中のナガイモは7月の後半から成長し、10月上旬まで育ちます。10月末から収穫ですが、半分収穫したところで、あとは越冬して春に掘ります。ちょうど2年かかりますね。

収穫を支える女性の細やかな手作業

農薬は、役立ってますか?

部会長 寺澤さん
なくてはならない存在です。種芋を植えたあと除草剤を使うのですが、もっとも農薬が大事なのは7月からのアブラムシ対策です。これにやられると収量が1~2割落ちてしまうので、発生予報をみながら随時散布しています。また6月には殺菌剤の散布、8月にはナガイモコガの防除も行っています。

撮影待ちの時間に、ちょっと一休み

健康な土と、農薬が寄り添ってますね

部会長 寺澤さん
はい。塾生の若手にも土づくりと共に農薬の使い方を教えています。農薬はナガイモ栽培で、とても重要な役割を担っていますよ。

農家1軒1軒の土壌診断を行う、農業技術センター

これ?ナガイモ畑の土のサンプルですか

JA十和田おいらせ 杉山さん
そうです。農業技術センターではナガイモ農家500点の土壌サンプルを分析しています。「化学」を活用して全員がハイレベルな農業を実践する…私たちが考える農業を実践するための拠点、それが農業技術センターです。ニンニク、ネギ、ゴボウなど他の農産物の土壌検査を含めると、平成30年度は3,950点の土壌診断を行いました。

ナガイモ農家さんの土のサンプル

ひえ~、3,950点の土の分析!

JA十和田おいらせ 杉山さん
平成10年が622件、平成20年が3083件でしたから、すごい勢いで増えてますね。

あ、土の色が、黒かったり、白かったり

JA十和田おいらせ 杉山さん
スルドイですね。同じJA十和田おいらせの管轄地区でも畑によって土壌は微妙に違います。ここでは土の細部の成分まで分析して、それぞれの農家に最適な対処法をまとめた土壌診断書を作成しています。

農家へフィードバックされる土壌診断書

自動化学分析装置(土壌分析システム)

「土」の通信簿ですね!

JA十和田おいらせ 杉山さん
土壌診断は、毎年5月の植えつけ前に採取した畑ごとの土壌サンプルを分析装置にかけて行います。1日40点のペースで土壌診断書をフィードバック。農家は記載された対処法をベースにして、土壌のコンディションを整えていきます。

ナガイモを保管する低温貯蔵施設

低温貯蔵施設も、すごいスケール!

JA十和田おいらせ 杉山さん
ナガイモを1年中市場に届けるために欠かせないのが、集荷場と1つになった低温貯蔵庫です。秋掘りのナガイモは、温度コントロールした貯蔵庫で保管し、1年を通して1日平均12~13トンのペースで出荷します。主な出荷先は関東が約7割、あとは中京、大阪です。

あ、真っ白。瑞々しいナガイモが並んでいる

JA十和田おいらせ 杉山さん
今朝、寺澤さんの畑で穫れたナガイモです。地元のお母さんたちの手で水洗いされ、形とサイズで分類し箱詰めしています。トム・ベジナガイモは出荷前に糖度や硝酸値のチェックもしています。

水洗いされ、きれいな姿をあらわした

おいらせのナガイモ、どんな食べ方が美味しい?

JA十和田おいらせ 杉山さん
そこはナガイモ塾長の、寺澤さんに聞いてみてください。

これがおいらせのミネラル野菜

塾長、お願いします(笑)

部会長 寺澤さん
短冊に切って、醤油を垂らして食べるのが美味しいですよね。でも私が一番好きなのは、ちょっと違うんです。それはなにかというと、ホイルに包んで焼いて食べる「焼き芋」です。

形とサイズごとにパッケージされ出荷

え、焼き芋ですか?

部会長 寺澤さん
はい。ナガイモの焼き芋に、今日は瀬戸内産、明日はエーゲ海産・・・といったように、こだわりの岩塩を合わせていただいています。「おいらせのナガイモにブランド岩塩を添えて」これが最高です。簡単ですから、みなさんも一度、ホイル焼きをご賞味ください。

塾長と寺澤家の3代目のツーショット

塾長、農業を楽しんでますね!

部会長 寺澤さん
若手たちと農業の未来を考えるのが一番楽しい。長年の経験で得た情報を、たくさんの若い担い手に伝えていきたいですね。

JAと農家さん、チームワークは抜群

いろんな交流が、活気につながっていく

部会長 寺澤さん
農家が知恵とこだわりで栽培し、JAが安定出荷を推進する。お互いに高め合う関係ができています。ベテランと若手、この地域とあの地域…いろんな交流があって、学びが生まれ、いい雰囲気が育っています。これからも交流を通して、知識を増やし、士気を高めて、おいらせの農業を持ち上げていきたいと思います。

JA十和田おいらせの「ナガイモ」

JA十和田おいらせの「ナガイモ」
青森県のナガイモは全国有数の出荷量を誇り、国内流通量の約4割を占めています。近年はアメリカや中国、台湾などにも輸出され、アジア系の人たちの食材や薬膳として使われています。JA十和田おいらせのナガイモは、県内でもトップクラスの生産量で、その味は絶品です。農家が大切に育て収穫したナガイモは、JAに搬入後洗浄、大きさ、品質などを1本1本丁寧にチェックし、確かな商品をお届けしています。ナガイモはタンパク質、ミネラル、ビタミンなどが豊富で栄養価の高い野菜です。とろろの他、千切りにしてサラダ感覚でも味わえ、鍋に入れてホクホクとした食感も楽しめます。色々なバリエーションで味わってみてください。
ナガイモ 栽培スケジュール
ナガイモ 栽培スケジュール
旬素材の産地からの一覧