
この柿の木樹齢350年!?
- 右田さん
- 私が物心ついたとき親父が樹齢300年になると・・・今年、私は55才になりましたから、合計するとほぼ350才(笑)。
右田家の守り神ですね?
- 右田さん
- ずっと柿畑を見守ってくれています。いつかこの「甘柿・元山(がんざん)」の視点で、江戸時代から現代まで、この土地の物語を書いてみたい(笑)。
おもしろそうですね!観光農園も50年の歴史がある!
- 右田さん
- 昭和36年に父が始めました。まだ観光農園という概念がない時代です。柿を入れるビニール袋がなくて、うちの爺さんは竹籠を探しに出かけたといいます(笑)。
甘柿では日本一!
- 右田さん
- 福岡県は柿の生産量が全国3位ですが、甘柿に限れば全国で1位です。甘柿の代表が、この富有柿。
うわっ、甘—い。めちゃ美味しい
- 右田さん
- ありがとうございます。美味しい笑顔が、一番うれしいです。
ところで「冬柿」じゃなくて「富有柿」なんですか?(汗)
- 右田さん
- けっこういますよ「冬柿」と「富有柿」を間違えている人(笑)。富有柿は、甘さ、食感、ボリュームの三拍子が揃った甘柿の王様です。
これが、自慢の柿畑ですね。
- 右田さん
- 自宅から半径500メートルに2.5ヘクタール。他の柿畑を加えると4.5ヘクタールあります。
美しいですね!名曲の音符みたいな稜線♪
- 右田さん
- ありがとうございます。耳納山脈は郷土の誇りです。
どんな品種が穫れますか?
- 右田さん
- 富有柿をはじめ西村早生(にしむらわせ)、早秋(そうしゅう)、伊豆早生(いずわせ)、松本早生富有(まつもとわせふゆう)、太秋(たいしゅう)の6種類です。
桃栗3年柿8年・・・柿の栽培は難しい?
- 右田さん
- 植え付けから収穫まで3、4年。成園には10年の歳月が必要です。柿はじっくり育てていく果物です。右田果樹園では10アールに苗木を100本植えて、最終的には40本にまびきます。こうすることでしっかりした木が育ち、整然とした畑ができあがります。
1年間の栽培どんな手順?
- 右田さん
- 1年でゆっくりできるのは3月下旬から4月上旬の間だけ。4月中旬から防除作業が始まります。下旬になると摘蕾作業に入り、これが6月上旬まで。1つの枝に6~7個つく蕾を1つに絞ります。6月下旬から7、8月までは摘果作業。その間に虫に食われたもの、形が整わなかったものなどを調整します。
今年は大きな台風が来ましたね。
- 右田さん
- 18号、19号。鹿児島の西側を北上してきて、いきなり曲がって九州を横断しました。19号は900ヘクトパスカルの大型で心配しましたがことなきを得ました。毎年のことですが、こればかりは祈るしかありません。
9月~12月が収穫、その後は?
- 右田さん
- 12月上旬に富有柿の収穫が終わると剪定作業に入ります。4.5ヘクタール剪定すると3月20日頃までかかります。少しでも遅れると柿の芽が出てくるので、できるだけ早くやりたい。でも冬場は、農家の集まりがいろいろあって・・・。
みんなで旅行へ行ったり!
- 右田さん
- 地域のつながりが大事ですからね(笑)。
柿作りで、一番難しいのは?
- 右田さん
- 剪定です。その年の品質収量の半分は、剪定で決まります。これだけは人に手伝ってもらうことができません。剪定はセンスもいるし、一人前になるには5年、いや10年の経験が必要です。
どんなセンスが必要?
- 右田さん
- 想像力です。たとえば現在の樹形に、収穫時の樹形を思い描いて重ねてみるわけです。収穫時にどのくらいの間隔で、いくつ実がついているのが理想か・・・。とはいっても、ハサミを入れるのは直観ですから、すぐに見立てが変わったりするのですが(笑)。ただ1年365日、柿の木と会話していなければ、いい剪定はできません。柿作りが好き、これが一番大事なセンスじゃないですか。
まだ33回しか作ってない!
- 右田さん
- 私が柿を作ったのはまだ33回。柿農園は一年一作ですから、どんな大ベテランでも生涯40~50回しか作れません。私が作れるのは、がんばってもあと20回。一作、一作、素晴らしい柿を作りたいですね。