農薬工業会ビジョン
- VISION
- ビジョン活動と持続可能な
開発目標(SDGs)の連携 - ビジョン活動とSDGs
との関連付け - 蜜蜂フレンドシップ
計画
2014年「JCPA VISION 2025」策定から10年が経ち、食料や農業をめぐる状勢・事業環境の変化を踏まえてこれまでの取組みを検証し、2024年5月にNEW VISIONを公表しました。新たなビジョンに沿ってSDGsと連携し、ありたい姿の実現に向けて取り組みます。
NEW VISION
将来のありたい姿
私たちは、
- 日本と世界の食料安全保障、持続可能な農業に貢献します
- 環境にやさしいイノベーションを推進します
- 安全の先にある安心な食生活を楽しめる社会を目指します
活動指針と具体的な活動内容
(1)日本の農業生産性向上と農産物の輸出拡大、世界の農産物需要に対応した作物保護技術を提供します
①食料安定生産に寄与する安全かつ有効なソリューション技術を創造し、安定的に提供します
②スマート農業や総合防除に貢献する有効成分、製剤、施用法を開発します
③諸外国の制度、農業環境等を調査し、各々に対応した作物保護技術を提供します
(2)環境を守るための技術革新とカーボンニュートラルに取り組みます
①新規有効成分、製剤、施用法の開発により環境負荷軽減を進めます
②製造・調達の改善により環境負荷低減を進めます
③物流の効率化、返品・廃棄ロス削減を進めます
(3)社会の信頼を確保するため、適正な農薬使用の推進と科学的な情報発信を行います
①農薬の安全性の向上を目指す諸制度に適切に対応し、有効な防除手段を提供します
②リスク管理された安全な農作物の生産に寄与するため、農薬使用者へ適正使用に関する情報を提供します
③作物保護に関する科学的な情報を、消費者をはじめ幅広いステークホルダーと共有します
(4)上記活動の核となるイノベーションを創出する人材の育成に努めます
①作物保護産業を支える次世代人材を育成するため、教育、研究機関、学会との幅広い交流を進めます
②作物保護に関する勉強会などを通じて幅広い新技術の情報を共有します
③グローバルな人材育成のため、諸外国の関係団体との交流を進めます
JCPA VISION 2025 (2014年策定)
2022年現在80億人と推計されている世界人口は、2050年には98億人に達すると予測されています。人口増加とともに経済成長も進み、世界の食料需要も引き続き増加していくと考えられています。しかし、農耕地面積や農業に利用できる水などの資源には限りがあるため、現在は単位面積当りの収穫量の増加によって、食料の供給を支えているのが現状です。今後も収穫量の増加を維持していくためには、優良な種子の開発やかんがい設備の整備とともに、肥料や農薬といった農業資材も必要となります。
農薬工業会は、これからの持続可能な食料供給を支えるため、農薬の果たす役割はますます大きくなると考えています。2013年に迎えた創立60周年を契機に、当会にとっての「将来のありたい姿」及び今後の活動指針について検討を行いました。
また、農業者、行政・研究機関、消費者、農産物流通といった多くの皆様から、当会の役割や期待することなどについてのご意見をいただきました。それらを踏まえて策定したのが、当会の将来ビジョン「JCPA VISION 2025」となります。
将来のありたい姿
- 「良質な農産物を生産し、豊かな緑を守っていく」。そのためには効果的で安全な農業資材が必要で、その一つが農薬であることは多くの人々に認められている。その結果、農業者が自信を持って農産物を生産し、消費者は安全・安心な食生活を楽しめる社会となっている。
- 変わりゆく日本や海外の農業現場からのニーズに応えるため、農薬産業は最先端の科学技術を用いた新製品・新技術を開発し、世界の食料供給に貢献している。
- 農薬工業会は会員の積極的な参加によって、自主的で公正かつ透明性のある事業活動を行い、社会からの信頼を得ている。それによって農薬産業の健全な発展を支えている。
活動指針
- 農薬工業会と関係する多くの方々とコミュニケーションを図り、信頼関係を構築し、「安全の先にある安心」を獲得することを目指す。
- 農業者が生産物に自信を持って消費者に提供するため、農業者に向けた農薬の安全性に関する啓発活動を積極的に行う。
- 行政・研究機関と連携し、農薬の必要性・安全性に関する科学的根拠を整備して周知することで、農業者、消費者、農産物流通の不安を取り除き、農産物の安全・安心に貢献する。
- 農薬の適正な使用を促進し、安全な農作物の生産に貢献する。
- 農業の生産性と品質向上に向けて、新技術の開発を進めるための環境整備を進める。
- 農薬産業を支える有識者や後継者を育成するために、教育機関、研究機関、学会との幅広い交流を進める。
農薬工業会は、安定的かつ持続的な食料供給を支えるための生産資材として、農薬の果たす役割は今後ますます大きくなると考え、2013年に創立60周年を迎えたことを契機に、将来ビジョン「JCPA VISION 2025」を策定いたしました。
ビジョン活動ではステークホルダーとのコミュニケーションを通じて、「食料生産の重要性と農薬の役割についての情報発信活動」「農業者への安全対策活動」「消費者への広報活動」や「国際化活動」を重点課題として掲げています。更に、最先端の科学技術を駆使した新たな製品や技術を創出し、世界の食料の安定供給に貢献することを目標としています。
一方、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」には、環境や健康、人権などに関する社会課題を解決する17の目標があります。当会のビジョン活動がSDGsのどの目標に関連しているかを示すマッピングを行いました。
ビジョン活動の重点課題の中で共通しているのは、農薬の役割について正しい理解を促進・共有することです。農薬の役割は、「①限られた農耕地や水資源の制限のもとで、農作物の収量・品質を確保し、世界の食料需要に応える」「②森林や非農耕地の緑を守る」、「③農業の効率化に貢献し農業の成長産業化に寄与する」、「④農作物のカビ毒リスクを低減する」、ものであり、①②は目標2「持続可能な農業」と目標15「緑の豊かさを守る」、③は目標8「産業の発展と雇用の創出」、④は目標3「全ての人に健康を」に貢献します。また、農薬に使われる有効成分は衛生害虫の防除を通じて公衆衛生の向上に資するものもあり、この面でも目標3に貢献していると言えます。
次に、「新たな製品や技術の創出」は目標9「産業と技術革新の基盤をつくる」に、スチュワードシップ活動である「農業者への安全対策活動」は目標12「作る責任・使う責任」に、「消費者への広報活動」と「国際化活動」は目標17「パートナーシップ」につながります。
将来ビジョンでは農薬工業会は「世界の食料の安定供給に貢献する」というミッションを掲げています。「ビジョン活動を通じて、よりよい社会をつくる」という当会の目標は、SDGsにも通じるものです。2018年度はSDGsへの貢献を明確に打ち出し、世界や社会に貢献するという視点から、これまで以上にビジョン活動に取組み、かつ積極的に情報発信に努める所存です。
ビジョン活動では、農薬の役割について正しい理解を促進・共有しています。
農薬の役割
- 「農作物の収量・品質の確保」
- 飢餓に終止符を打ち、持続可能な農業の推進につながります
- 「その結果として緑を守る」
- 農耕地面積の拡大を防ぐことにより、緑の豊かさを守ることにつながります
- 「農業の効率化・安定化」
- 農業の効率化に貢献し、農業の成長産業化を促進することにつながります
- 「カビ毒リスクの低減」
- すべての人に健康と福祉を提供することにつながります
関連コンテンツ:
その他
- 「新たな製品や技術の創出」
- 産業と技術革新の基盤をつくることにつながります
- 「スチュワードシップ活動である農業者への安全対策活動」
- 持続可能な消費と生産のパターンを確保し、作る責任・使う責任につながります
関連コンテンツ:
- 「消費者への広報活動」と「国際化活動」
- パートナーシップで目標を達成することにつながります
蜜蜂を始めとした訪花昆虫(花を訪れる昆虫)が、農作物の生産や自然環境を維持するために重要な役割を果たしています。JCPA農薬工業会では訪花昆虫に適切な生息地を提供するために、「JCPA VISION 2025」における活動の一環として「蜜蜂フレンドシップ計画」を2020年度に立ち上げました。
そして現在(2022年度)は会員企業の関連事業所や所有地など11会員計30カ所において、訪花昆虫が好む植物を栽培しています。さまざまな工夫を施し、実施しているその取組を紹介します。
四国エリア
九州エリア
SDGsに関連した発信情報
農薬工業会は、ビジョン活動と持続可能な開発目標(SDGs)の連携を図っています。その一つとして、農薬の役割に関する正しい理解を得るため、関係機関と情報を共有しています。
農薬産業と
イノベーション
産業技術専門誌月刊 JETI ジエティ(企画協力:一般社団法人スマートエネルギー産業振興機構)の特集「ファインケミカル産業の展望」に記事を寄稿しました。
食料安全保障と作物保護
(JETI 2024年5月号)
食料安定供給と作物保護産業
(JETI 2023年5月号)
作物保護産業の現状と展望
(JETI 2022年5月号)
作物保護技術のイノベーション
(JETI 2021年5月号)
農薬産業とイノベーション
(JETI 2020年5月号)
農薬市場とイノベーション
(JETI 2019年5月号)