知って得するコラム

管理栄養士に訊いた!春からはじめるお弁当生活のマル秘ワザ

もうすぐ新年度。環境の変化に向けて準備に大忙し、なんて方もいらっしゃるでしょう。わが家も子どもが進学して、日々お弁当を作る生活が始まります。でも本当にちゃんと続けられるかな、と今からちょっと心配。毎日同じメニューじゃ楽しくないし、栄養も偏っちゃう。見た目の彩りも大事だし...。ポイントがたくさんあり過ぎて!!

困った時はその道のプロに教えてもらうのが一番!というわけで管理栄養士さんの元へ急行!今日教えてくれるのは5歳と2歳のお子さんのお母さんで、上級食育アドバイザーでもある板垣好恵先生です。

管理栄養士に訊いた!春からはじめるお弁当生活のマル秘ワザ

気になるお弁当の栄養バランスUP術

先生、よろしくお願いします!!

A

板垣さん

板垣さん

はい、よろしくお願いします~♪

この春から、家族のためにお弁当を作ることになったんですが、栄養バランスが気になります。お弁当生活で栄養バランスを保つ秘訣があれば教えてください!

A

板垣さん

板垣さん

そうですね。まず最初に意識してほしいのが、何をどのくらい盛り付けるのか、主食(ごはん)と主菜・副菜(おかず)の配分を決めることです。お弁当箱に対して、半分をごはん、残りはおかずで、主菜・副菜を半分ずつというのを目安にすると、自然と栄養バランスが整いやすいですよ。

5:5が黄金比なんですね!

A

板垣さん

板垣さん

主食はごはんやパン、麺。主菜は肉、魚、卵などを使ったメインのおかず。副菜は野菜やきのこ、海藻などを使ったサブおかずのことをいいます。普段の食事と同様にお弁当でも栄養バランスで気になるのは「野菜不足」という方、多いですよね。唐揚げやしょうが焼きなどついついメインのおかずをたくさん入れてしまいがちですが、あらかじめ盛り付ける配分を決めておけば副菜を意識するようになり、「野菜がぜんぜんなかった!」なんてことがなくなりますよ。

お弁当箱に詰めながら考える、じゃなくて先に配分を決めてしまうのがミソですね。

A

板垣さん

板垣さん

また、栄養価のアップのために乾物(のり、ごま、かつお節、桜えび、パセリなど)をうまく使ってもらえると良いですね。混ぜる・ふりかけるなど手間なくプラスできて、賞味期限が長く、保存性の高さも乾物の魅力。これらをストックしておけば、時間がない中でもお弁当の栄養価アップにとても役立ちますよ。のりは特に青のりが使いやすく、ごはんにかけたり卵焼きに混ぜたり、野菜のソテーにまぶしたり。すりごまやかつお節は、茹で野菜に和えれば水分を吸ってくれるので、栄養価アップだけでなくおかずを傷みにくくするうれしい効果もあるんです。

ビバ乾物!お弁当界の名脇役ですね。メモメモ...と。

A

板垣さん

板垣さん

とは言え、お弁当だけで栄養バランスを完璧にしようとするとハードルが高くなってしまうので、あまり考え過ぎず、1日トータルで整えようという意識でいきましょう。お弁当の日は野菜が少なくなりがちであれば、朝か夜に野菜が摂れるメニューを意識的に取り入れると良いですね。おすすめは、野菜やきのこをたっぷりと入れた具たくさんのスープ。加熱をすることで野菜のカサが減り量もたくさん食べられますし、味噌、コンソメ、中華スープなど味付けのバリエーションも豊富です。

先生に教えてもらうまではお弁当単体として栄養バランスを完璧にしなきゃ、とプレッシャーを感じていましたが、1日トータルで、と捉えるとだいぶ気がラクになります。ちなみに、お弁当って見栄えも大事だと思うんですが、わたし盛り付けがヘタで...。見た目を華やかにするコツも教えてもらえますか?

A

板垣さん

板垣さん

気づいたら「真っ茶色のお弁当になってしまった!」ってよく聞きますよね(笑)
見栄えのよいお弁当にする1番のコツは「色の鮮やかさ」を意識すること。特に、赤(オレンジ)、黄色、緑の3色を取り入れると彩り豊かでおいしそうなお弁当になります。

赤(オレンジ)

ミニトマト、にんじん、かにかま、ウインナー、鮭フレーク、梅干し、ケチャップなど

黄色

卵、コーン、さつまいも、レモン、たくあんなど

ブロッコリー、枝豆、大葉、ほうれん草、アスパラ、きゅうり、きぬさや、パセリなど

卵

彩りの強い味方、卵

お弁当界の三原色は赤!黄!緑!...心に刻みます。

A

板垣さん

板垣さん

赤が足りないなと思ったらごはんに鮭フレークを混ぜたり、仕上げに梅干しをのせるだけでも色味がよくなります。黄色は卵料理がアレンジ豊富で手軽。卵焼き、スクランブルエッグ、目玉焼きなど手間がかからずさっと作れて見栄えも◎。卵焼きにかにかまや青ねぎを加えるのもより彩り豊かになっておすすめです。

食べる人を感動させる盛り付けマル秘テクニック

A

板垣さん

板垣さん

続いて「盛り付け」のコツは3つ。
おかずの水気をしっかり切ること、詰め方の順番を覚えること、おかずを立体的に盛り付けることです。

お弁当

盛り付けをマスターすれば怖いものなし!

板垣さん

A

板垣さん

板垣さん

おかずの水気をしっかり切ることは衛生的にも大切ですが、それだけではありません。汁気が残っていることでごはんや他のおかずに色移りすると、見栄えも悪くなってしまいます。煮物やおひたしなど汁気のあるおかずを入れる場合は、キッチンペーパーなどでよく吸わせてから詰めること。すりごまやかつお節を和えて水分を吸わせるのも良いですね。

汁気で他のおかずまでべちゃべちゃ...なんて残念過ぎますもんね...。

A

板垣さん

板垣さん

詰め方の順番の鉄則は、「面積の広いものから詰める」ことです。まずお弁当箱の半分にごはんを詰めたら、メインのおかず(主菜)→サブおかず(副菜)→スキマに詰めるおかず(漬け物やミニトマトなど)、の順番で入れていきます。大きいものから詰めることでスペースを無駄なくきれいに詰められ、持ち運びによる崩れを防いで見栄えをよくすることができます。また、ごはんは少し傾斜をつけて詰めるとそのあとのおかずを重ねやすくなります。おかずの仕切りはカップを使ってもよいですが、レタスや大葉など緑野菜を仕切り代わりにすると彩りも良くなりますよ。

ほほぅ、順番も大事なんですね。

A

板垣さん

板垣さん

そしてもう1つ。ワンランク上のワザをお教えしましょう。ずばり「おかずは立てかけるように盛り付けて立体感を出す」です!

板垣さん

なにっ、リッタイカンですと!?

A

板垣さん

板垣さん

卵焼きやハンバーグなどのおかずを横に寝かせて並べて盛り付けると、一見整ってはいても平面的でいまいち見栄えが良くありません。おかずを立体的に盛り付けるだけで、お弁当内にランダムな高低差ができて自然と見栄え良く、美味しそうに仕上がりますよ。

まさに上級者のテクニック!今日から修行します!何だかいま教えてもらったことを実践して素敵なお弁当を作れそうな気がしてきましたが、毎日毎日となると...。すぐにレパートリーが尽きてしまいそうなんですが(不安)

A

板垣さん

板垣さん

普段の食事作りと同じで、毎日のこととなるとレパートリーが心配ですよね。お弁当の主役であるメインのおかず(主菜)のバリエーションを多く持っておくと、お弁当作りのハードルがグッと下がりますよ。身近な材料で、シンプルな調理方法で作れるものがよいですね。たとえば豚の生姜焼きや、鮭の塩焼き、鶏の照り焼きなど。「これなら手軽だな」と思うハードルは人によって違うので、どんなメニューなら朝の時間に無理なく作れるかを一度リストアップしてみると良いですよ。まずは定番メニューとして5つレパートリーがあれば、1週間違うメニューのお弁当を楽しむことができます。

確かに!!「わたしのテッパン5種」があれば悩まずに1週間を過ごせるんですね!

A

板垣さん

板垣さん

定番のメニューに慣れてきたら、同じ食材で「味付けを変える」ことでレパートリーを広げてみるのもマンネリを防ぐコツです。例えば「鮭の塩焼き」なら、薄力粉をまぶしてバターで焼けばムニエル、パン粉を付けて焼けばパン粉焼き、ケチャップとしょう油でケチャップ照り焼き、オリーブオイルとにんにくで洋風ステーキ風、白ごまと味噌でごま味噌焼きなど。

同じベースでそんなにバリエーションが。

A

板垣さん

板垣さん

「豚の生姜焼き」なら、ポン酢でさっぱり炒め、味噌とマヨネーズで味噌マヨ炒め、鶏がら出汁とオイスターソースで中華風炒め、レモン汁と黒コショウでレモンペッパー炒め、豆板醤としょう油でピリ辛炒めなど。使う調味料を変えるだけで料理の印象が変わり、同じ食材でも飽きずに楽しめます。

調味料って...神!

A

板垣さん

板垣さん

サブおかずの副菜は、夕飯などで多めに作り置きしておけば朝は詰めるだけなので手軽です。副菜の定番のひじき煮や切り干し大根、ポテトサラダなどは朝から作ろうとすると意外と時間がかかりますよね。常時3〜4品、少量でもいいので作り置きしておくとお弁当作りがグッと時短になりますよ。

お陰様でお弁当生活に自信がわいてきました!でも...いまは張り切ってますが、きっと「うわぁ、今日はお弁当作るの、シンドいなぁ」なんて日も出てきちゃうと思うんですよね...。

A

板垣さん

板垣さん

朝早起きして、メニューを考えて、調理する。毎日のこととなると地味にしんどいときもありますよね。そんなときは無理せずに、冷凍食品やチルドなどの市販品を活用しましょう。現代のお弁当向けの市販品は栄養バランスはもちろんのこと、自然解凍OKでそのまま詰められたり、解凍されても水分が出にくく、冷めてもおいしく食べられる工夫がされているなどとても品質が良いです。

冷凍食品って昔よりだいぶ美味しいな、と感激していたんですが、お弁当にもフル活用できそうですね。

A

板垣さん

板垣さん

我が家でもハンバーグや唐揚げ、春巻きなどお弁当に使える冷凍食品をストックしてあり、余裕のないときには活用してます。メインのおかずは市販品で、サブおかずは作り置きや冷凍のカット野菜を詰めるなどバランスをとるのも良いですし、全てを手作りで頑張らなくても大丈夫ですよ。

プロの発言だけに重みが違う!ぜんぶ手作りしなきゃって気負い過ぎないことですね。

A

板垣さん

板垣さん

また、彩りや盛り付けにこだわる時間がないときには「のっけ弁当」にしちゃうのがおすすめ。のっけ弁当とは、お弁当箱にごはんを広げて、その上におかずをドンドン「のっけた」お弁当のことです。ごはんとおかずを分けずに、のせるだけ。盛り付けを工夫しなくていいから手軽なんです。楽チンなのにとっても豪華に見えますよ。

お弁当

ラクなのに豪華に見えるのっけ弁当!

美味しそう!のっけ弁当はわたしのお弁当生活の主役になるかもしれません!!毎日のお弁当作りは「~しなきゃ」という義務感ではなく、肩の力を抜いてできることをする、というスタンスが続ける秘訣になりそうですね。

A

板垣さん

板垣さん

しんどいときは市販品も活用しながら、上手に「手間抜き」して無理なく美味しいお弁当作りを続けたいですね。参考にしてみてくださいね!

板垣先生、ありがとうございました!

板垣好恵(いたがきよしえ)

管理栄養士・上級食育アドバイザー。
「心とカラダを豊かにする食育」をモットーに、食育関連のコラム執筆やレシピ開発、親子で学べる食育料理教室の開催、イベント出演などを行う傍ら、オリーブオイルの専門家としても活動。美容や健康に役立つ簡単おいしいオリーブオイル料理の開発を得意とし、これまでの開発レシピは300品以上。プライベートでは2児の母。

板垣好恵(いたがきよしえ)