旬素材の産地から

常春半島で育つおいしい冬のキャベツたち常春半島で育つおいしい冬のキャベツたち

※写真撮影のためマスクを外していただきました。

尾藤 光則(びとう みつのり)さん

渥美半島・田原市は全国でも有数のキャベツ産地。JA愛知みなみ「常春部会」は、年間500万ケースを出荷しています。今回お話しをお聞きした尾藤さんは、ペイズリーキャベツ研究会の代表も務めています。サラリーマンから生産者となって約20年という尾藤さんに、渥美半島のキャベツについてお話をお聞きしました。

風景風景
冬キャベツ
冬キャベツ
キャベツの生産量全国1位を誇る愛知県。新鮮なキャベツを供給できる地域は限られる冬季にも、渥美半島のキャベツは全国の消費者に向けて出荷されています。通常のキャベツに加えて、糖度が高い「サラダっ子」やとんがり帽子のような形をした「ペイズリーキャベツ」などのこだわりキャベツも生産。そのほか加工業務用向けのキャベツなども生産・出荷しています。

愛知県南部の渥美半島は、北は三河湾、南は太平洋に面し、暖流の影響で年間を通して温暖な気候に恵まれています。昭和43年に豊川用水が整備されたことで、農業や工業が飛躍的に発展。「常春半島」とも呼ばれる暖かな土地で、キャベツを中心とした青果に加えて花きの生産や畜産なども盛んです。

常春部会のキャベツの特徴を教えてください。今年のキャベツの出来はいかがですか?

A

尾藤さん

尾藤さん

今年は豊作ですね。お盆の頃の長雨の影響で苗の育成と定植が悪かったんですが、11月から気候が安定してきたので挽回できました。今年は例年になく病害虫が少ないので、とてもきれいなキャベツができていますよ。

A

JA愛知みなみ 石井さん

JA愛知
みなみ
石井さん

渥美半島は温暖な気候により常春半島と呼ばれています。冬でも暖かく風が強いために霜が降りないので、冬キャベツの育成に適しています。1ケース8個入りを基本として、1日に1万ケース以上のキャベツを出荷しています。1日で12万ケースを出荷したこともありました。

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キャベツの栽培スケジュールを教えてください。

A

尾藤さん

尾藤さん

播種は7月から始まって8月いっぱいまで。早いものは8月中旬から定植を開始し、9月中に翌年4月頃に収穫する予定の苗まで作ります。10月は定植した苗に追肥などを与える育成時期で、10月下旬から翌年の4月までが出荷時期の中心ですね。それぞれの月ごとに育成する品種が決まっているので、この時期はこの品種というのを決めて、収穫の逆算をしながら播種をしています。

キャベツの栽培で難しいことを教えてください。

A

尾藤さん

尾藤さん

農薬も肥料も使うタイミングによってキャベツの育ち方がまったく変わってくるんです。それを見極めるためには毎日圃場(ほじょう)に行って状態を確かめ、それに合ったものを選ばなければいけません。しかし天候や気温にも左右されるので思うようにはいかない。そのため7月の播種から10月頃まではほぼ休みなしですね(苦笑)。20年間やってきてようやくタイミングがわかり、自信がついてきたのは最近かな。いや、いまだによくわからないか(笑)。
※収穫は包丁を手に、すべて手作業で行われる。

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キャベツ栽培での農薬の使い方を教えてください。

A

尾藤さん

尾藤さん

農薬はできるだけ使わないようにしていますが、どうしても病害虫は発生するので事前防除としてなるべく早めに使うようにしています。使うものは殺虫剤が10種類、殺菌剤が3~4種類ですね。同じものを使い過ぎると虫に抵抗性がついてしまうので、複数の農薬をローテーションで使っています。

農薬を使わないとどうなってしまうのでしょうか?

A

尾藤さん

尾藤さん

キャベツの栽培では病害虫は必ず発生します。少しでも虫が発生すると商品にならないキャベツが大量にできてしまう。しかも最近の虫はなかなか死なないので、発生してからでは間に合いません。病気に関しては菌などが繁殖しない圃場(ほじょう)を作るために農薬を使用しています。

虫食い写真

虫食い写真

破裂写真「収穫が遅れると育ち過ぎて破裂してしまうことも。」

破裂写真「収穫が遅れると育ち過ぎて破裂してしまうことも。」

常春部会では「黄色い旗運動」という取り組みも行われているんですよね?

A

JA愛知みなみ 石井さん

JA愛知
みなみ
石井さん

農薬のドリフト(※農薬が意図しない場所に飛散してしまうこと)が発生しないように、収穫の2週間前になったら注意喚起をするという目的で取り組んでいます。

A

尾藤さん

尾藤さん

僕が生産者となった20年ほど前に始まったもので、当時はドリフトを気にしない人も多かったです。この運動を始める以前はトラブルも多かったようですが、最近はまったく聞かないですね。生産者以外はこの黄色い旗が何なのかは分からないでしょうけど(笑)。

尾藤さんが研究会の代表を務める「ペイズリーキャベツ」はどのようなものなのでしょうか?

A

尾藤さん

尾藤さん

普通のキャベツよりも甘みが強いことが特徴ですね。割れやすいので大量生産に向いていないだけでなく病害虫にも弱い。今年はきれいにできましたが、悲惨な年はとにかく悲惨ですよ(笑)。ペイズリーキャベツという名前は常春部会のブランドで、品種名はトンガリボウシです。味に関しては自信があるので損得なしで作っていますが、出荷できるのは12月前後の1ヶ月ほどで、店頭に出回る数も少ないので希少です。

通常のキャベツとは異なり、ペイズリーキャベツは縦長の形状。
通常のキャベツとは異なり、ペイズリーキャベツは縦長の形状。

通常のキャベツとは異なり、ペイズリーキャベツは縦長の形状。

キャベツを選ぶときのポイントと、おすすめの食べ方を教えてください。

A

尾藤さん

尾藤さん

一般的に言われているのは、軸が500円玉大なのが一番健康的。細いものはあまりいい苗ではなく、中の巻きもあまり良くないと思います。それから葉の色は濃いものがいいですね。

A

JA愛知みなみ 石井さん

JA愛知
みなみ
石井さん

生産者さんにアンケートを取ったところ、寒い時期はポトフを作るという意見が多くありました。それからざく切りにしたキャベツに塩昆布を混ぜる塩昆布キャベツもおいしいですね。

A

尾藤さん

尾藤さん

うちは蒸し野菜にすることが多いですね。豚肉とキャベツを料理酒とダシで蒸すだけで簡単なので、妻も喜んで作ってくれます(笑)。火が通ったらゴマだれやポン酢など、自分で好きなものをつけて食べています。

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最後に消費者の方へのメッセージをお願いします。

A

JA愛知みなみ 石井さん

JA愛知
みなみ
石井さん

常春部会のキャベツは肉厚で、しかも甘くておいしいと思いますので、とにかくたくさん食べていただきたいと思っています。その一心です!

A

尾藤さん

尾藤さん

キャベツは生でも食べられ、さらにお好み焼きや焼きそば、その他にも色々な料理に使えるので、たくさん食べてもらえればうれしいと思っています。ぜひ色々な料理に使ってください。キャベツにはビタミンUやビタミンCが含まれているので、健康のためにもいいんですよ。

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冬キャベツ栽培スケジュール

※スクロールにて全体をご確認いただけます。

栽培スケジュール