旬素材の産地から
![日野のブルーベリーは青く輝く「ラビットアイ」](/assets/images/foods/area/blueberry/img_foods_pickup.png)
![日野のブルーベリーは青く輝く「ラビットアイ」](/assets/images/foods/area/blueberry/img_foods_pickup_sp.png)
※写真撮影のためマスクを外していただきました。
清水 雄一(しみず ゆういち)さん
JA東京みなみは東京都の日野市・多摩市・稲城市で、都市農業の多面性を生かした取り組みを展開しています。今回お話をお聞きした清水さんは日野市ブルーベリー組合の組合長を務め、運営する日清園では7月下旬から8月下旬までブルーベリー摘み取りを実施。取材当日も市内の園児たちが訪れ、子供たちを笑顔で迎えていた清水さんに、ブルーベリーの特徴などについてお話をお聞きしました。
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![ブルーベリー](/assets/images/foods/area/blueberry/img_material.jpg)
- ブルーベリー
- 日本では1980年代から本格的な栽培が始まった果物で、長野県や関東地方を中心に全国各地で栽培量が増加。東京都小平市が日本におけるブルーベリー栽培発祥の地と言われ、日野市では1998年に「日野市ブルーベリー研究会」を発足。そのまま食べられることはもちろん、ジャムやスイーツの材料としても人気があり、眼精疲労などに効果が期待されるポリフェノールの一種アントシアニンを多く含みます。
新撰組の土方歳三や井上源三郎が生まれ育った土地で「新撰組のふるさと」として知られる東京都日野市。北に多摩川、市内に浅川が流れ、清流に恵まれていることから国土交通省の「水の郷百選」にも選ばれています。かつては農業中心の宿場町でしたが、昭和初期から工業都市としても発展。主な特産品としてブルーベリーに加え、多摩川梨として親しまれる「幸水」などのナシ、「高尾」など東京が原産地のブドウ、「日野ファースト」に代表されるトマトなどを出荷・販売しています。
ブルーベリー栽培スケジュール(日清園の例)
※スクロールにて全体をご確認いただけます。
日野市のブルーベリーの特徴を教えてください。今シーズンの出来はいかがですか?
清水さん
日野市内で生産されているブルーベリーの9割以上はラビットアイ系で、残りはハイブッシュ系ですね。「ラビットアイ」は酸味が少なめで甘みが強く、ハイブッシュは酸味と甘みのバランスがとれたブルーベリーです。ここ数年、私の畑は木の調子があまり良くないので決して豊作とは言えませんが、周囲のブルーベリー生産者の方の話を聞くと今年は良い出来のようです。
なぜ日野市では「ラビットアイ」が多く生産されているのでしょうか?
清水さん
まず東京は暑いということですね。「ラビットアイ」は暑さに強いんですが、ハイブッシュは涼しいところで栽培されていた品種なんです。さらに「ラビットアイ」は木が大きく育つため、作付面積が限られている東京でも多くの量を収穫できます。そして梅雨の時期に収穫期を迎えるハイブッシュより、収穫期が夏休みの時期と重なる「ラビットアイ」はブルーベリー摘み取りにも最適といえますね。
清水さんがブルーベリー栽培を始めたのはいつ頃でしょうか?
清水さん
苗を植えたのは20年ほど前です。日野市の生産者が一斉にブルーベリー栽培を始めて研究会を発足させてから数年後に参入しました。ブルーベリーの人気が広まってブームのような状態にもなったので、栽培を始めた当初から順調に販売することができましたね。遅れての参入だったこともあり当初は摘み取りのお客さんはなかなか訪れてくれなかったんですが、自分で摘み取ったブルーベリーの直売が好調だったんです。
日清園では現在も直売を行っています。
ブルーベリー栽培にはどのような難しさがありますか?
清水さん
今年はムクドリが畑の中にたくさん入ってしまいました。防鳥ネットは張っているんですが、どうやら上からではなく地面側から入ってしまったようです。ブルーベリーは枝があまり強くないので、鳥が木に止まると実が落ちてしまうんです。そのため「もっとブルーベリーに気を使ってあげた方がいいのかな?」と思っています。
農薬はどのように使っているのでしょうか?
清水さん
オウトウショウジョウバエ対策として農薬を使うことがあります。果実に穴をあけて産卵するために落下した実から増加してしまうので、落ちた実もきれいに掃除します。それからコガネムシ対策としても農薬を使うことがあります。コガネムシは実や葉だけでなく、幼虫のときに根も食べてしまう。農薬に加えてフェロモントラップを使うことで、一時期に比べるとかなり減ってきました。どの農薬もそうですが、害虫が発生したときに必要に応じて使用しています。
コガネムシなどに食べられた実は、しぼんでしまう。
落ちた実などの掃除も害虫対策として重要。
イラガ(毛虫)には特に気をつけているとお聞きしました。
清水さん
イラガ対策のためにBT剤(生物農薬)を使うことがあります。イラガが発生しても実に影響はありませんが、刺されるととても痛いんです。収穫の際に私が刺されたくないのはもちろんですが、摘み取りのお客さんが刺されたら大変なことになってしまう。ブルーベリー栽培を始めた当初はまだあまり知識がなく農薬を使わずに捕まえていたこともありますが、葉を食べるので見つけやすいものの大変な手間ですし、やはり刺されると痛いので(苦笑)。
ブルーベリー摘み取りのコツを教えてください。
清水さん
まず赤い実や白い実ではなく青い実を選ぶこと。そして熟しているものを摘み取ることですね。小粒よりも大粒で、実がふっくらしているものはおいしい可能性が高い。実の付け根にある軸が青々としているのではなく、変色してきている場合も実が熟しているサインです。周囲の実を含めて房で青くなっているものも甘い可能性が高いですね。
大粒で青いブルーベリーはおいしい可能性が高い。
房全体の実が青くなっているものも熟している証拠。
おすすめの食べ方はありますか?
清水さん
そのままでもおいしく食べられますが、ヨーグルトやアイスと一緒に食べるのもおいしいですね。ブルーベリーの甘酸っぱさがアクセントになると思います。ブルーベリーは洗わずにそのまま食べられますが、気になる場合は洗っても問題ありません。実の表面の白い粉のようなものはブルームで、ブルーベリーから自然に分泌されるものなんです。保存は常温で問題ありません。実に傷みや傷、潰れなどがなければ1週間ほどは大丈夫。もちろん冷蔵庫で保存してもOKですよ。
最後に消費者の方へのメッセージをお願いします。
清水さん
ブルーベリーの摘み取りは都内で手軽に体験できるレジャーです。摘む、持ち帰る、そして食べるという3つの楽しみを味わえます。お子様連れの方はもちろん、大人だけでも楽しめるので、ぜひブルーベリー摘み取りに来てください。喜んで帰っていただく姿を見るととてもうれしいです。
父親の清水榮一さんと清水雄一さん。