教えて!農薬Q&A

農薬は本当に必要?

農薬に関する法律、指導要綱、社会的役割などについて

Q. 農薬は農作業を軽減したと言われますが、どれくらいの軽減効果がありますか。

労働時間の短縮に加えて作業の効率化といった労働軽減効果も得られます

 大変な農作業と言えば、水田の除草が挙げられます。除草剤により腰をかがめた無理な姿勢での手取り除草がなくなり、労働時間の短縮以上の労働軽減効果がありました。また、農薬を処理する新しい方法、例えば、殺虫剤や殺菌剤を水稲の苗箱に処理したり、水田の畦から薬剤を投げ込むなどの施用技術が確立して、散布作業はかなり軽減されました。

■ 除草時間は10アール当たり2時間以下に
 図1は戦後の水田稲作での主要な作業時間の変化です。除草剤導入以前の1949年(昭和24年)と導入後の1992年(平成4年)を比較すると、総労働時間は5分の1以下になりました。とくに10アール当たりの除草時間は50.6時間から2.0時間と25分の1になり、10年ごとに半減するという急激な減少を示しました。これは除草剤の導入による効果です。さらに2004年には除草時間は1.57時間になっています(図1)。除草が薬剤散布で済むことは、無理な姿勢での手取りがなくなり、労働時間の短縮以上の労働軽減効果があったといえるでしょう。
 総労働時間のなかで各作業が占める割合も変化しました(図2)。1949年は、稲刈り・脱穀(33.4%)、除草(23.4%)、田植え(16.1%)の合計が総労働時間の4分の3近くになっていました。その後、機械化がすすみいずれも比率が低下、1960年を境に除草と田植えが逆転、1992年には稲刈り・脱穀(24.1%)、田植え(14.4%)、除草(4.9%)の順になりました。
■ 省力化を目的とした農薬も
 除草剤以外にも省力化を目的とした農薬があります。りんごやみかんなど果樹では果実を充分に育てるために、余分な花や幼果を間引く摘花/摘果がおこなわれます。摘花/摘果は一つ一つ手作業でおこなう場合と薬剤を使う場合があります。摘花/摘果剤は植物ホルモンの一種です。
 たとえば摘果はりんご生産では全労働時間の約3分の1を占める重要な作業で、そのうえ、5、6月に集中しています。人手による作業では、まずおおまかな粗摘果をし、6月の後半までに仕上げ摘果をします。摘果剤を用いると粗摘果がほとんど不要になり、作業時間が30~50%短縮されるといわれます。このため、摘果剤を利用して人手不足を補うことがおこなわれます。
 作物の病気の原因になる微生物は目に見えませんし、害虫のほとんどは小さく、数が多く、捕まえにくいものばかりです。高温多湿の日本では雑草が繁茂しやすく作物への影響も、大きなものですが、微生物や害虫と違って雑草は手で引き抜くことができ、取れば取るほど栄養や水が作物にまわるので、昔から農家は田や畑を見回り、草取りをしました。しかし、夏の炎天下、水田のなかで泥に足を取られながらの草取りは大変な重労働でした。
 明治のなかばには、田のなかで人が押して雑草を引っ掛けて抜く、簡単な除草器具も開発されましたが、田の草取りから農家を解放したのは、日本では1950年(昭和25年)から登場した2, 4-PA(2,4-D)、MCPなどの水田除草剤です。今では、手取り除草はほとんど見られなくなりました。

水稲作における主要作業時間の年次変化

水稲作における除草剤利用による労力の軽減
除草労働時間は作業別労働時間による(米生産費調査成績)
(日本植物調節剤研究協会資料による)
参考文献
*日本植物調節剤研究協会『植調三十年史』1993
*日本植物防疫協会「農薬概説」

(2009年5月)

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