- 荻原さん
- ありがとうございます。日本農業賞集団組織の部で受賞させていただきました。でも、なんだか信じられない気分なんです。ぶどう部会の農家480人も、みんな驚いています。
- 荻原さん
- 売上の9割を占めていた巨峰が落ち込み、不安を募らせていたのが平成23年ごろ。あれから5年しか経っていないのに、シャインマスカットが一人歩きをして、気づいたらこんなところまで来ていたという感じです。
- 荻原さん
- 「黒系」「赤系」「緑系」のうち、当時は黒系(巨峰など)が主流で、まさか、落ち込んでいた緑系のぶどうがこんなにウケル(人気になる)とは思っていませんでした。
- 荻原さん
- 売れるぶどうは黒いものだと私たちでさえも思っていました。世に出してみたら意外に評価が高くて、逆にびっくり。今では長野県内では、皮ごと食べられる黒系=ナガノパープル、緑系=シャインマスカットの2本柱になりました。
- JA山田さん
- はい。JA中野市ぶどう部会は、集団組織の部で31年前にも大賞をいただきました。2度の受賞は全国的にも例がない快挙だそうです。
- JA山田さん
- 先ほど荻原さんが言ったように、JA中野市ぶどう部会が全国に先駆けて「シャインマスカット」の産地化を進め、売上をV字回復したことが評価されました。ぶどうの消費低迷の流れを変えたところに、インパクトがあったと思います。
- 荻原さん
- この状況がいつまでも続くとは思っていませんが、市場のニーズにしっかり応えれば、信じられないようなことが起こると実感しました。
- JA山田さん
- ぶどう部会の売上は、平成6年度の45億円をピークに年々減少。平成23年度には21億円に半減しました。それから5年後の平成28年度に、41億円までV字回復したのです。この伸び率は、全国でも例がなかったそうです。
- JA山田さん
- そうです。一番大きかったのは、「やる」と決断したこと。平成19年に国の試験場からシャインマスカットの苗木が全国に配られたのですが、最初からやろうという人は少なかったと思います。JA中野市では、早い段階でこれはいけると判断し、部会が中心となってプロジェクトを起こし、面積を増やして産地化を進めました。
- 荻原さん
- 営農部の山田さんたちが育成金をつけてくれたり、栽培方法を指導してくれたり、巨峰のつくり方とはちがう簡単な方法を編み出してくれたのも助かりました。農家の高齢化が問題になっていましたから。
- 荻原さん
- そうです。他のぶどうより栽培が比較的簡単なので、高齢で辞めていく農家も「これならできる」ということで、辞めるのを思いとどまることができました。
- 荻原さん
- 当時は気にしてなかったのですが、今思えばすごいこと。JAさんとタッグを組んで、最先端の取組みができていたのだと思います。
- 荻原さん
- どうなんでしょうか。そうだとしたら、そういう伝統があるのかもしれませんね。