旬素材の産地から “たまたま”のあまーい誘惑 河野利泰(かわのとしやす)さん
従来の酸っぱいキンカンとは違い、とろけるような甘さとまろやかな果汁を新体験できる完熟きんかん「たまたま」。大都市圏のマーケットで注目を集める地域ブランドの生産者、JA宮崎中央ハウスきんかん部会会長(県きんかん部会部会長兼務)の河野さんにお話を伺いました。
JA宮崎中央は、宮崎平野をとりまく宮崎市と国富町を管内としています。温暖な気候と日本一長い日照時間を活かした施設園芸が盛ん。柑橘系果物では「日向夏」が有名ですが、完熟マンゴーをはじめ新ブランドづくりに余念がありません。

やった!「たまたま」の初セリに参加‼

早朝から熱気が渦巻く東京大田市場

JA宮崎中央 長友さん
にぎやかでしょ。ここが東京大田市場。今日、1月15日は宮崎の完熟きんかん「たまたま」の初セリ日です。これから試食会があって、JA宮崎経済連会長と県きんかん部会部会長(※河野さん)の挨拶があります。初セリは、午前7時から。※河野さんは県きんかん部会部会長とJA宮崎中央ハウス金柑部会会長を兼務

あ、ゆるキャラが来てる。ひぃくん~

JA宮崎中央 長友さん
宮崎県のキャラクター、みやざき犬の「ひぃくん」です。「ひむか(日向)」から命名した「ひぃくん・むぅちゃん・かぁくん」という3匹のわんこがいて、今日は「ひぃくん」が『ゆるキャラ・ダンス選手権日本一』のダンスを披露して完熟きんかん「たまたま」をPRします。

お、キレッキレッ。中の人すごい!

ゆるキャラとJAの職員さんが一体になって

JA宮崎中央 長友さん
人じゃなくて、わんこです(笑)。

これが「たまたま」ですね。大きくて、かわいい~

JA宮崎中央 長友さん
完熟きんかん「たまたま」は、宮崎県の商品ブランドのひとつです。完熟きんかんの中でも糖度、大きさを厳選(糖度16度以上・直径は2.8㎝以上)したもので、「生」で「皮ごと」「丸かじり」できるのが特徴です。

試食だ~!あ、あ、すごい人。

あっという間に、大量の「たまたま」が…

JA宮崎中央 長友さん
市場の人、仲買いの人、みんな集まってきましたね……どうぞ、食べてみてください。宮崎県いち押しの完熟きんかん「たまたま」でーす。

うそ、甘すぎ~。これ、きんかんじゃない(笑)

JA宮崎中央 長友さん
ビックリするでしょ。完熟きんかん「たまたま」の糖度は16度以上。メロンや完熟マンゴーよりも糖度が高いんです。「たまたまエクセレント」は糖度18度以上もあるんです。今までのきんかんとは別物でしょ。

これ絶対、クセになる!

つやつや輝いて、思わず手が伸びる

JA宮崎中央 長友さん
食べた人、皆さんそう言います。どうぞ、クセになってください(笑)

あ、初セリ…あのダミ声!仲買人の指先マジック!

熱気に包まれた初セリ

JA宮崎中央 長友さん
…「!」… わかりました?今一瞬で、セリ落ちました。「たまたまエクセレント」の3キロ箱です。仲買人の指先がパパっと動いて…早すぎて何が起きたか僕もわからないくらい(笑)。今年もいい値段でスタートできました。

完熟の新ブランド、
市場でも大好評ですね‼

左端が、JA宮崎経済連合の新森会長 右端が、県きんかん部会の河野部会長

JA宮崎中央 長友さん
宮崎県といえば完熟マンゴーが有名ですが、完熟きんかん「たまたま」も年々認知度が高くなっている果物です。宮崎のきんかんの生産量は全国の60%以上あり日本一ですが、量だけではなく品質も日本一を自負しています。

メチャ気になる、「たまたま」名前の由来は?

JA宮崎中央 長友さん
「たまたま」の由来は、諸説ありますが、大寒波で露地きんかんの樹が枯死し、急いで苗木を作るためにハウスで苗を育てたところ、その時に「たまたま」偶然に大きくて甘いきんかんが出来たため「たまたま」と名付けた説と、宮崎県内で広く名前を募集した中で、宮崎市の小学生が出した「たまたま」というネーミングが採用された説が、より多くの方に浸透しています。

え、偶然の「たまたま」?

JA宮崎中央 長友さん
そうです。あの…その先は、ぜひ農家さんから直接聞いてください……。

偶然生まれた「たまたま」と、完熟の「ノウハウ」が結びついて・・・

ものすごい数!樹がオレンジ色に見える。

完熟のノウハウを語ってくれた河野さん

河野さん
だいたい1本の樹で、1500個の完熟きんかんが採れますね。
その中からブランド基準に沿って選別されたものが完熟きんかん「たまたま」・「たまたまエクセレント」になります。

13アールのハウスに、160本のきんかんの樹。

樹上で210日を過ごした完熟きんかん「たまたま」

河野さん
1列に27本の樹を植えています。収穫量はこのハウスで4~5トンぐらい。完熟きんかん「たまたま」を栽培しているところは、JA宮崎中央で50件、宮崎県下で257件あります。

今年の出来栄えは?

河野さん
今年も例年と同じく良作ですよ。「たまたま」を育てるにはハウス内の環境をきちんと整える必要があります。それができれば品質のブレはありません。

「たまたま」は、偶然のたまたまだと…

河野さんと長友さんのツーショット

河野さん
天候被害があって露地からハウスに切り替えたとき、11月の収穫期をすぎても実をそのままにしていた農家がありました。そこで驚くほど甘いきんかんができた……これは新発見かもしれないと試行錯誤を始めたのです。

210日間、樹上熟成するって、ほんと?

河野さん
そうです。210日、花が咲いてから7ヵ月間、樹の上で熟成させたものだけが完熟きんかん「たまたま」です。きんかんの品種は同じですが、栽培の仕方がまったく違います。

この油胞(ゆほう)が、奇跡のあまさの証!

手に取るとうっすらと油胞が見える

河野さん
皮にブツブツが見えるでしょ。これが油胞(ゆほう)です。油胞が浮き上がってきたら完熟になったサイン、美味しさがぐっと増しています。

ああ!丁寧に扱ってくださいね。

JA宮崎中央 長友さん
ぎゅっと握りすぎたりぶつかったりして、この油胞がつぶれ、「うるみ」が出ちゃうと、色も食感も悪くなり、出荷できなくなってしまいます。意外と繊細なんですよ。

年間の作業スケジュールを教えてください

慣れた手さばきで収穫する奥さま

河野さん
3月に収穫を終え、4月上旬までに剪定をします。4月~5月には新しい枝が伸びて、6月中下旬になると花が咲きます。きんかんの花は5回ほど咲くのですが、最初の頃の花で自家受粉するのが望ましい(6月は雨が多く湿度が高いので受粉が難しいのですが…)。その後、実を選り分ける摘果作業に8月~10月は追われ、この作業は収穫まで継続します。

花は、実の数の3倍以上も咲くのですか!

JA宮崎中央 長友さん
放っておくと次から次へと数えきれないくらい咲きます。全体の3分の1くらいに摘果するので、1本の木に約4500咲くことになりますね。この時期はハウスの温度を25℃に保ち続け、水やり、害虫防除の農薬散布・・・。この開花から実になるまでの管理が最も難しくて最も手間がかかります。

完熟のノウハウって、まだありますか?

河野さん
はい。8月になるとハウスの屋根をオープンにするんです。天井を巻き上げて露地栽培のような状態にし、自然のまま日光や雨水が入るような形に。11月から屋根を徐々におろし、水を断ちストレスをかけて、甘みを乗せていきます。その後12月から徐々にハウス内の温度を下げ、外気温と同じになるように調整していきます。

水を断ち、温度を下げる

色も艶もしっとり美人です

河野さん
最終的には2℃くらいまで下げます。冬は宮崎でも温度は朝晩かなり下がりますから。マイナスになって凍らなければいいんです(笑)。その後1月中旬から収穫になり3月中旬まで続きます。これぐらいで勘弁してもらっていいですか(笑)

農薬は、どのように役立ってますか?

河野さん
開花期に寄ってくる害虫を防除するため農薬がなくてはなりません。スリップス(アザミウマ)という小さな虫で、これにやられるとひどい時は全滅しちゃいます。その年、最も効果のある農薬を選んで使用し、果実を守ります。農薬の使用時期は県下で検討し地域によって更に検討するので指導員の指導も行き届いています。完熟きんかん「たまたま」の栽培は、このハウスと農薬に支えられていますね。

安心して、まるかじりができる!

豊作に顔がほころぶ

河野さん
もちろんです。6月以外に農薬を使うのは8月と12月のダニ対策です。農薬の成分は分解されちゃうので、収穫時にはまったく影響がありません。安心して皮ごとまるかじりしていただけます。

「たまたま」には、30年の栽培ノウハウが凝縮している

河野さん
「たまたま」の発見者が土台をつくって、その栽培法を30年かけて確立してきました。先人の研究ノウハウは県で蓄積していて、若い人が作りたいと思えば、指導が受けられる体制もできているので、明日からでもできます。ただ1、2年目はまだまだ成果が上がらないので、若い人はミニトマトやキュウリの園芸にいってしまいがちですが(笑)

宮崎県の農業がマーケティング上手なのは、もう伝統かもしれませんね。

うわっ、でっかい選果場ですね。

園芸と果樹の作物が集まる総合選果場

JA宮崎中央 長友さん
今は大きさや糖度による選別作業がオートメーションになっていて箱詰めまでスピーディにできるようになりました。

関東、関西をはじめ大都市圏がマーケット

選別から出荷までスピーディ

JA宮崎中央 長友さん
初セリのプロモーションを重点的に行った東京、大阪を中心に、全国へ出荷しています。出荷量は2月の中旬頃にピークを迎えます。

パッケージやリーフレットがお洒落ですね

糖度18度以上の「たまたま」エクセレント

JA宮崎中央 長友さん
宮崎県や経済連も販促に力を入れていただいています。ですからPRツールやパッケージデザイン、キャラクターなどは他県に比べて充実していると思いますよ。

シェフと一緒に、「たまたま」のレシピ作り!

©みやざきブランド推進本部(宮崎県・JA宮崎経済連)シェフ直伝、たまたまパウンドケーキ

JA宮崎中央  長友さん
明後日、東京からそのシェフが宮崎に来るんです。もう2、3年になりますね。「たまたま」を使った美味しい料理のレシピ作りは、お客さんとのコミュニケーションに役立っています。

「栄養機能食品」なんですね?

サイズもブランドの大事な基準

河野さん
昔から風邪予防や美容にいいと言われてきましたが、今年から消費者庁が定めた基準を満たして「栄養機能食品」と表示して販売できるようになりました!「たまたま」を200グラム(6、7個)食べるとビタミンCは1日の摂取量目安の45~150%、ビタミンEは30~129%を補給できるとわかったんです。みなさんにもっと「たまたま」の良さを知ってもらえると嬉しいです。

宮崎県のマーケティング上手は伝統ですね!

河野さん
宮崎県の地鶏や完熟マンゴーがブランド化できたのは、この10年ほどのPR活動の成果です。完熟きんかん「たまたま」は、このブランドづくりの経験をしっかり生かしています。

農家さんと県・市・町とJAとが、つながってる!

遠方からもお客さまが集まる直営ショップ

JA宮崎中央 長友さん
宮崎は農業県ですから。温暖な気候と豊かな土地を生かして、安心して食べられる美味しい宮崎ブランドをたくさん作っていきたい。そのためには後継者が大切です…実は河野さんは、私のJAの元上司なんですよ。

え?河野さん、事務系だった!

河野さん
JA宮崎中央に勤めていて、55歳で早期退職し実家の農家を継ぎました。だから生産者としてのキャリアはまだ8年です。妻と二人三脚で「たまたま」を有名にしたいとがんばってます。

え、え、長友さんも農業をやりたい!?

JA宮崎中央  長友さん
はい。私も将来はここで農業をやりたいと思っています。僕の実家は農家ではないのですが…今は担い手がいないので、今ある畑やハウスをそのまま引き継いでほしいという農家がたくさんあります。将来それを引き継いで、農業をやってみたいと考えています。

最後にメッセージをどうぞ!

あまーい「たまたま」食べてみて!

JA宮崎中央  長友さん
宮崎は「ひむかのくに」の別名があるくらい太陽のイメージがあるところです。日光をたっぷり浴びて甘く美味しくなった柑橘類・・・「たまたま」で、多くの人に元気になってもらいたいです。ぜひ、味わってみてください!
  • JA宮崎中央 完熟きんかん「たまたま」 JA宮崎中央は、宮崎平野をとりまく人口約40万の中核都市宮崎市と国富町を管内としています。県内のJAのほとんどは販売高の1位が畜産ですが、JA宮崎中央は冬でも温暖な気候と日本一長い日照時間を活かした施設園芸が盛んで、販売額の半分以上を野菜が占めています。施設作物はキュウリ、ピーマン、トマトなどが主流。柑橘系の果物として「日向夏」が有名ですが、近年は完熟マンゴーが人気ブランドになりました。完熟きんかん「たまたま」は、完熟マンゴーのノウハウを受け継いだ、次代を担うブランドです。従来の酸っぱいキンカンとは違い、とろけるような甘さとまろやかな果汁が魅力。生でそのまま、皮ごと、まるかじりできる栄養機能食品です。

  • JA宮崎中央 完熟きんかん「たまたま」

きんかん 栽培スケジュール