旬素材の産地から

旬素材の産地から デコポンと笑っていこう 山内良市(やまうちりょういち)さん 蜃気楼で有名な不知火(しらぬひ)から西へ、細長い半島を進むと、海に面した山肌にビニールハウスが点々と見える。デコポンの生産量日本一、JA熊本うき管内の宇城市三角町。この地で12ヘクタールの柑橘畑を営み、JA熊本うき柑橘部会長を務める山内さんを訪ねました。年平均気温17度、年間降水量1,967㎜。熊本県のほぼ中央、宇城市は温暖な気候を活かして野菜、果物の栽培が盛んなところ。なかでもデコポンやミカンなど柑橘類の栽培が多いのが島しょと呼ばれ、大小さまざまな島が連なる半島エリア。この辺りは明るい陽光が降りそそぐ、なだらかな傾斜地が続きます。

楽しいなぁ、熊本弁!

山内さん
天気になって、よかねー。ま、コーヒーでも飲んでください。山内家のインスタントコーヒーは、うまかです(笑)。

山内さん、 めちゃ取材慣れしてませんか?

山内さんは、笑顔がかわいい熊本男児

山内さん
慣れてはないけど、TPPのせいで最近取材が多いです。現場のナマの声が聞きたいと、新聞やテレビの関係者がやってきます。

TPP、大変ですか?

山内さん
私はJA熊本うきの柑橘部会の部会長の他に熊本県の果樹研究会長をやっています。その立場から言えば、TPPは大きな影響が避けられないですね。全貌はまだ見えませんが、県全体で何百億の影響がでるのか、試算して対応策を練っているところです。他県でもやっている最中だと思います。

柑橘部会として500軒を束ねている!

山内さん
みなさん理解があるから部会の運営はスムーズですよ。運営のコツですか?1人の生産者として、最善の方法を一生懸命考えて、みんなと一緒にやっていくことです。あ、答えが男前すぎました(笑)。

デコポンは、救世主だとか?

たわわに実ったジューシーなデコポン

山内さん
初めて販売したのは平成3年3月1日です。当時は、甘夏が価格的に落ち込み、伊予柑もダメになってきた頃でした。

オレンジの自由化も平成3年!

山内さん
オレンジ自由化で、ミカンの価格も極端に安くなってしまい、柑橘農家はひどい状況でした。そこに現れたのがデコポンです。今こうやって地元の農家が生活できるのはデコポンのおかげです。

え?柑橘系の栽培は、博打(ばくち)みたいなもの

山内さん
柑橘系の新品種はたくさん出るのですが、売れるかどうかはわかりません。人気がでても浮き沈みが激しくて、たとえば伊予柑は、絶好調と思っていたらドーンと売り上げが下がりました。博打みたいなものです。

石橋はコンクリートにして渡る、山内さん。 でもデコポンの栽培は、食べたその場で即決!

デコポンは大当たり!

山内さん
はい。でも軌道に乗せるのは簡単ではありませんでした。

石橋はコンクリートにして渡る 性格だとか(笑)

なだらかな斜面に、屋根かけの畑

山内さん
最初は庭先で少しだけ作りました。できたデコポンを一口ほおばると、これがうまい。神様の贈り物だと思いました。私は石橋を叩いてではなく、コンクリ-トにしてから渡るタイプ(笑)。その私が一口で決めた。すぐに畑へ行ってハウスを自分で組立てたのです。

儲かる、とわかると一気に

山内さん
「デコポンはいける」と他の農家に勧めましたが、広めるには時間がかかりました。ちゃんと収益が上がるのを見て、初めて「私もやる」と手をあげる。人間、現金なものです(笑)。

なぜ幸運が、舞い降りた?

ていねいに、一つ一つデコポンを収穫

山内さん
デコポンと出会えたのは、普段の行ないがよかったからだと思います(笑)。一生懸命、なにごともコツコツとやってきた、そのご褒美だと思います。

デコポンは25才、長寿ブランドですね

山内さん
はい。1品種で20年続く果樹は滅多にありません。今は品種の回転が速いですから。

あ、いい香り! 食べていいですか?

部屋いっぱいに、甘い香りが広がる

山内さん
どうぞ、どうぞ。いっぱい、食べてください。

あまーい。これが奇跡の味!

山内さん
いろいろな幸運が重なったと思います。糖度が高く、ほどよい酸味があり、果汁がたっぷり。香りが良くて、剥きやすくて、袋もおいしく食べられます。柑橘類のいいとこが一つになった奇跡の果樹です。

「いびつ」が、可愛いですね

山内さん
ありがとう。当時は、この形では売れないと言われました。ミカンは形も品質ですから。農家の人は「デコデコ」と呼んでいて、いびつな形を愛おしんでいました。それなら、いっそ、デコとポンカンのポンを合わせて「デコポン」と名付けて売り出そうと考えたのです。

すると、売れ出した!!

山内さん
すぐに市場で動きがありました。今考えると、おいしかったのはもちろんですが、いびつな形を逆に特徴として売り出したのもよかったと思います。人生、何が幸いするかわからない(笑)。

全国で、 デコポンの商標権を オープンに

農業にかける姿勢は、真剣そのもの

山内さん
デコポンの商標権は熊本県が持っています。各県で作るようになって、同じ種類の柑橘なのに「ヒメポン」とか、名前がちがうものが流通していました。これでは消費者が混乱すると、商標権をオープンにしたのです。今では愛媛も広島もデコポンの名で販売しています。

さすが熊本、男前!

山内さん
熊本だけでやっていれば、よかったという声もあります。でも全国のお客さんがデコポンを知る機会が増えたから、ここまで成長できたのだと思います。熊本県の戦略がよかったのです(笑)。

段々畑に、たわわに実るデコポン。 屋根かけの畑の中は、甘い香りでいっぱい!

すごーい、いちめん甘い香り!

今年も豊作、おいしく実りました

山内さん
傾斜がきついから気をつけてくださいね。デコポンの栽培は、加温(=ハウス)、屋根かけ、露地の3つの方法があります。ここは屋根かけの畑ですね。出荷は加温が12月、1月。屋根かけが2月、3月。露地ものが2月から6月末までです。

今年の出来栄えは?

山内さん
例年通りおいしいデコポンができました。ただ、異常気象のせいで被害も・・・。

具体的にどんな異常が?

山内さん
気温が高くなり、寒暖差が大きくなっています。それに集中豪雨が増えました。いままで予想できたことが、予想できなくなっています。台風が途中で消えてしまったり、数もずいぶん増えています。

収穫に影響がでましたか?

山内さん
平成26年の12月20日頃、突然、寒波がきました。1月収穫で申合せていた農家が、前倒しで作業をはじめました。JAの販売からすると早くちぎっちゃだめですが、農家は出荷できなくなるのが恐い。所得に響きますからね。

うーん。むずかしすぎるー!

太陽の光をいっぱい浴びる温かな緩斜面

山内さん
デコポン出荷順は、管内3500箇所の畑すべてで決めているのですが、こういう場合はどうしても問題がでてきます。しっかり話し合うしかないですね。

え、3500箇所の畑に、出荷順がある!

山内さん
はい。デコポンの糖度やクエン酸度を細かく測って、出荷の順番を決めています。あなたは2月、あなたは6月、品質を守るために農家には厳しく守っていただいています。

25年間デコポンと向き合ってきた山内さん。 農薬はどんな役目を担ってきましたか?

品質の基準は、何ですか!

うき地区の農家の生命線、 中晩柑管理記帳台帳

山内さん
品質には外観の評価もありますが、糖度とクエン酸度がいちばん大事。今は光センサーで測って、糖度13度以上、クエン酸1.0%以下の合格品だけを「デコポン」として出荷しています。基準値に届かないものは「不知火」という名前でブランドを使いわけています。

これが中晩柑(ちゅうばんかん)生産工程・管理記帳台帳ですか!

山内さん
中晩柑とは、温州みかん以外の柑橘類の総称です。この管理記帳台帳に、いつどんな農作業をしたか、どの農薬を何倍率でいつ散布したかなどを、各農家さんに細かく記入してもらい管理しています。

どんな農薬を、いつ使いますか?

黒点病にやられたデコポン

山内さん
葉につくダニの対策として、6月の梅雨前期に2種類のダニに、それぞれ最適な農薬を散布しています。また6月には黒点病に有効な農薬を3回に分けて使用。黒点病には7月、8月にも別の種類の農薬を使っていますね。いま一番気をつけている病気です。

農薬は、どんな役割がある?

山内さん
農薬は、デコポン栽培になくてはならないものです。肝心なのは使い方です。農薬の種類と使用時期はJA熊本うきの指導者が決めて、「中晩柑薬剤一覧」というシートにまとめて農家に配っています。このシートには突発的にでる病害虫への対処方も記載しています。

JA熊本うきと、しっかり連携!

JA熊本うきの土屋次長。 山内さんのよき相棒

山内さん
JA熊本うきが、必要な情報をファックスで一斉送信してくれます。風速とか、降雨量の予想とか。病害虫の発生時には、講習会を開いて対策を指導してくれます。残留農薬の検査も定期的に行っています。

デコポンを栽培して、一番うれしかったのは?

山内さん
収益が上がったときですね(笑)。デコポンが伸び盛りだった当時、1から10へ、100へと数量が増えましたが、そのペース通りお金が入ってきたときはうれしかったですね。男は勝負をしないといけない、とつくづく思いました(笑)。

市場価格は、1kg約1200円!

デコポンの品質チェックを行う 最先端の集荷場

山内さん
スーパーで買うと1つ400円くらいですね。高品質フルーツとして安心して食べていただいています。そうそう、デコポン農家には番付があるのですよ。

え、デコポン番付がある!

山内さん
JA熊本うきのデコポン農家は、500農家中何番という番付がでます。生産量であなたは何番、販売単価は何番、収益は何番というふうに自分の作ったものの評価が個人の順番としてでるのです。ライバルと競争ですから、勝ったときはうれしい。

上位に入る秘訣は!

バーコードをたどると生産者まで遡れる

山内さん
一言でいうと、ものづくりに対する熱意さですね。消毒する、予防する、肥料をきちんと与える・・・日々の作業をやり切ることです。

PRは、くまモンにお任せですね(笑)

デコポンのPR部長はくまモンだった!

山内さん
はい。熊本県の県民は、くまモンのキャラクターが自由に使えるので、大変お世話になっています。男前ですね、熊本県(笑)。

農林水産大臣賞、大賞をいただいた!

山内さん
平成14年に集団組織の部でいただきました。デコポンのおいしさを広め、ブランドとして全国に認知させたことが評価されたと思います。大きな励みになっています。

心配ごとといえば、やはりTPPですか?

山内さんの陽気なファミリーとJAの土屋さん

山内さん
はい。8年後には関税が撤廃されます。まだ影響の大きさはわかりませんが、生産者の心が折れなければと願うばかりです。まあ、今から心配しても仕方ない(笑)。

山内さん、がんばって!

山内さん
デコポンみたいに明るく、みんなと笑ってやっていきますよ。それが一番よか~。
  • JA熊本うきのデコポン 温暖な宇城地方はデコポンの栽培に適しており、特に海沿いのゆるやかな傾斜地は、冬場も温暖で、空からの太陽光と海面に反射する下からの太陽光が当たる恵まれた環境です。年間出荷量は約5,600トンと、熊本県内でもトップクラスです。収穫後の鮮度を保つため、「Pプラス」と呼ばれる特別な包装資材を使って出荷。近年は、樹上に遅くまで果実をならせて甘みなどの品質を上げた「こだわりデコポン」も工夫するなど、新しい技術も取り入れ一段と甘くてジューシーなデコポンを作っています。

  • JA熊本うきのデコポン

デコポン 栽培スケジュール

デコポンと笑っていこう

山内良市(やまうちりょういち)さん

山内良市(やまうちりょういち)さん

蜃気楼で有名な不知火(しらぬひ)から西へ、細長い半島を進むと、海に面した山肌にビニールハウスが点々と見える。デコポンの生産量日本一、JA熊本うき管内の宇城市三角町。この地で12ヘクタールの柑橘畑を営み、JA熊本うき柑橘部会長を務める山内さんを訪ねました。

三角町

三角町

年平均気温17度、年間降水量1,967㎜。熊本県のほぼ中央、宇城市は温暖な気候を活かして野菜、果物の栽培が盛んなところ。なかでもデコポンやミカンなど柑橘類の栽培が多いのが島しょと呼ばれ、大小さまざまな島が連なる半島エリア。この辺りは明るい陽光が降りそそぐ、なだらかな傾斜地が続きます。

楽しいなぁ、熊本弁!

山内さん
天気になって、よかねー。ま、コーヒーでも飲んでください。山内家のインスタントコーヒーは、うまかです(笑)。

山内さん、めちゃ取材慣れしてませんか?

山内さん
慣れてはないけど、TPPのせいで最近取材が多いです。現場のナマの声が聞きたいと、新聞やテレビの関係者がやってきます。

山内さんは、笑顔がかわいい熊本男児

TPP、大変ですか?

山内さん
私はJA熊本うきの柑橘部会の部会長の他に熊本県の果樹研究会長をやっています。その立場から言えば、TPPは大きな影響が避けられないですね。全貌はまだ見えませんが、県全体で何百億の影響がでるのか、試算して対応策を練っているところです。他県でもやっている最中だと思います。

柑橘部会として500軒を束ねている!

山内さん
みなさん理解があるから部会の運営はスムーズですよ。運営のコツですか?1人の生産者として、最善の方法を一生懸命考えて、みんなと一緒にやっていくことです。あ、答えが男前すぎました(笑)。

デコポンは、救世主だとか?

山内さん
初めて販売したのは平成3年3月1日です。当時は、甘夏が価格的に落ち込み、伊予柑もダメになってきた頃でした。

たわわに実ったジューシーなデコポン

オレンジの自由化も平成3年!

山内さん
オレンジ自由化で、ミカンの価格も極端に安くなってしまい、柑橘農家はひどい状況でした。そこに現れたのがデコポンです。今こうやって地元の農家が生活できるのはデコポンのおかげです。

え?柑橘系の栽培は、博打(ばくち)みたいなもの

山内さん
柑橘系の新品種はたくさん出るのですが、売れるかどうかはわかりません。人気がでても浮き沈みが激しくて、たとえば伊予柑は、絶好調と思っていたらドーンと売り上げが下がりました。博打みたいなものです。

石橋はコンクリートにして渡る、
山内さん。でもデコポンの栽培は、
食べたその場で即決!

デコポンは大当たり

山内さん
はい。でも軌道に乗せるのは簡単ではありませんでした。

石橋はコンクリートにして渡る性格だとか(笑)

山内さん
最初は庭先で少しだけ作りました。できたデコポンを一口ほおばると、これがうまい。神様の贈り物だと思いました。私は石橋を叩いてではなく、コンクリ-トにしてから渡るタイプ(笑)。その私が一口で決めた。すぐに畑へ行ってハウスを自分で組立てたのです。

なだらかな斜面に、屋根かけの畑

儲かる、とわかると一気に

山内さん
「デコポンはいける」と他の農家に勧めましたが、広めるには時間がかかりました。ちゃんと収益が上がるのを見て、初めて「私もやる」と手をあげる。人間、現金なものです(笑)。

なぜ幸運が、舞い降りた?

山内さん
デコポンと出会えたのは、普段の行ないがよかったからだと思います(笑)。一生懸命、なにごともコツコツとやってきた、そのご褒美だと思います。

ていねいに、一つ一つデコポンを収穫

デコポンは25才、長寿ブランドですね

山内さん
はい。1品種で20年続く果樹は滅多にありません。今は品種の回転が速いですから。

あ、いい香り!食べていいですか?

山内さん
どうぞ、どうぞ。いっぱい、食べてください。

部屋いっぱいに、甘い香りが広がる

あまーい。これが奇跡の味

山内さん
いろいろな幸運が重なったと思います。糖度が高く、ほどよい酸味があり、果汁がたっぷり。香りが良くて、剥きやすくて、袋もおいしく食べられます。柑橘類のいいとこが一つになった奇跡の果樹です。

「いびつ」が、可愛いですね

山内さん
ありがとう。当時は、この形では売れないと言われました。ミカンは形も品質ですから。農家の人は「デコデコ」と呼んでいて、いびつな形を愛おしんでいました。それなら、いっそ、デコとポンカンのポンを合わせて「デコポン」と名付けて売り出そうと考えたのです。

すると、売れ出した!!

山内さん
すぐに市場で動きがありました。今考えると、おいしかったのはもちろんですが、いびつな形を逆に特徴として売り出したのもよかったと思います。人生、何が幸いするかわからない(笑)。

全国で、デコポンの商標権をオープンに

山内さん
デコポンの商標権は熊本県が持っています。各県で作るようになって、同じ種類の柑橘なのに「ヒメポン」とか、名前がちがうものが流通していました。これでは消費者が混乱すると、商標権をオープンにしたのです。今では愛媛も広島もデコポンの名で販売しています。

農業にかける姿勢は、真剣そのもの

さすが熊本、男前!

山内さん
熊本だけでやっていれば、よかったという声もあります。でも全国のお客さんがデコポンを知る機会が増えたから、ここまで成長できたのだと思います。熊本県の戦略がよかったのです(笑)。

段々畑に、たわわに実るデコポン。
屋根かけの畑の中は、
甘い香りでいっぱい!

すごーい、いちめん甘い香り!

山内さん
傾斜がきついから気をつけてくださいね。デコポンの栽培は、加温(=ハウス)、屋根かけ、露地の3つの方法があります。ここは屋根かけの畑ですね。出荷は加温が12月、1月。屋根かけが2月、3月。露地ものが2月から6月末までです。

今年も豊作、おいしく実りました

今年の出来栄えは?

山内さん
例年通りおいしいデコポンができました。ただ、異常気象のせいで被害も・・・。

具体的にどんな異常が?

山内さん
気温が高くなり、寒暖差が大きくなっています。それに集中豪雨が増えました。いままで予想できたことが、予想できなくなっています。台風が途中で消えてしまったり、数もずいぶん増えています。

収穫影響がでましたか?

山内さん
平成26年の12月20日頃、突然、寒波がきました。1月収穫で申合せていた農家が、前倒しで作業をはじめました。JAの販売からすると早くちぎっちゃだめですが、農家は出荷できなくなるのが恐い。所得に響きますからね。

うーん。むずかしすぎるー!

山内さん
デコポン出荷順は、管内3500箇所の畑すべてで決めているのですが、こういう場合はどうしても問題がでてきます。しっかり話し合うしかないですね。

太陽の光をいっぱい浴びる温かな緩斜面

え、3500箇所の畑に、出荷順がある!

山内さん
はい。デコポンの糖度やクエン酸度を細かく測って、出荷の順番を決めています。あなたは2月、あなたは6月、品質を守るために農家には厳しく守っていただいています。

25年間デコポンと向き合ってきた山内さん。
農薬はどんな役目を担ってきましたか?

品質の基準は、何ですか!

山内さん
品質には外観の評価もありますが、糖度とクエン酸度がいちばん大事。今は光センサーで測って、糖度13度以上、クエン酸1.0%以下の合格品だけを「デコポン」として出荷しています。基準値に届かないものは「不知火」という名前でブランドを使いわけています。

うき地区の農家の生命線、 中晩柑管理記帳台帳

これが中晩柑(ちゅうばんかん)生産工程・管理記帳台帳ですか!

山内さん
中晩柑とは、温州みかん以外の柑橘類の総称です。この管理記帳台帳に、いつどんな農作業をしたか、どの農薬を何倍率でいつ散布したかなどを、各農家さんに細かく記入してもらい管理しています。

どんな農薬を、いつ使いますか

山内さん
葉につくダニの対策として、6月の梅雨前期に2種類のダニに、それぞれ最適な農薬を散布しています。また6月には黒点病に有効な農薬を3回に分けて使用。黒点病には7月、8月にも別の種類の農薬を使っていますね。いま一番気をつけている病気です。

黒点病にやられたデコポン

農薬は、どんな役割がある?

山内さん
農薬は、デコポン栽培になくてはならないものです。肝心なのは使い方です。農薬の種類と使用時期はJA熊本うきの指導者が決めて、「中晩柑薬剤一覧」というシートにまとめて農家に配っています。このシートには突発的にでる病害虫への対処方も記載しています。

JA熊本うきと、しっかり連携!

山内さん
JA熊本うきが、必要な情報をファックスで一斉送信してくれます。風速とか、降雨量の予想とか。病害虫の発生時には、講習会を開いて対策を指導してくれます。残留農薬の検査も定期的に行っています。

JA熊本うきの土屋次長。 山内さんのよき相棒

デコポンを栽培して、一番うれしかったのは?

山内さん
収益が上がったときですね(笑)。デコポンが伸び盛りだった当時、1から10へ、100へと数量が増えましたが、そのペース通りお金が入ってきたときはうれしかったですね。男は勝負をしないといけない、とつくづく思いました(笑)。

市場価格は、1kg約1200円!

山内さん
スーパーで買うと1つ400円くらいですね。高品質フルーツとして安心して食べていただいています。そうそう、デコポン農家には番付があるのですよ。

デコポンの品質チェックを行う 最先端の集荷場

え、デコポン番付がある!

山内さん
JA熊本うきのデコポン農家は、500農家中何番という番付がでます。生産量であなたは何番、販売単価は何番、収益は何番というふうに自分の作ったものの評価が個人の順番としてでるのです。ライバルと競争ですから、勝ったときはうれしい。

上位に入る秘訣は!

山内さん
一言でいうと、ものづくりに対する熱意さですね。消毒する、予防する、肥料をきちんと与える・・・日々の作業をやり切ることです。

バーコードをたどると生産者まで遡れる

PRは、くまモンにお任せですね(笑)

山内さん
はい。熊本県の県民は、くまモンのキャラクターが自由に使えるので、大変お世話になっています。男前ですね、熊本県(笑)。

デコポンのPR部長はくまモンだった!

農林水産大臣賞大賞をいただいた!

山内さん
平成14年に集団組織の部でいただきました。デコポンのおいしさを広め、ブランドとして全国に認知させたことが評価されたと思います。大きな励みになっています。

心配ごとといえば、やはりTPPですか?

山内さん
はい。8年後には関税が撤廃されます。まだ影響の大きさはわかりませんが、生産者の心が折れなければと願うばかりです。まあ、今から心配しても仕方ない(笑)。

山内さんの陽気なファミリーとJAの土屋さん

山内さん、がんばって!

山内さん
デコポンみたいに明るく、みんなと笑ってやっていきますよ。それが一番よか~。

JA熊本うきのデコポン

JA熊本うきのデコポン
温暖な宇城地方はデコポンの栽培に適しており、特に海沿いのゆるやかな傾斜地は、冬場も温暖で、空からの太陽光と海面に反射する下からの太陽光が当たる恵まれた環境です。年間出荷量は約5,600トンと、熊本県内でもトップクラスです。収穫後の鮮度を保つため、「Pプラス」と呼ばれる特別な包装資材を使って出荷。近年は、樹上に遅くまで果実をならせて甘みなどの品質を上げた「こだわりデコポン」も工夫するなど、新しい技術も取り入れ一段と甘くてジューシーなデコポンを作っています。
デコポン 栽培スケジュール
デコポン 栽培スケジュール
旬素材の産地からの一覧