教えて!農薬Q&A

農薬は安全?

農家への安全対策、使用状況の把握などについて

Q. 農薬は年間どのくらい使われているのですか。

 農薬の使用量の統計はありませんが、出荷量から推定することができます。平成19農薬年度(2006年10月~2007年9月)では、出荷量は26.0万トン(注)、出荷金額は3,706億円でした。

(注)出荷数量は重量のトン(t)で代表して示されています。液体製剤は1kLを単純に1トンに換算され総量に合算されています。

 用途別では、下表の通り、出荷金額・数量とも殺虫剤が最も多く、次いで除草剤、殺菌剤の順となっています。

平成19農薬年度生産・出荷表(単位:トンまたはkL、百万円)
生 産 出 荷
数量 金額 数量 金額
殺虫剤 99,581 128,391 100,361 129,172
殺菌剤 52,611 83,072 51,860 82,728
殺虫殺菌剤 25,351 33,832 24,991 33,334
除草剤 73,883 121,330 68,787 112,265
殺そ剤 413 364 383 330
植物成長調整剤 2,079 7,780 2,086 6,898
補助剤 3,109 2,841 3,089 2,817
その他 9,724 3,229 9,034 3,102
266,751 380,858 260,590 370,646

(農薬要覧2008より)

 年次別の推移を見ると、農薬の生産量は昭和55年農薬年度(1980年)の68.4万トンをピークに減少傾向をたどっています。 生産金額は平成8農薬年度(1996年)をピークに横ばいから減少傾向をたどっています(図1)。

農薬の生産金額の推移
図1. 農薬の生産金額の推移(農薬概説2009より)

 用途別生産金額の推移では、殺虫剤が昭和30年代に65%を占めていましたが、平成19農薬年度(2007)では33.7%となっています。殺菌剤は、おおよそ20%台で推移しています。除草剤は昭和34年頃から急激に増加し、昭和55年には殺菌剤を上回り、平成19農薬年度(2007)では31.9%となっています(図2)。

農薬の用途別生産金額の推移
図2. 農薬の用途別生産金額の推移(農薬概説2009より)

 粉剤、粒剤など農薬の剤型別生産量の推移では(図3)、昭和35農薬年度(1960年度)には、粉剤が数量で全体の76%、金額で41%と圧倒的なシェアを占めていました。しかし、ドリフト(飛散)などの問題から激減し、代って、面積当たりの使用量がより少ない粒剤や乳剤、液剤のシェアが伸び、平成19農薬年度(2007年)では粒剤が数量で39.0%、金額で27.9%、粉剤が数量で15.0%、金額で3.5%、乳剤・液剤が数量で16.1%、金額で24.5%、水和剤が11.9%、金額で35.0%となっています。このように、粉剤の減少が近年の生産量減少の大きな原因となっています。また、粒剤も、水稲用除草剤の一発処理剤、一キロ粒剤の普及により、近年、生産量が減少しています。

農薬製剤別の生産量推移
図3. 農薬製剤別の生産量推移(農薬概説2009より)

 また、毒物および劇物に指定された農薬は減少し、平成19農薬年度(2007年)では、毒物・劇物に該当しない普通物が金額で81.7%を占めています(図4)。ちなみに特定毒物は0.01%、毒物は1.0%、劇物は17.3%です。

農薬製剤別の生産量推移
図4. 農薬の毒性別生産割合の推移(金額比)(農薬概説2009より)

 農薬は主に農耕地で使用されますが、日本では就農人口の減少、減反などの影響により、耕作面積が年々減少し、ピーク時の昭和36年(1961年)には 609万haであったのに対し、平成19年では465万haにまで減少しています。これにより、防除が必要な面積も減少し農薬の使用量が減少したと考えられます。

 さらに、就農人口の減少や高齢化から、防除の省力化、効率化が求められ、それに応える形で、効果を示す病害虫や雑草の範囲の広い農薬や、効果の持続期間の長い農薬、散布量が少なくても効果を示す農薬等が開発されました。

 また、消費者の求める減農薬志向に対しても、上記のような高性能な農薬が登場したことで、農薬使用量を低減した防除が可能となりました。

 以上のように農薬の使用量の減少は、農薬に関する技術革新の成果なのです。

参考文献
*農林水産省監修『農薬要覧』、日本植物防疫協会
*日本植物防疫協会『農薬概説』

(2009年8月)

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