教えて!農薬Q&A

農薬は安全?

農家への安全対策、使用状況の把握などについて

Q. 化学物質の危険性はどのように判断されるのですか。

有害・危険性の確率はリスクアセスメントの手法で評価されます

 化学物質により発生する各種のハザード(有害・危険性)のリスク(確率)はリスクアセスメント(評価)の手法により評価されます。医薬品や農薬、家庭用殺虫剤などの多くは化学物質に含まれますが、これらの危険性についても基本的には同様のリスクアセスメントシステムに従って判断がなされます。

図1. リスクアセスメント システム
リスクアセスメント システム
原図:(独)中小企業基盤整備機構(一部変更)
■ リスク評価(アセスメント)
 化学物質のリスク評価のなかには、化学物質により影響を受ける対象別に「環境リスク評価」、「ヒト健康リスク評価」及び爆発や火災などによる設備への被害を考える「フィジカルリスク評価」があります。いずれも上記の4ステップに従って評価されます。
・ハザード(有害・危険性)の特定
 まず、“ハザード(有害・危険性)の特定”が行われます。対象化学物質の種々の性質(物性)を収集(必要に応じて物性を測定)して、また、その化学物質の使用法から考えて、優先的に評価すべきハザードを決めていきます。
・影響の量依存性評価
 次に、化学物質の量とそのハザードが発現する関係(影響の量依存性)を推し量る “影響の量依存性評価”が行われます。量と影響の大きさの関係を明確にすることで、量と影響を受ける確率との関係を決め、影響が無いと推定できる暴露量(NOEL、,NOAEL、,TDI)などを決めます。
・暴露評価
 次いで、“暴露評価”に移ります。暴露評価とは、対象の化学物質を製造したり、取扱ったりしている中で、どの様な条件や設備で取扱われるかから、ヒトや環境がどれだけ暴露するか、更にどの程度爆発したり引火したりするかを評価する作業です。 暴露評価の際、暴露の量や期間など、実際に測定することが難しい場合が多いため、種々のモデルを使って推算することも行われます。
・リスクの判定(評価)
 上記のプロセスを踏んだ上で“リスクの判定(評価)”が行われます。 この作業では、暴露されるレベルが影響の量依存性のデータからみて、どの程度のリスクの発生する可能性があるかを判定します。例えば、ヒトが急性の毒性で死にいたる可能性とか、がんに罹る可能性が生涯にわたった確率を数値で示されます。
■ リスク管理(マネージメント)
 リスク評価の結果から、管理の手法が決められていきます。
毒性の強い化学物質は暴露量が許容レベルを超えないように厳しく制限する必要があり、たとえ毒性の低い化学物質でも、暴露量が許容レベルを上回れば危険であることに変わりはありませんから、物質のベネフィット(利便性)を考慮し、かつ経済的、技術的にも対応可能な対策がとられます。
■ リスクコミュニケーション
 現在判っている範囲で、そのリスクの程度や起る確率が関係者にとって許容できるものであるか、そのリスクが発生したときには、それぞれがどう対処するかなどにつき情報や意見を交換することをリスクコミュニケーションと言います。結果として、被害を受ける側は許容できないと判断し、リスクを発生させる原因側は、それ以上の厳しい管理を実行するには膨大な費用が発生し、実現不可能となる場合もあります。リスクコミュニケーションの必要性の第一は、リスクが現実に発生したときに、それぞれがどう対応するかの確認をすることです。
 リスクコミュニケーションを行うには、リスクの評価結果を必要としますが、リスクの評価には多くの仮定や不確実さも含まれています。実際に行った評価結果だけでなく、種々の推算やモデルの使用による不確実性の情報も必要とされます。「安全です」とか「危ないです」と言うのではなく、「どの程度のリスク (ハザードの大きさと暴露量)があるか」を明確に示すことが大切なのです。
参考文献
*参照 独立行政法人 中小企業基盤整備機構

(2009年8月)

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