教えて!農薬Q&A

農薬はどうして効くの?

農薬の種類や成分、製造方法、農薬が効く科学的な仕組みなどについて

Q. 農薬には、どのような種類があるのでしょうか。

一般的には用途別に、7種類に分類されています

 農薬には多くの種類があり、その分類の仕方もさまざまです。一般的には用途別に分類されます(表1)。また、農林水産省では、殺虫剤、殺菌剤、殺虫殺菌剤、除草剤、殺そ剤、植物成長調整剤、その他の7種類に分類し、殺ダニ剤、殺線虫剤は殺虫剤に、農薬肥料*、殺虫・殺菌植調剤、忌避剤、誘引剤、展着剤は「その他」に含めています。農薬登録の場合は、この分類に従っておこないます。なお、殺虫剤のなかに殺ダニ剤を含めることがありますが、必ずしもダニに殺虫剤が効くとは限らず、専用の殺ダニ剤が開発されています。

*農薬肥料は農薬と肥料を混合したもので、殺虫剤や殺菌剤あるいは植物成長調節剤と複合肥料との混合製剤があります。

表1. 農薬の用途別分類
種 類 用 途
殺虫剤 農作物を加害する有害な昆虫を防除する
殺ダニ剤 農作物を加害する有害なダニ類を防除する
殺線虫剤 根の表面や組織に寄生し加害する線虫類を防除する
殺菌剤 植物病原菌(糸状菌や細菌)の農作物を加害する有害作用から守る
除草剤 雑草類を防除する
殺虫殺菌剤 殺虫成分と殺菌成分を混合して、害虫、病原菌を同時に防除する
殺そ剤 農作物を加害するねずみ類を駆除する
植物成長調整剤 植物の生理機能を増進または抑制して、結実を増加させたり倒伏を軽減したりする
忌避剤 鳥や獣が特定の臭い、味、色を嫌うことを利用して農作物への害を防ぐ
誘引剤 主に昆虫類が特定の臭いや性フェロモンに引き寄せられる性質を利用して害虫を一定の場所に集める
展着剤 薬剤が害虫の体や作物の表面によく付着するように添加する

現在使われている農薬には生物農薬もありますがほとんどが化学農薬です。表2-1~表2-3は、農薬の有効成分による分類です。

表2-1. 農薬の有効成分による分類(殺虫剤、殺ダニ剤)
分 類 代表的な農薬










神経系に作用 有機リン系 アセフェート、ジメトエート、ダイアジノン、マラソン、DDVP、DMTP、MEP、MPP
カーバメート系 アラニカルブ、オキサミル、カルボスルファン、チオジカルブ、ベンフラカルブ、メソミル、BPMC、NAC
合成ピレスロイド系 エトフェンプロックス、シハロトリン、シフルトリン、シペルメトリン、シラフルオフェン、ビフェントリン、ピレトリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、フルシトリネート、フルバリネート、ペルメトリン
ネライストキシン系 カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ
ネオニコチノイド系 アセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、チアクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラム
マクロライド系 アベルメクチン類 エマメクチン安息香酸塩
ミルベマイシン類 ミルベメクチン
スピノシン類 スピノサド
フェニルピラゾール系 フィプロニル、エチプロール
Naチャンネル阻害剤 インドキサカルブ、メタフルミゾン
その他 ピメトロジン、フロニカミド
細胞内呼吸阻害 電子伝達系Ⅰ阻害剤 テブフェンピラド、ピリダベン、フェンピロキシメート、トルフェンピラド
電子伝達系Ⅱ阻害剤 シフルメトフェン
電子伝達系Ⅲ阻害剤 アセキノシル、フルアクリピリム
脱共役剤 クロルフェナピル
昆虫成長制御剤(IGR) キチン合成阻害剤 クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、フルフェノクスロン、ルフェニュロン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール
脱皮ホルモン代謝阻害 ブプロフェジン
幼若ホルモン様活性物質 ピリプロキシフェン
脱皮ホルモン様活性物質 クロマフェノジド、テブフェノジド、メトキシフェノジド
その他 シロマジン
代謝系阻害 テトロン酸系 スピロジクロフェン、スピロメシフェン
ジハロプロペン系 ピリダリル
筋小胞体に作用 ジアミド系 フルベンジアミド、クロラントラニリプロール
(他) 気門封鎖 澱粉、還元澱粉糖化物、マシン油、オレイン酸ナトリウム
生物農薬 微生物 パスツーリア・ペネトランス、バチルス・チューリンゲンシス(BT)、モナクロスポリウム・フィマトパガム、ペキロマイセス・テヌイペス、ボーベリア・ブロンニアティ、ボーベリア・バシアーナ
天敵昆虫・ダニ・線虫 スタイナーネマ・カーポカプサエ、チリカブリダニ、ククメリスカブリダニ、ショクガタマバエ、ナミヒメハナカメムシ、タイリクヒメハナカメムシ、オンシツツヤコバチ、イサエアヒメコバチ、コレマンアブラバチ、ハモグリコマユバチ、ハモグリミドリヒメコバチ
表2-2. 農薬の有効成分による分類(殺菌剤)
分 類 代表的な農薬
殺菌剤 化学農薬 多作用点接触 無機化合物 ボルドー液、石灰硫黄合剤 (銅、硫黄)
ジチオカーバメート チウラム、ジラム、ポリカーバメート、マンゼブ、マンネブ、プロピネブ
その他 クロロタロニル(TPN)、キャプタン、フォルペット、フルオルイミド、ジチアノン、イミノクタジン
核酸合成 フェニルアミド系 メタラキシル
カルボン酸、その他 オキソリニック酸、ヒドロキシイソキサゾール
有糸分裂 ベンゾイミダゾール系 ベノミル、チオファネートメチル
その他 ジエトフェンカルブ、ペンシクロン
呼吸 酸アミド系
(複合体Ⅱ阻害)
メプロニル、フルトラニル、フラメトピル、チフルザミド、ボスカリド
QoI剤(複合体Ⅲ阻害) アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、トリフロキシストロビン、オリザストロビン、ピラクロストロビン、ファモキサドン
QiI剤(複合体Ⅲ阻害) シアゾファミド、アミスルブロム
その他 フルアジナム、フェリムゾン
アミノ酸及び蛋白質合成 アニリノピリミジン系 メパニピリム、シプロジニル
シグナル伝達 フェニルピロール フルジオキソニル
ジカルボキシイミド系 イプロジオン、プロシミドン
脂質及び細胞膜合成 有機リン系 EDDP、IBP
カルボン酸アミド ジメトモルフ、ベンチアバリカルブイソプロピル、マンジプロパミド
その他 イソプロチオラン、トルクロホスメチル、プロパモカルブ
細胞膜のステロール合成 ステロール生合成阻害剤 オキスポコナゾール、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾール、トリホリン、フェナリモル、ビテルタノール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、フェンブコナゾール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、プロピコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、フェンヘキサミド
細胞壁のメラニン合成 MBI-R トリシクラゾール、ピロキロン、フサライド
MBI-D カルプロパミド、ジクロシメット、フェノキサニル
不明 その他 シモキサニル、ホセチル、フルスルファミド、ジクロメジン、シフルフェナミド
植物の抵抗性誘導 プロベナゾール、チアジニル
土壌殺菌剤 ダゾメット、クロルピクリン
抗生物質 カスガマイシン、バリダマイシン、ポリオキシン
生物農薬 バチルス・ズブチリス、アグロバクテリウム・ラジオバクター、非病原性エルビニア・カロトボーラ、トリコデルマ・アトロビリデ、タラノマイセス・フラバス
表2-3. 農薬の有効成分による分類(除草剤)
分 類 代表的な農薬
除草剤 無機化合物   塩素酸塩、シアン酸塩
有機合成農薬 合成オーキシン 2,4-PA、MCPBエチル、ダイカンバ、トリクロピル、キンメラック
ACCase阻害剤 セトキシジム、フルアジホップブチル
ALS阻害剤 イマゾスルフロン、チフェンスルフロンメチル、ニコスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、ベンスルフロンメチル、イマザピル、フルメツラム、ペノキススラム、ビスピリバックNa、ピリミノバックメチル、フルカルバゾンNa
光合成阻害剤 アトラジン、シメトリン、リニュロン、DCMU、ブロマシル、フェンメディファム、ベンタゾン、アイオキシニル
PPO阻害剤 オキサジアゾン、ペントキサゾン、オキシフルオルフェン、ピラフルフェンエチル、フルミオキサジン、フルチアセットメチル、カルフェントラゾンエチル、ピラクロニル
カロチノイド合成阻害剤 ノルフルラゾン、ジフルフェニカン、クロマゾン
4-HPPD阻害剤 ピラゾレート、ベンゾフェナップ、メソトリオン、イソキサフルトール
細胞分裂阻害剤 トリフルラリン、ペンディメタリン、ジチオピル
超長鎖脂肪酸阻害剤ジリウム系 アラクロール、ブタクロール、プレチラクロール、プロパクロール、ジメテナミド、メフェナセット、カフェンストロール、インダノファン、アニロホス、フェントラザミド
脂肪酸合成阻害剤 ベンチオカーブ、モリネート、EPTC、ベンフレセート
セルロース合成阻害剤 ジクロベニル、フルポキサム、イソキサベン
EPSP合成阻害剤 グリホサート
グルタミン合成阻害剤 グルホシネート、ビアラホス
ビピリジリウム系 パラコート、ジクワット
その他 ダイムロン、オキサジクロメホン、エトベンザミド、シンメチリン、ブロモブチド、MSMA
生物農薬   ザントモナス・キャンペストリス
参考文献
*日本植物防疫協会『農薬概説』
*農水省植物防監修『農薬要覧』、日本植物防疫協会
*日本植物防疫協会『農薬ハンドブック2005年版』

(2009年5月)

MOVIEマークのページでは動画をご覧頂けます。