農薬は安全?

農家への安全対策、使用状況の把握などについて

化学物質の危険性はどのように判断されるのですか。

化学物質のリスクは、対象とする化学物質の有害性と人や環境中の生物がその化学物質にさらされる量(暴露量)に基づいて評価されます。

「化学物質が望ましくない影響を与える可能性」のことを「化学物質のリスク」と言います。リスクは概念的に、被害の大きさ×被害が起こる可能性であらわされます。化学物質のリスクは、被害の大きさ(化学物質の有害性の程度)と被害が起こる可能性(暴露量)であらわされます。化学物質のリスクを把握するためには、対象とする化学物質の有害性と人や環境中の生物がその化学物質にさらされる量(暴露量)に基づいてリスク評価を実施します。有害性の強い化学物質であっても、暴露量が少なければリスクは小さく、逆に有害性の弱い化学物質であっても暴露量が多いとリスクは大きくなります。

化学物質のリスク評価は、動物試験の結果などから、「有害な影響を示さない量」(これを「無毒性量」といいます)を求め、この結果と暴露評価により求められた「推定された暴露量」の大小を比較することにより行います。暴露量は、吸ったり食べたり触れたりすることで体内へ取り入れた化学物質の量の総和です。

毒性の強い(無毒性量が小さい)化学物質であっても、暴露量(摂取量)が無毒性量より少ない場合は悪い影響はありません。逆に、毒性の弱い(無毒性量が大きい)化学物質であっても、暴露量(摂取量)が無毒性量より多い場合は悪い影響が出る可能性があります。たくさん取り込んでも被害が起きないものもありますし、ほんの少しでも被害が起きてしまうものもあります。これが、「リスク評価」の考え方です。

化学物質のリスクには、①作るときのリスク、②使うときのリスク、③捨てるときのリスクがあります。化学物質の管理を適正に行っていくためには、その化学物質に関係する全ての人(企業、行政、地域住民、製品の使用者など)とリスクに関する情報を共有する必要があります。そのために行なわれる対話がリスクコミュニケーションです。リスクコミュニケーションを行うことで、関係者に信頼と安心が育ち、より適切な化学物質管理が行われます。

参考文献
*「化学物質のリスク評価について-よりよく理解するために-」(独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター)
*「化学物質のリスク評価のためのガイドブック 入門編」(経済産業省製造産業局化学物質管理課)
*「化学物質 対話でリスクをへらしていこう」(経済産業省製造産業局化学物質管理課)

(2017年5月)