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管理栄養士に訊いた!スーパーで新鮮な野菜を見抜く方法

いよいよ春。生き物が寒い冬を乗り越えて、イキイキと活動を始める季節がやって来ました。野菜や果物もキレイに色づいて、みずみずしさを増してきます。どうせ食べるなら美味しいものを、どうせスーパーへ行って買うなら、新鮮なお野菜や果物を、と願うのが人情ですよね。売り場でトマトをひっくり返してみたり、葉物野菜の葉っぱの色をタメツスガメツしてみたり。でもちょっと待って。あなたは「新鮮で美味しい野菜を見抜く方法」、知っていますか?「そう言えば、なんとなくで選んでた!」という人も多いのでは?

管理栄養士に訊いた!スーパーで新鮮な野菜を見抜く方法

そんな皆さんの悩みに応えるべく、食事のプロである管理栄養士さんを訪ねてみました。今日、教えてくれるのは5歳と2歳のお子さんのお母さんで、上級食育アドバイザーでもある板垣好恵先生です。

野菜は種類ごとにポイントを
マスターしよう

先生、よろしくお願いします!!

A

板垣さん

板垣さん

はい、よろしくお願いします~♪

早速ですが、新鮮で美味しいお野菜を見抜く秘訣を教えてほしいのですが!!

A

板垣さん

板垣さん

はい、わかりました。野菜の種類ごとに幾つかポイントがあるので、あせらずじっくり覚えていきましょうね。まずは、いまの時季から夏にかけて旬を迎えるグリーンアスパラガスを見てみましょうか。こちらに三本並んだアスパラガス、どれが新鮮なものかわかりますか?

グリーンアスパラガス

うーん...難しいですね。右の長いやつかな...?

A

板垣さん

板垣さん

正解は...「どれも新鮮」でした(笑)まずこの根本の「切り口」の部分に注目してみましょう。この部分が丸くて白く、みずみずしいものが新鮮です。あと、わかりやすい見極めポイントは「穂先」ですね。穂先がまっすぐ伸びていてきゅっと締まっているものが美味しいといわれています。緑が鮮やかで全体的にハリがあり太いものを選び、しなっとしていたり変色しているものは避けたいところですね。

なるほど、勉強になります!!時季としては、これから春キャベツも甘くて美味しくなると思いますが、キャベツの見極め方も教えてください!

A

板垣さん

板垣さん

じゃあ、こちらも現物を見てもらいましょう。今度こそ、どちらか一方が新鮮なものです。さぁ、どっちが新鮮なキャベツでしょう...?

キャベツ
板垣さん

何とも言えないですが、直感を信じて...左!!

A

板垣さん

板垣さん

お、大正解!やりますね。キャベツは葉の緑色が濃く鮮やかで、ツヤとハリがあるものが新鮮です。切り口がみずみずしく、割れたり変色してないものを選びましょう。季節ごとにも特徴があります。葉が柔らかくて生食にも向いている「春キャベツ」は巻きがふんわりとしていて軽いものが美味。それ以外の季節では、葉がしっかりと巻いていて外葉が開いていないもの、持ったときに重みのあるものを選ぶと良いですね。ちなみに同じ葉物野菜のレタスは、巻きがふんわりとしていて軽いものが質が良いといわれています。カットして売られている場合は断面を見て、葉がぎっしりつまっていないものがおすすめです。

それは意外でした。レタスも密度の濃いものが良いと勘違いして選んでいたような気がします。

A

板垣さん

板垣さん

どんどん行きますよー。続いてはにんじんです!!こちらもクイズにしてみましょうか。

にんじん

あ、これは表面のツヤが良い左が新鮮そうな気がします!

A

板垣さん

板垣さん

正解!!にんじんも「芯の切り口」を見ると鮮度がわかりやすいです。茎を切り落とした後の芯の部分が小さくて中心にあるものが新鮮で、食感もやわらかく甘みも強く感じられます。芯が大きいものは育ちすぎて身がかたくなり味も落ちてしまっているといわれていますよ。形は丸っこいものよりも先端へ自然と細くなっているもの、見た目よりもずっしり重いもの、表面に割れや傷などがなくなめらかで、ハリやツヤのあるものを選びましょう。

ずんぐりしたものよりほっそりしている方が良いんですね...知らなかった。先生、トマトはいかがでしょうか?

A

板垣さん

板垣さん

トマトの鮮度をはかるにはまず「ヘタ」を見ましょう。ヘタが濃い緑色でしおれていないものは新鮮です。さらに表面にツヤとハリがあるもの、真上から見た形がきれいな円に近いもの、色むらがなく真っ赤に色づいているものが新鮮で完熟した美味しいトマトです。また、裏が見える場合は、おしりの部分に「スターマーク」といわれる星のような放射線状の白い筋が出ているかもチェックしましょう。スターマークが濃く大きいほど、甘みがあり成熟したトマトの印といわれています。

トマト

おしりの部分のスターマークに注目!

ほんとだ、キレイな星のマークがありますね!今日からスーパーに行ったらスターマーク、チェックしてみます。

A

板垣さん

板垣さん

その他のお野菜についても、下にポイントをまとめますので、お役立てくださいね。

じゃがいも

  • 「芽」が出ていないもの
    芽の部分にはソラニンという毒素が含まれています。芽が伸び始めていたり、表面が緑がかっているものは避けましょう。
  • しっかりと乾いていてかたく、形が丸く整っていて重みがあるもの
    表面に傷がすくなくなめらかなものを選びましょう。

なす

  • 鋭くとがった「ガク」
  • 切り口が変色していない「ヘタ」
  • 濃い紫色の皮
    触ってみてハリがあるのもポイントです。

ほうれん草(小松菜)

  • 葉の色が濃く、葉先までピンとしてみずみずしいもの
    ほうれん草は葉先から水分がどんどん蒸発して鮮度が落ちていくので、葉に色むらがあったり黄色がかっていたり、しなびているものは避けましょう。
  • 葉の表面の線(葉脈)が左右対称に伸びているもの

りんご

  • 軸が中心にありしっかりとしているもの
    軸のまわりまで均等に色づいているものは良品です。
  • おしりの部分がキュッと締まっているもの
  • 皮にハリとツヤがあるもの
    香りがよく重みのあるものを選びましょう。

野菜って新鮮なほうが良いの?

ところで先生、今日のテーマは「新鮮な野菜を見抜く方法」ということで伺ってきたんですが、ふと疑問がわきました。そもそも、野菜は新鮮であればあるほど良いのでしょうか。アボカドなんかは、熟したほうが美味しいとも聞きますが...。

A

板垣さん

板垣さん

基本的には「野菜は新鮮であるほど良い」というのが正解です。多くの野菜は収穫後、時間の経過とともに水分や栄養素が減っていくことで鮮度も味も落ちていきますからね。でも一部の野菜には、収穫後に一定期間おくことで甘さを増したり果肉がやわらかくなる「追熟」をするものがあります。例えばさつま芋やかぼちゃは常温でしばらくおくことで甘みが増し、トマトも緑色のものは数日おくと果肉がやわらかくなり皮も真っ赤に完熟します。これが追熟の効果。野菜にはあまり追熟が必要なものはないですが、「果物」には多く活用されています。完熟すると傷みやすい果物(バナナ、アボカド、マンゴー、キウイ、桃など)はあえて未熟なうちに収穫し、輸送や流通の間に追熟させています。店頭に並んで消費者が購入するころに食べごろの果物を届けられるよう、工夫されているんですよ。

へー。食材は毎日接しているものなのに、知らないことだらけです。もっと勉強しなきゃな...。「追熟」が必要な食材以外はなるべく新鮮なものを買い、早いうちに食べることがポイントかと思いますが、数日間はどうしても家で保存せざるを得ないことも...。鮮度をなるべく落とさずに保存する秘訣はありますか?

A

板垣さん

板垣さん

そうですね、前提として、野菜も果物も「生き物である」というのがミソです。野菜は収穫後も生きており、「呼吸」をすることで水分や栄養素を消費しながら鮮度も低下していきます。鮮度をキープするためには、野菜の呼吸を抑える環境におくこと=「低温で低酸素な状態」におくことがポイント。そのため多くの野菜は、冷蔵庫の野菜室のような低温で低酸素な場所に保存することが基本的な保存方法。あとは水分の蒸散も鮮度低下の原因になりますから、水分を保てるようポリ袋(鮮度保持袋)やラップで包むなどもおすすめですよ。一方、一部の野菜には低温が苦手な性質をもつものもあります。丸ごとのかぼちゃやさつま芋などの芋類は、冷蔵庫ではなく風通しのよい冷暗所で保存しましょう。カットしたものは他のものと同様、冷蔵庫保存でOKです。

よくわかりました!先生、今日はとっても役立つ知恵をたくさん教えてくださり、ありがとうございました。今日からわたし、スーパーに行っている時の目つきが違うと思います(笑)

A

板垣さん

板垣さん

なるべく旬で新鮮な食材を使って、美味しくて健康な食事を楽しんでくださいね。

板垣先生、ありがとうございました!

板垣好恵(いたがきよしえ)

管理栄養士・上級食育アドバイザー。
「心とカラダを豊かにする食育」をモットーに、食育関連のコラム執筆やレシピ開発、親子で学べる食育料理教室の開催、イベント出演などを行う傍ら、オリーブオイルの専門家としても活動。美容や健康に役立つ簡単おいしいオリーブオイル料理の開発を得意とし、これまでの開発レシピは300品以上。プライベートでは2児の母。

板垣好恵(いたがきよしえ)