旬素材の産地から

旬素材の産地から 手のかかるキミにメロンメロン 酒井孝明(さかいたかあき)さん
                    茨城県は国内生産量1/4のシェアを持つメロンの名産地。その中でも鉾田市は県内生産量の約65%を誇っています。今回は50年以上の歴史を持つJA茨城旭村のメロン部会で、副部会長を務めている酒井孝明さんの畑を訪ねてお話を聞きました。
                    東を鹿島灘に沿って位置する鉾田市は、2005年に旭村、鉾田町、大洋村が合併して誕生。平坦な地形と温和な気候を活かした全国有数の野菜の生産地として知られています。JA茨城旭村は旧旭村をエリアとし、メロンのほかにもトマトやいちご、ほうれん草など、さまざまな野菜や果物を出荷しています。

取材日:2019年6月

うわぁ!大きな選果場ですね!

JA茨城旭村の青果物管理センター

JA茨城旭村 倉谷さん
ここはメロンとトマトのみの選果場で、メロンが終わったあとの8月からはトマトの選果場になります。メロンはまさに今(5〜6月)が最盛期で、検査だけでなく4玉・5玉・6玉の箱詰め、そして出荷に向けての仕分けまで一貫してここで行なっているんですよ。5キロ箱で換算すると取扱量は最も多いときで約25,000箱。今日は22,000箱くらいかな。

22,000箱も!!こちらで取り扱っているメロンは?

配送トラックもメロン!

JA茨城旭村 倉谷さん
オトメメロン、アンデスメロン、クインシーメロンの3種類です。JA茨城旭村では4月からメロンを出荷し始めるんですよ。最初にオトメメロンで、5月から6月にかけて出荷するのは、アンデスメロンとクインシーメロンですね。

それぞれのメロンの特徴は?

JA茨城旭村・営農企画課の倉谷課長

JA茨城旭村 倉谷さん
オトメメロンはさわやかな甘さが特徴で、「おいしさ・ときめく・めぐりあい」の頭文字を取ってオトメメロンという名前になりました。味と香りが強いアンデスメロンは、「安心ですメロン」から名前が変化したんですよ。赤肉メロンのクインシーメロンは、βカロテンが豊富で抗酸化作用や風邪の予防にも期待されています。βカロテンはニンジンに含まれているものと一緒。だから果肉がオレンジ色なんです。

JA茨城旭村のメロンはハズレなしだとか?

選任検査員が熟練の目利きでチェック

JA茨城旭村 倉谷さん
生産者からJA茨城旭村の青果物管理センターに持ち込まれたメロンは、まず人の目によってネットの形状や傷などが選別されます。それから内部センサーと外部センサーの2つの光センサーで糖度と熟度、さらに大きさをチェックするんです。目視と光センサーによって選別されたメロンは特秀・秀・優などに規格分けされ、各データを記録したシール(商品タグ)が貼られます。秀は糖度14度以上、特秀は16度以上、そしてプレミアムなら18度以上と、甘さは保証付きですよ。

と、糖度18度以上!?・・・想像できない!

光センサーによる品質検査で内部を測定

JA茨城旭村 倉谷さん
光センサーでメロンの左右両側から光りを当て、光の透過具合によってメロンの糖度、熟度、水侵度(過熟を検知)を測定するんです。そのおかげでメロンを切らずに正確な品質がわかるようになりました。ここ(青果物管理センター)の心臓部と言える光センサーで選別された糖度18度以上のプレミアムは、JA茨城旭村から出荷されるメロン全体から見ても1%未満という稀少品ですよ。

むむ・・・何やら商品タグにも秘密がありそう

すべてのメロンにタグが貼られている  検査日を見れば食べごろがわかる!

食べごろの目安

JA茨城旭村 倉谷さん
光センサーがそれぞれのメロンが持っている個性(糖度、密度、大きさなど)を瞬時に判断し、1個1個に商品タグを貼っていきます。トレーサビリティシステムを導入しているので、貼られた商品タグに印刷されているQRコードを携帯電話やスマートフォンで読みとってもらうとさまざまな情報が表示されますよ。品種や等級、糖度といったそれぞれのメロンの情報はもちろん、生産者や農薬散布情報などもわかる画期的な取り組みになっています。

消費者の声が生産者にも届くんですね!

メロンへの愛情があふれる酒井さん

酒井さん
QRコードで自分の名前と顔も出るからね。それを見た人から「美味しかった」という言葉が届いたとJAの人から聞くと、やっぱりうれしいよね。作っている人間としては、そう言ってもらいたくて作っているんだから。励みにもなるよね。

メロンを35年間作り続けてもまだまだ素人?

今年のメロンも美味しそうですね!

JA茨城旭村 倉谷さん
JA全体としてはまずまず。昨年は大きすぎたので、今年はちょうどいい大きさかな。糖度ののりはとてもいいですね。
酒井さん
出来は悪くはないかな。うちは今年も結構大きなものも作ってるよ。「なにこれ?」と言われそうなもっと大きなメロンも作ろうと思えば作れるけど、売り物にならないから(笑)。

メロンを栽培し始めてからどれくらいですか?

酒井さん
本格的にメロンを作るようになってから35年くらいかな。「長く続けていてすごい」と言われることもあるけど、この時期は年に1回しかないから、まだ35回しかメロンを作っていないんだよね。毎年同じ気候なら簡単だけど、そうじゃないから毎年やることが変わってくる。だから35回なんてまだまだ素人だよ。

すくすくとメロンが育つ酒井さんのビニールハウス

JA茨城旭村 倉谷さん
実はメロンの生産者は減っているんです。最も多かった頃は生産者が400名以上で作付け面積も350ヘクタール以上でしたが、今は157名で132ヘクタールになってしまいました。クインシーメロンなどの春メロンは地這栽培で1株に4果、秋メロンは立体栽培で1株に1果。手間もかかるし一晩寒くなっただけでもダメになってしまうことがあるので、「メロンは割りに合わない」とほうれん草や水菜などの葉物栽培に切り替える生産者も多くいました。

メロン栽培は大変なんだなぁ~

JA茨城旭村 倉谷さん
特に交配と水の管理が非常に大事ですね。着果後は水、温度、湿度。着果後1ヶ月の管理で、いいメロンになるか悪いメロンになるかがほぼ決まります。

手間暇かけて育て上げた最高のメロン

酒井さん
毎日の管理はきついよ。メロンも人間と同じ生き物なので、子供と一緒で一瞬たりとも目が離せない。夕方にビニールハウスに来れば布団をかけてあげるようにビニールハウスを閉めるし、朝に来て喉が乾いているなと思えば水を差す。大変だけどいいものを作りたいという気持ちがあるからできるのかな。

その愛情がネットに表れる?

JA茨城旭村 倉谷さん
ネットはメロンの顔です。メロンの実は、最初は青肌というツルツルの状態で、そこに生じたひび割れを治療するためにコルク層ができてネットになっていくんです。そのひび割れが大きいと、人間がケガをしたときのかさぶたのように、修復のあとが大きくなってしまう。そうなると商品価値は下がってしまいますね。
酒井さん
メロンがキュッと締まった状態ならきれいなネットができる。しかし締まりすぎてしまうと今度は大割れしてしまう。夜の気温が低いとバリッと大きく割れてしまうから、そこを調節しながらいかにやんわりとネットを作り上げていくかが重要かな。

惜しくも割れてしまった……

JA茨城旭村 倉谷さん
その辺りは生産者の腕の見せ所ですね。

栽培スケジュールを教えてください

酒井さん
うちは播種の時期は別の野菜を作っているから、苗を買って定植からスタートだね。クインシーメロンはオトメメロンと比較するとすべて約1ヶ月遅れで、2月に定植して3月中旬以降に着果。うちは100%ミツバチ交配だよ。そして4月中旬以降からネットの形成が始まって、出荷するのは5月から6月。ハウスによって1週間ほど定植の日を変えているので、約1週間おきに次のクインシーメロンを出荷してるよ。

農薬はどのように役立っていますか?

トマトには害虫のアザミウマメロンには問題なし

酒井さん
農薬を使うのは定植のあとで、つる枯病やアブラムシ対策などのため。最近は管理の方法や天気予報の精度が上がってきたから病気が突然発生することは少ないので、収穫前の20~30日間くらいは農薬を使わないこともあるかな。大変なのは、果物として出荷しているメロンと漬物用として出荷しているメロンでは農薬を変えないといけないことだね。

どちらもメロンなのに農薬の使い分けが必要なの?

酒井さん
同じメロンでも「成熟した果実を収穫する」メロンと「未成熟な果実を収穫する」漬物用メロンでは登録されている農薬が違うから、別々に考えないといけないんだよね。メロンはメロン、ウリはウリ。もちろんメロンと漬物用メロンは別々に管理していて、それぞれに登録されている農薬だけを使っているからどちらも安心して食べられるよ。

今年も順調に出荷できていると笑顔の酒井さん

JA茨城旭村 倉谷さん
そこのところは、JAでもしっかり指導しています。ほかの野菜もそうですが、メロンも農薬がなければ作ることはできませんからね。皆さんに安心して食べていただけるように。

美味しいメロンがずらりと並ぶサングリーン旭

サングリーン旭で人気のメロンは?

メロンのオブジェが目印  店内にはメロンだけでなく
                    さまざまな青果がいっぱい!

サングリーン旭 小沼店長
オトメメロンの出荷が終わってしまったので、今はアンデスメロンとクインシーメロンですね。糖度と大きさを確認して、みなさん買われていきます。朝に訪れていただければ、メロンがタワーのように積まれていますよ。

メロンの箱がかっこいいですね!

重厚な箱に詰められたプレミアム

サングリーン旭 小沼店長
サングリーン旭限定の箱になっていて、「箱がいいね」と言って買ってくださるお客さんも多いです。好まれているのは3Lサイズが4玉入っているものですね。昔は「4」という数字は縁起が悪いということで買われる方は少なかったんですが、最近は人気となっています。

鉾田市や旧旭村のメロンはメディアでよく取り上げられますね

JA茨城旭村 倉谷さん
茨城県や鉾田市もPRをしていますし、地元出身のお笑い芸人・カミナリとコラボレーションしてアピールもしています。しかしJA茨城旭村のメロンは流通業界では知られていても、一般消費者にはまだ浸透していないかもしれません。これからもっと若い世代にもアピールしないといけないですね。
酒井さん
俺は最近、ラジオに出演して旧旭村のメロンを紹介してきたばかり。カミナリの石田たくみの父ちゃんは俺の同級生だから、これからもっとアピールしないといけないな(笑)。

美味しいメロンの選び方を教えてください

JA茨城旭村 倉谷さん
JA茨城旭村で出荷しているメロンは一定以上の糖度を保証しているので、どのメロンを選んでいただいても美味しいと感じてもらえると思います。プレミアムではなくても特秀で16度以上、最も数が多い秀でも14度以上ですから。

それでも、選ぶ目安が知りたいです!

この部分が膨らんでいれば食べごろ!

JA茨城旭村 倉谷さん
えっと・・・(汗)。私の経験上ですが、熟している・熟していないを見る目安はお尻の部分の形ですかね。最初は平らですが、そこが内圧で押されてせり出してくるので、丸くなっているものは熟しているといえます。もちろん熟していることにも限度はありますけどね。

消費者の方へのメッセージをお願いします!

メロンの出来栄えに笑顔はじけるJA倉谷さんと酒井さん

酒井さん
安心安全を第一にメロンを作っていますので、QRコードでさまざまな情報を確認してもらい、ぜひぜひ食べてみてください。そして美味しかったらまたひとつ、また次の年にもと、リピートしてくれるとうれしいです。美味しかったという言葉と何度も味わってもらえることが、作っている側としては一番喜ばしいことなんです。
  • JA茨城旭村 クインシーメロン メロンの生産量日本一を誇る茨城県。旧旭村をエリアとするJA茨城旭村のメロン栽培は、50年以上前に麦や芋に代わる作物としてスタートしました。黒褐色火山灰の水はけの良い土壌や昼夜の大きな寒暖差など、メロンに最適な栽培環境によって作付面積を順調に増やしていき、現在では4月から6月の3ヶ月に渡ってメロンを出荷・販売しています。長い歴史に裏付けられた生産者の努力と、青果物管理センターに導入されたトレーサビリティシステムなどの最新設備によって供給される安心・安全、そして甘さなどの品質も保証されたメロン。クインシーメロンは芳醇な甘さと独特の香り、そして滑らかな舌触りが贅沢な赤肉メロンです。

  • JA茨城旭村 クインシーメロン

春メロン 栽培スケジュール(クインシーメロンの場合)

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手のかかるキミにメロンメロン

酒井孝明(さかいたかあき)さん

酒井孝明(さかいたかあき)さん

茨城県は国内生産量1/4のシェアを持つメロンの名産地。その中でも鉾田市は県内生産量の約65%を誇っています。今回は50年以上の歴史を持つJA茨城旭村のメロン部会で、副部会長を務めている酒井孝明さんの畑を訪ねてお話を聞きました。

鉾田市

鉾田市

東を鹿島灘に沿って位置する鉾田市は、2005年に旭村、鉾田町、大洋村が合併して誕生。平坦な地形と温和な気候を活かした全国有数の野菜の生産地として知られています。JA茨城旭村は旧旭村をエリアとし、メロンのほかにもトマトやいちご、ほうれん草など、さまざまな野菜や果物を出荷しています。取材日:2019年6月

うわぁ!大きな選果場ですね!

JA茨城旭村 倉谷さん
ここはメロンとトマトのみの選果場で、メロンが終わったあとの8月からはトマトの選果場になります。メロンはまさに今(5〜6月)が最盛期で、検査だけでなく4玉・5玉・6玉の箱詰め、そして出荷に向けての仕分けまで一貫してここで行なっているんですよ。5キロ箱で換算すると取扱量は最も多いときで約25,000箱。今日は22,000箱くらいかな。

JA茨城旭村の青果物管理センター

22,000箱も!!
こちらで取り扱っているメロンは?

JA茨城旭村 倉谷さん
オトメメロン、アンデスメロン、クインシーメロンの3種類です。JA茨城旭村では4月からメロンを出荷し始めるんですよ。最初にオトメメロンで、5月から6月にかけて出荷するのは、アンデスメロンとクインシーメロンですね。

配送トラックもメロン!

それぞれのメロンの特徴は?

JA茨城旭村 倉谷さん
オトメメロンはさわやかな甘さが特徴で、「おいしさ・ときめく・めぐりあい」の頭文字を取ってオトメメロンという名前になりました。味と香りが強いアンデスメロンは、「安心ですメロン」から名前が変化したんですよ。赤肉メロンのクインシーメロンは、βカロテンが豊富で抗酸化作用や風邪の予防にも期待されています。βカロテンはニンジンに含まれているものと一緒。だから果肉がオレンジ色なんです。

JA茨城旭村・営農企画課の倉谷課長

JA茨城旭村のメロンはハズレなしだとか?

JA茨城旭村 倉谷さん
生産者からJA茨城旭村の青果物管理センターに持ち込まれたメロンは、まず人の目によってネットの形状や傷などが選別されます。それから内部センサーと外部センサーの2つの光センサーで糖度と熟度、さらに大きさをチェックするんです。目視と光センサーによって選別されたメロンは特秀・秀・優などに規格分けされ、各データを記録したシール(商品タグ)が貼られます。秀は糖度14度以上、特秀は16度以上、そしてプレミアムなら18度以上と、甘さは保証付きですよ。

選任検査員が熟練の目利きでチェック

と、糖度18度以上!?・・・想像できない!

JA茨城旭村 倉谷さん
光センサーでメロンの左右両側から光りを当て、光の透過具合によってメロンの糖度、熟度、水侵度(過熟を検知)を測定するんです。そのおかげでメロンを切らずに正確な品質がわかるようになりました。ここ(青果物管理センター)の心臓部と言える光センサーで選別された糖度18度以上のプレミアムは、JA茨城旭村から出荷されるメロン全体から見ても1%未満という稀少品ですよ。

光センサーによる品質検査で内部を測定

むむ・・・
何やら商品タグにも秘密がありそう

JA茨城旭村 倉谷さん
光センサーがそれぞれのメロンが持っている個性(糖度、密度、大きさなど)を瞬時に判断し、1個1個に商品タグを貼っていきます。トレーサビリティシステムを導入しているので、貼られた商品タグに印刷されているQRコードを携帯電話やスマートフォンで読みとってもらうとさまざまな情報が表示されますよ。品種や等級、糖度といったそれぞれのメロンの情報はもちろん、生産者や農薬散布情報などもわかる画期的な取り組みになっています。

すべてのメロンにタグが貼られている

検査日を見れば食べごろがわかる!

食べごろ目安!

消費者の声が生産者にも届くんですね!

酒井さん
QRコードで自分の名前と顔も出るからね。それを見た人から「美味しかった」という言葉が届いたとJAの人から聞くと、やっぱりうれしいよね。作っている人間としては、そう言ってもらいたくて作っているんだから。励みにもなるよね。

メロンへの愛情があふれる酒井さん

メロンを35年間作り続けてもまだまだ素人?

今年のメロンも美味しそうですね!

JA茨城旭村 倉谷さん
JA全体としてはまずまず。昨年は大きすぎたので、今年はちょうどいい大きさかな。糖度ののりはとてもいいですね。
酒井さん
出来は悪くはないかな。うちは今年も結構大きなものも作ってるよ。「なにこれ?」と言われそうなもっと大きなメロンも作ろうと思えば作れるけど、売り物にならないから(笑)。

メロンを栽培し始めてからどれくらいですか?

酒井さん
本格的にメロンを作るようになってから35年くらいかな。「長く続けていてすごい」と言われることもあるけど、この時期は年に1回しかないから、まだ35回しかメロンを作っていないんだよね。毎年同じ気候なら簡単だけど、そうじゃないから毎年やることが変わってくる。だから35回なんてまだまだ素人だよ。
JA茨城旭村 倉谷さん
実はメロンの生産者は減っているんです。最も多かった頃は生産者が400名以上で作付け面積も350ヘクタール以上でしたが、今は157名で132ヘクタールになってしまいました。クインシーメロンなどの春メロンは地這栽培で1株に4果、秋メロンは立体栽培で1株に1果。手間もかかるし一晩寒くなっただけでもダメになってしまうことがあるので、「メロンは割りに合わない」とほうれん草や水菜などの葉物栽培に切り替える生産者も多くいました。

すくすくとメロンが育つ酒井さんのビニールハウス

メロン栽培は大変なんだなぁ~

JA茨城旭村 倉谷さん
特に交配と水の管理が非常に大事ですね。着果後は水、温度、湿度。着果後1ヶ月の管理で、いいメロンになるか悪いメロンになるかがほぼ決まります。
酒井さん
毎日の管理はきついよ。メロンも人間と同じ生き物なので、子供と一緒で一瞬たりとも目が離せない。夕方にビニールハウスに来れば布団をかけてあげるようにビニールハウスを閉めるし、朝に来て喉が乾いているなと思えば水を差す。大変だけどいいものを作りたいという気持ちがあるからできるのかな。

手間暇かけて育て上げた最高のメロン

その愛情がネットに表れる?

JA茨城旭村 倉谷さん
ネットはメロンの顔です。メロンの実は、最初は青肌というツルツルの状態で、そこに生じたひび割れを治療するためにコルク層ができてネットになっていくんです。そのひび割れが大きいと、人間がケガをしたときのかさぶたのように、修復のあとが大きくなってしまう。そうなると商品価値は下がってしまいますね。
酒井さん
メロンがキュッと締まった状態ならきれいなネットができる。しかし締まりすぎてしまうと今度は大割れしてしまう。夜の気温が低いとバリッと大きく割れてしまうから、そこを調節しながらいかにやんわりとネットを作り上げていくかが重要かな。
JA茨城旭村 倉谷さん
その辺りは生産者の腕の見せ所ですね。

惜しくも割れてしまった……

栽培スケジュールを教えてください

酒井さん
うちは播種の時期は別の野菜を作っているから、苗を買って定植からスタートだね。クインシーメロンはオトメメロンと比較するとすべて約1ヶ月遅れで、2月に定植して3月中旬以降に着果。うちは100%ミツバチ交配だよ。そして4月中旬以降からネットの形成が始まって、出荷するのは5月から6月。ハウスによって1週間ほど定植の日を変えているので、約1週間おきに次のクインシーメロンを出荷してるよ。

農薬はどのように役立っていますか?

酒井さん
農薬を使うのは定植のあとで、つる枯病やアブラムシ対策などのため。最近は管理の方法や天気予報の精度が上がってきたから病気が突然発生することは少ないので、収穫前の20~30日間くらいは農薬を使わないこともあるかな。大変なのは、果物として出荷しているメロンと漬物用として出荷しているメロンでは農薬を変えないといけないことだね。

トマトには害虫のアザミウマメロンには問題なし

どちらもメロンなのに農薬の使い分けが必要なの?

酒井さん
同じメロンでも「成熟した果実を収穫する」メロンと「未成熟な果実を収穫する」漬物用メロンでは登録されている農薬が違うから、別々に考えないといけないんだよね。メロンはメロン、ウリはウリ。もちろんメロンと漬物用メロンは別々に管理していて、それぞれに登録されている農薬だけを使っているからどちらも安心して食べられるよ。
JA茨城旭村 倉谷さん
そこのところは、JAでもしっかり指導しています。ほかの野菜もそうですが、メロンも農薬がなければ作ることはできませんからね。皆さんに安心して食べていただけるように。

今年も順調に出荷できていると笑顔の酒井さん

美味しいメロンがずらりと並ぶサングリーン旭

サングリーン旭で人気のメロンは?

サングリーン旭 小沼店長
オトメメロンの出荷が終わってしまったので、今はアンデスメロンとクインシーメロンですね。糖度と大きさを確認して、みなさん買われていきます。朝に訪れていただければ、メロンがタワーのように積まれていますよ。

メロンのオブジェが目印

店内にはメロンだけでなくさまざまな青果がいっぱい!

メロンの箱がかっこいいですね!

サングリーン旭 小沼店長
サングリーン旭限定の箱になっていて、「箱がいいね」と言って買ってくださるお客さんも多いです。好まれているのは3Lサイズが4玉入っているものですね。昔は「4」という数字は縁起が悪いということで買われる方は少なかったんですが、最近は人気となっています。

重厚な箱に詰められたプレミアム

鉾田市や旧旭村のメロンはメディアでよく取り上げられますね

JA茨城旭村 倉谷さん
茨城県や鉾田市もPRをしていますし、地元出身のお笑い芸人・カミナリとコラボレーションしてアピールもしています。しかしJA茨城旭村のメロンは流通業界では知られていても、一般消費者にはまだ浸透していないかもしれません。これからもっと若い世代にもアピールしないといけないですね。
酒井さん
俺は最近、ラジオに出演して旧旭村のメロンを紹介してきたばかり。カミナリの石田たくみの父ちゃんは俺の同級生だから、これからもっとアピールしないといけないな(笑)。

美味しいメロンの選び方を教えてください

JA茨城旭村 倉谷さん
JA茨城旭村で出荷しているメロンは一定以上の糖度を保証しているので、どのメロンを選んでいただいても美味しいと感じてもらえると思います。プレミアムではなくても特秀で16度以上、最も数が多い秀でも14度以上ですから。

それでも、選ぶ目安が知りたいです!

JA茨城旭村 倉谷さん
えっと・・・(汗)。私の経験上ですが、熟している・熟していないを見る目安はお尻の部分の形ですかね。最初は平らですが、そこが内圧で押されてせり出してくるので、丸くなっているものは熟しているといえます。もちろん熟していることにも限度はありますけどね。

この部分が膨らんでいれば食べごろ!

消費者の方へのメッセージをお願いします!

酒井さん
安心安全を第一にメロンを作っていますので、QRコードでさまざまな情報を確認してもらい、ぜひぜひ食べてみてください。そして美味しかったらまたひとつ、また次の年にもと、リピートしてくれるとうれしいです。美味しかったという言葉と何度も味わってもらえることが、作っている側としては一番喜ばしいことなんです。

メロンの出来栄えに笑顔はじけるJA倉谷さんと酒井さん

JA茨城旭村クインシーメロン

JA茨城旭村クインシーメロン
メロンの生産量日本一を誇る茨城県。旧旭村をエリアとするJA茨城旭村のメロン栽培は、50年以上前に麦や芋に代わる作物としてスタートしました。黒褐色火山灰の水はけの良い土壌や昼夜の大きな寒暖差など、メロンに最適な栽培環境によって作付面積を順調に増やしていき、現在では4月から6月の3ヶ月に渡ってメロンを出荷・販売しています。長い歴史に裏付けられた生産者の努力と、青果物管理センターに導入されたトレーサビリティシステムなどの最新設備によって供給される安心・安全、そして甘さなどの品質も保証されたメロン。クインシーメロンは芳醇な甘さと独特の香り、そして滑らかな舌触りが贅沢な赤肉メロンです。
春メロン 栽培スケジュール(クインシーメロンの場合)
春メロン 栽培スケジュール(クインシーメロンの場合)

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