旬素材の産地から

旬素材の産地から 恋するレタス農家さん 藤井和美(ふじいかずみ)さん
                    茨城県認定の女性農業士として、地元のレタス農家を束ねる人気者がいると聞いて茨城県坂東市長須へ。農家の後継ぎではなく、メーカーの品質管理部門でOLをしていたという藤井さんが、ご主人の実家の畑作を手伝うようになったのは10数年前。子育てがひと段落して始めたレタス栽培ですが、その視野は世界に開けています。
                    茨城県の南西部に位置し、レタスとねぎの大産地として知られる坂東市。JA岩井の管轄地で、見渡す限りの平野に大型の畑地が広がっています。茨城県のレタスの生産量は全国2位。坂東地区では春秋の2回、レタスが収穫されます。日本最大の消費地、東京・神奈川に近く、JA岩井の野菜予冷センターから都内の物流拠点までトラックで約1時間半の距離にあります。

「レタスが高騰!」がニュースですね

畑のそばにある自宅で語る藤井さん

藤井さん
もう怒ってます(笑)なぜレタスだけを、メディアは取り上げるの?キャベツやトマトだって値上りしているのに、レタスが悪者にされる~(笑)

あはは。なぜか、メディアはレタス好き!

藤井さん
私、よくラジオを聴きますが、安いときには一切取上げてくれないのに、ちょっと高くなると大声で槍玉に上げる。もう。悲しくなっちゃう(笑)

食卓で一番、愛されているからですよ!

藤井さん
ほんとですか~。そうだといいけど。でも、値が高くなるとすぐに、台湾やアメリカから輸入する業者さんもいらっしゃいますよね(笑)。もっとレタスを大事にしてほしいんです。日本の野菜の貴重さを、わかってほしいんです!

ヨーロッパへ農業研修に 行かれた?

わが子のようにレタスを大切に扱う

藤井さん
はい、もう10年前です。茨城県から女性農業士に認定された翌年、他の女性農業士と一緒にヨーロッパへ研修に行きました。10名のツアーでした。オランダ、ドイツ、スイス、フランスを回ってきましたが、どの国も日本とはまったく違う農業をやっていて驚きました。

女性農業士って、なに?

藤井さん
ちょっと恥ずかしいんですが、茨城県の農業の将来を担うリーダーとして県から任命された女性たちです。日本の食を支える農業が、ほんとはとても魅力的な職業であることを、女性の視点で伝えたいと考えています。

ヨーロッパで実感したことは?

藤井さん
国の農業に対する取組み方が違いますね。ヨーロッパの国では、第一次産業が国民総生産の3割を切ったら国が成り立たないと考えています。ベースが全然違う。だから農業を大切にする文化があります。国民性が育っています。環境や、健康に対する認識が日本より進んでいるのは、この「農業を大事にする精神」があるからだと思います。

不揃いの野菜を嫌う、日本人!

ご主人は、畑でも良きパートナー

藤井さん
最近は日本人もだいぶ変わってきましたが・・・ヨーロッパでは野菜の形がどうあれ、いいものはいい、大丈夫!とまったく気にしません。農業に対する理解というか、自然の恵に対する価値観が違います。

農業へのリスペクトですね

藤井さん
そう思います。農業の貴重さを、もっと日本の皆さんに知ってもらいたい。そんなメッセージが発信できる農家になりたいと思いました。大きな刺激を受けると、人はやる気になりますよね。ヨーロッパから帰って成田空港に降り立ったときは、胸がふくらんでいました(笑)。

さっそく、野菜づくりに取り組んだ?

茨城の風景によく馴染む!

藤井さん
やりましたよー(笑)。日本人がまだ知らないヨーロッパ野菜に取り組みました。新しい市場を作るぐらいの意気込みでね。紫の人参、黄色の人参、白なす、フェンネルなど、インターネットで種から取り寄せて、もういろいろ試行錯誤して作りましたね。6~7年前のことです。

やった、大成功?

藤井さん
それが全然ダメでした(笑)。作っても売る先がないのです。早すぎたんですね。最近になって友達に、「雑誌が紫の人参を取り上げている」「白いナスを出すレストランができた」とか言われます。あちゃ、早すぎた~(笑)。だから今はもう「レタス一途!」地元の仲間と一緒に、おいしいレタスを作ることが楽しくて仕方がないんです。

こんな気候が続いたら! レタスは天候に8割左右されちゃう。

ひどい長雨でしたね!

収穫を語る、JA岩井の高橋さん

JA岩井 営農部長の高橋さん
夏の台風はなんとか免れましたが、そのあとの長雨がたたりました。日照不足ですね。露地栽培は天気に勝てません。JA岩井全体でみても、今年前半の収穫は、例年のほぼ半分。玉が小さすぎて市場へ出せませんでした。今年みたいな天気だと、打つ手がありません。

天候以外で、レタス作りで大切なことは?

JA高橋さん
土作りです。よく水分を通す、水はけの良い土を作ること。茨城の土は、もともとレタス栽培に適しているのですが、それぞれの農家が工夫しています。土作りからこだわって育てたレタスが「惚レタス」と「野菜名人」というJA岩井の2大ブランドです。とりわけ「野菜名人」は、高品質有機80%以上を含む肥料を使い、味もしっかりと美味しく育てています。藤井さんの畑でも、こだわりの土で作ってもらっています。

藤井家の土づくりの、こだわりポイントは?

畑の恵は、元気な土のおかげ

藤井さん
毎年、8月から9月末にかけて窒素・リン酸・カリウムを土に入れています。堆肥は豚糞を使います。あと糠を入れるのが藤井家流ですかね。

農家の数だけ、土作りがある!

藤井さん
はい、どう取り組むかは経営者しだいです(笑)。JA岩井のレタス農家は、288軒ありますが、どの農家も独自に工夫していると思います。地力をいかに高めるかが、一番大事です。

「地力」ですか!

藤井さん
そう、地力です。手間暇はかかりますが、かけただけ返ってきます。ヨーロッパの農家がどれだけ地力を大事にしているか。海外で学んだことを、しっかり実践しています。

レタスの栽培スケジュールを 教えてください

白いマルチが敷かれたレタス畑

藤井さん
秋レタスの場合、播種が8月の中旬頃から。育苗に20~30日かけて、定植が9月上旬になります。収穫までに60~80日ですね。寒くなるほど育苗期間が長くなりますが、定植の3~4日前にマルチを敷きます。

マルチって、なんですか?

JA高橋さん
マルチというのはレタス畑の表面に敷くビニールシートのこと。雑草や害虫を防いだり、降雨時の泥はねを避ける効果もあります。温度調節のために夏場は白いものを、冬場は黒っぽいマルチを使います。

マルチがあっても、 気候変動には勝てない?

JA岩井の2大ブランド 「野菜名人」と「惚レタス」

JA高橋さん
今年のように長雨が続いてしまうと、レタスが大きく育ちません。規格外のものしか採れず、たくさん廃棄することになります。

レタス作りのために、農薬は役立っていますか?

藤井さん
はい。100%信じて使っています。安心安全なレタス作りのために欠かせません。気候変動が激しいと、病気や害虫も読めません。時期外れに病気が広がることもあるし、どんな害虫がでてくるかわかりません。農薬はますます大切になると思います。

農薬を使うスケジュールは!

1日、平均1万5千ケース 出荷するJA岩井のレタス

藤井さん
秋レタスで心配な病気は、菌核病です。株元に黒い核ができて、レタスが倒れてしまう怖い病気です。菌核病の対策としては11月に、JA岩井が指導する農薬を散布しています。害虫で心配なのは、ヨトウムシとオオタバコガです。こちらは9月、10月の結球開始期に専用の農薬を使用しています。

ある農薬がレタス作りを変えた って、本当ですか!

出荷先は太田、築地、横浜などの 市場の他、北海道へも

JA高橋さん
本当ですよ。5年程前にでてきた農薬で、定植前に苗に灌注すると、約一ヶ月、害虫被害の心配がない画期的な農薬の処理技術です。これさえあれば出荷時期まで害虫防除をしなくても大丈夫なことが多いです。

すごい、まるでレタス革命ですね

藤井さん
はい。今はその防除技術も当たり前になったけど、以前は、植えるとすぐに殺虫剤を散布する必要があり大変でした。

女性農業士として、ミニマム倶楽部を運営

藤井さんは、元OLだった?

レタスの基本は、ご主人から教わった

藤井さん
はい、品質管理の仕事をしていました。もちろんメーカーですから扱っていたのは工業製品ですけど(笑)。結婚した主人の実家が農家だったので、子供が大きくなってから主人を手伝うようになりました。

今では、女性農業従事者のリーダーに!

藤井さん
なんでもチャレンジしたがる性格だったのですが、ヨーロッパ研修に行かせていただいて俄然、農業が楽しくなりました。女性農業士になって、みんなでレタス栽培の講習に参加したり、他品種を育てる農家さんとの異農種交流会に出かけたり。

ミニマム倶楽部って、なんですか?

JA岩井営農部長の高橋さんと、藤井さんご夫妻

藤井さん
最近、ちょっと活動が静かになっていますが、女性農業者を中心にレタスやカリフラワー農家の女性が集まっている勉強会ですね。男性は気軽に産地見学に行けますが、女性はそうはいきません。だから女性が自由に動ける倶楽部を作りたいと(笑)。昨年も女10人で、長野のレタス産地へ見学に行きました。

藤井さんにとって、 レタス作りの魅力ってなに?

予冷して、トラックへ

藤井さん
仲間がたくさんいることですね。一人ではどんな農業だって大変だけど、レタス作りに精を出す人が茨城にはたくさんいます。女性だって増えてきました。収穫はもちろんうれしいですが、その過程を仲間とワイワイやるのが楽しいんです。

なんか、楽しそうですね!

藤井さん
お天気には泣かされますが、野菜づくりは楽しいですよ。土を育てて地力をつけて、知恵を絞って雨風を凌いで、農薬を上手に使って美味しいレタスを育てる。自分が育てたレタスが、畑一面にかわいい顔を並べたら・・・これほど楽しいことはありません。

農業を楽しむコツって、なんですか?

藤井さん
垣根をとっぱらうことですね。地域の境界もいらないし、男女の区別もいりません。知恵も情報も分け合って、みんなで一緒に農業を進めていけばいい。主婦の目線で畑と向き合えば、もっとおいしい野菜が作れるはずです。若い女性に農業に参加してもらいたいですね。

大好きなレタス料理を教えて?

レタス料理はJA岩井のホームページで

藤井さん
その質問、もう何十回も答えたので(笑)JA岩井のホームページで見てください。私のお勧めレシピがいっぱい載っています。

そこを、なんとか、 ひとつだけ!

レタスに恋する、仲よし農家さん

藤井さん
じゃ、私が毎朝食べているレタス料理をひとつだけ。8枚切りのトーストを2枚用意して、ちぎったレタスを山盛りトーストに乗せ、その上にチーズとハムを。パンで挟んでオーブントースターでチンすれば、しんなりレタスの上にチーズがとろけて、なんて美味なの!!私は毎朝、飽きることなく食べています。

やった  藤井さん特製 オーブン・レタスサンド

晴れた日は、筑波山が望める

藤井さん
私が作ったレタスを挟めば、世界一おいしいよ!
  • 茨城のレタス 茨城県は全国2位の生産量を誇るレタス王国です。レタスの生育は涼しい気候が適しており、夏は長野県などの高冷地、春の3月~5月、秋の9月~11月は茨城を中心とした平野部、冬は四国や九州などの暖地で行われ、季節ごとに栽培に適した産地が移り変わります。茨城県のレタス栽培は、今年で55周年を迎えます。県西地区のレタス(JA北つくば・JA常総ひかり・JA茨城むつみ・JA岩井)は「惚れ惚れ」してもらいたいという思いから、「惚レタス」というブランドで出荷しています。JA岩井農協園芸部のレタスは有機質豊富な「惚レタス専用肥料」を使うなど、健全な土作りからこだわり、農薬を適正に使用し、栽培の管理・記録を徹底しています。

  • 茨城のレタス

レタス 栽培スケジュール

恋するレタス農家さん

藤井和美(ふじいかずみ)さん

藤井和美(ふじいかずみ)さん

茨城県認定の女性農業士として、地元のレタス農家を束ねる人気者がいると聞いて茨城県坂東市長須へ。農家の後継ぎではなく、メーカーの品質管理部門でOLをしていたという藤井さんが、ご主人の実家の畑作を手伝うようになったのは10数年前。子育てがひと段落して始めたレタス栽培ですが、その視野は世界に開けています。

坂東市

坂東市

茨城県の南西部に位置し、レタスとねぎの大産地として知られる坂東市。JA岩井の管轄地で、見渡す限りの平野に大型の畑地が広がっています。茨城県のレタスの生産量は全国2位。坂東地区では春秋の2回、レタスが収穫されます。日本最大の消費地、東京・神奈川に近く、JA岩井の野菜予冷センターから都内の物流拠点までトラックで約1時間半の距離にあります。

レタスが高騰!」がニュースですね

藤井さん
もう怒ってます(笑)なぜレタスだけを、メディアは取り上げるの?キャベツやトマトだって値上りしているのに、レタスが悪者にされる〜(笑)

畑のそばにある自宅で語る藤井さん

あはは。なぜか、メディアはレタス好き!

藤井さん
私、よくラジオを聴きますが、安いときには一切取上げてくれないのに、ちょっと高くなると大声で槍玉に上げる。もう。悲しくなっちゃう(笑)

食卓で一番、愛されているからですよ!

藤井さん
ほんとですか~。そうだといいけど。でも、値が高くなるとすぐに、台湾やアメリカから輸入する業者さんもいらっしゃいますよね(笑)。もっとレタスを大事にしてほしいんです。日本の野菜の貴重さを、わかってほしいんです!

ヨーロッパへ農業研修に行かれた?

藤井さん
はい、もう10年前です。茨城県から女性農業士に認定された翌年、他の女性農業士と一緒にヨーロッパへ研修に行きました。10名のツアーでした。オランダ、ドイツ、スイス、フランスを回ってきましたが、どの国も日本とはまったく違う農業をやっていて驚きました。

わが子のようにレタスを大切に扱う

女性農業士って、なに?

藤井さん
ちょっと恥ずかしいんですが、茨城県の農業の将来を担うリーダーとして県から任命された女性たちです。日本の食を支える農業が、ほんとはとても魅力的な職業であることを、女性の視点で伝えたいと考えています。

ヨーロッパで実感したことは?

藤井さん
国の農業に対する取組み方が違いますね。ヨーロッパの国では、第一次産業が国民総生産の3割を切ったら国が成り立たないと考えています。ベースが全然違う。だから農業を大切にする文化があります。国民性が育っています。環境や、健康に対する認識が日本より進んでいるのは、この「農業を大事にする精神」があるからだと思います。

不揃いの野菜を嫌う、日本人!

藤井さん
最近は日本人もだいぶ変わってきましたが・・・ヨーロッパでは野菜の形がどうあれ、いいものはいい、大丈夫!とまったく気にしません。農業に対する理解というか、自然の恵に対する価値観が違います。

ご主人は、畑でも良きパートナー

農業へのリスペクトですね

藤井さん
そう思います。農業の貴重さを、もっと日本の皆さんに知ってもらいたい。そんなメッセージが発信できる農家になりたいと思いました。大きな刺激を受けると、人はやる気になりますよね。ヨーロッパから帰って成田空港に降り立ったときは、胸がふくらんでいました(笑)。

さっそく、野菜づくりに取り組んだ?

藤井さん
やりましたよー(笑)。日本人がまだ知らないヨーロッパ野菜に取り組みました。新しい市場を作るぐらいの意気込みでね。紫の人参、黄色の人参、白なす、フェンネルなど、インターネットで種から取り寄せて、もういろいろ試行錯誤して作りましたね。6~7年前のことです。

茨城の風景によく馴染む!

やった、大成功?

藤井さん
それが全然ダメでした(笑)。作っても売る先がないのです。早すぎたんですね。最近になって友達に、「雑誌が紫の人参を取り上げている」「白いナスを出すレストランができた」とか言われます。あちゃ、早すぎた~(笑)。だから今はもう「レタス一途!」地元の仲間と一緒に、おいしいレタスを作ることが楽しくて仕方がないんです。

こんな気候が続いたら!
レタスは天候に8割左右されちゃう。

ひどい長雨でしたね!

JA岩井 営農部長の高橋さん
夏の台風はなんとか免れましたが、そのあとの長雨がたたりました。日照不足ですね。露地栽培は天気に勝てません。JA岩井全体でみても、今年前半の収穫は、例年のほぼ半分。玉が小さすぎて市場へ出せませんでした。今年みたいな天気だと、打つ手がありません。

収穫を語る、JA岩井の高橋さん

天候以外で、レタス作りで大切なことは?

JA高橋さん
土作りです。よく水分を通す、水はけの良い土を作ること。茨城の土は、もともとレタス栽培に適しているのですが、それぞれの農家が工夫しています。土作りからこだわって育てたレタスが「惚レタス」と「野菜名人」というJA岩井の2大ブランドです。とりわけ「野菜名人」は、高品質有機80%以上を含む肥料を使い、味もしっかりと美味しく育てています。藤井さんの畑でも、こだわりの土で作ってもらっています。

藤井家の土づくりの、こだわりポイントは?

藤井さん
毎年、8月から9月末にかけて窒素・リン酸・カリウムを土に入れています。堆肥は豚糞を使います。あと糠を入れるのが藤井家流ですかね。

畑の恵は、元気な土のおかげ

農家の数だけ、土作りがある!

藤井さん
はい、どう取り組むかは経営者しだいです(笑)。JA岩井のレタス農家は、288軒ありますが、どの農家も独自に工夫していると思います。地力をいかに高めるかが、一番大事です。

地力」ですか!

藤井さん
そう、地力です。手間暇はかかりますが、かけただけ返ってきます。ヨーロッパの農家がどれだけ地力を大事にしているか。海外で学んだことを、しっかり実践しています。

レタスの栽培スケジュールを教えてください

藤井さん
秋レタスの場合、播種が8月の中旬頃から。育苗に20~30日かけて、定植が9月上旬になります。収穫までに60~80日ですね。寒くなるほど育苗期間が長くなりますが、定植の3~4日前にマルチを敷きます。

白いマルチが敷かれたレタス畑

マルチって、なんですか?

JA高橋さん
マルチというのはレタス畑の表面に敷くビニールシートのこと。雑草や害虫を防いだり、降雨時の泥はねを避ける効果もあります。温度調節のために夏場は白いものを、冬場は黒っぽいマルチを使います。

マルチがあっても、気候変動には勝てない?

JA高橋さん
今年のように長雨が続いてしまうと、レタスが大きく育ちません。規格外のものしか採れず、たくさん廃棄することになります。

JA岩井の2大ブランド 「野菜名人」と「惚レタス」

レタス作りのために、農薬は役立っていますか?

藤井さん
はい。100%信じて使っています。安心安全なレタス作りのために欠かせません。気候変動が激しいと、病気や害虫も読めません。時期外れに病気が広がることもあるし、どんな害虫がでてくるかわかりません。農薬はますます大切になると思います。

農薬を使うスケジュールは!

藤井さん
秋レタスで心配な病気は、菌核病です。株元に黒い核ができて、レタスが倒れてしまう怖い病気です。菌核病の対策としては11月に、JA岩井が指導する農薬を散布しています。害虫で心配なのは、ヨトウムシとオオタバコガです。こちらは9月、10月の結球開始期に専用の農薬を使用しています。

1日、平均1万5千ケース 出荷するJA岩井のレタス

ある農薬がレタス作りを変えたって、本当ですか!

JA高橋さん
本当ですよ。5年程前にでてきた農薬で、定植前に苗に灌注すると、約一ヶ月、害虫被害の心配がない画期的な農薬の処理技術です。これさえあれば出荷時期まで害虫防除をしなくても大丈夫なことが多いです。

出荷先は太田、築地、横浜などの 市場の他、北海道へも

すごい、まるでレタス革命ですね

藤井さん
はい。今はその防除技術も当たり前になったけど、以前は、植えるとすぐに殺虫剤を散布する必要があり大変でした。

女性農業士として、ミニマム倶楽部を運営

藤井さんは、元OLだった?

藤井さん
はい、品質管理の仕事をしていました。もちろんメーカーですから扱っていたのは工業製品ですけど(笑)。結婚した主人の実家が農家だったので、子供が大きくなってから主人を手伝うようになりました。

レタスの基本は、ご主人から教わった

今では、女性農業従事者のリーダーに!

藤井さん
なんでもチャレンジしたがる性格だったのですが、ヨーロッパ研修に行かせていただいて俄然、農業が楽しくなりました。女性農業士になって、みんなでレタス栽培の講習に参加したり、他品種を育てる農家さんとの異農種交流会に出かけたり。

ミニマム倶楽部って、なんですか?

藤井さん
最近、ちょっと活動が静かになっていますが、女性農業者を中心にレタスやカリフラワー農家の女性が集まっている勉強会ですね。男性は気軽に産地見学に行けますが、女性はそうはいきません。だから女性が自由に動ける倶楽部を作りたいと(笑)。昨年も女10人で、長野のレタス産地へ見学に行きました。

JA岩井営農部長の高橋さんと、藤井さんご夫妻

藤井さんにとって、レタス作りの魅力ってなに?

藤井さん
仲間がたくさんいることですね。一人ではどんな農業だって大変だけど、レタス作りに精を出す人が茨城にはたくさんいます。女性だって増えてきました。収穫はもちろんうれしいですが、その過程を仲間とワイワイやるのが楽しいんです。

予冷した後、トラックへ

なんか、楽しそうですね!

藤井さん
お天気には泣かされますが、野菜づくりは楽しいですよ。土を育てて地力をつけて、知恵を絞って雨風を凌いで、農薬を上手に使って美味しいレタスを育てる。自分が育てたレタスが、畑一面にかわいい顔を並べたら・・・これほど楽しいことはありません。

農業を楽しむコツって、なんですか?

藤井さん
垣根をとっぱらうことですね。地域の境界もいらないし、男女の区別もいりません。知恵も情報も分け合って、みんなで一緒に農業を進めていけばいい。主婦の目線で畑と向き合えば、もっとおいしい野菜が作れるはずです。若い女性に農業に参加してもらいたいですね。

大好きなレタス料理を教えて?

藤井さん
その質問、もう何十回も答えたので(笑)JA岩井のホームページで見てください。私のお勧めレシピがいっぱい載っています。

レタス料理はJA岩井のホームページで

そこを、なんとか、ひとつだけ!

藤井さん
じゃ、私が毎朝食べているレタス料理をひとつだけ。8枚切りのトーストを2枚用意して、ちぎったレタスを山盛りトーストに乗せ、その上にチーズとハムを。パンで挟んでオーブントースターでチンすれば、しんなりレタスの上にチーズがとろけて、なんて美味なの!!私は毎朝、飽きることなく食べています。

レタスに恋する、仲よし農家さん

やった 藤井さん特製オーブン・レタスサンド

藤井さん
私が作ったレタスを挟めば、世界一おいしいよ!

晴れた日は、筑波山が望める

茨城のレタス

茨城のレタス
茨城県は全国2位の生産量を誇るレタス王国です。レタスの生育は涼しい気候が適しており、夏は長野県などの高冷地、春の3月~5月、秋の9月~11月は茨城を中心とした平野部、冬は四国や九州などの暖地で行われ、季節ごとに栽培に適した産地が移り変わります。茨城県のレタス栽培は、今年で55周年を迎えます。県西地区のレタス(JA北つくば・JA常総ひかり・JA茨城むつみ・JA岩井)は「惚れ惚れ」してもらいたいという思いから、「惚レタス」というブランドで出荷しています。JA岩井農協園芸部のレタスは有機質豊富な「惚レタス専用肥料」を使うなど、健全な土作りからこだわり、農薬を適正に使用し、栽培の管理・記録を徹底しています。
レタス 栽培スケジュール
レタス 栽培スケジュール
旬素材の産地からの一覧