自然や環境への影響は?

自然環境やその他生物に及ぼす影響などについて

ゴルフ場は面積も広く、水源地の近くにあるところもあります。ゴルフ場で使われた農薬が川、海を汚染しているのではありませんか。

いいえ。現在ではゴルフ場で使われた農薬が水源や川、海を汚染している可能性はほとんどありません。

飲料水や河川水の安全性を判断する基準として1990年(平成2年)に厚生省(現厚生労働省)から水道水の暫定目標値が、また、環境庁(現環境省)からゴルフ場農薬の暫定指導指針が通知されました。加えてこれら水質の基準を達成するため、ゴルフ場農薬使用の適正化についての通達が農林水産省から出されました。その結果、農薬の使用現場の排水から飲料水までの水質の監視・指導体制が整い、農薬の適正使用が進んだことから、水道原水に関するゴルフ場農薬問題は解消されています。

ゴルフ場における農薬使用の適正化と水質調査結果について

ゴルフ場で使用された農薬が河川や海を汚さないように、1990年(平成2年)に環境省は「ゴルフ場における農薬使用適正化指導要綱等策定指針」を定め、この指針に基づいて都道府県知事は「ゴルフ場農薬適正使用要綱」(防除指針、防除マニュアル)を定めており、ゴルフ場はこの要綱に則って芝生を管理することが義務付けられています。

また、ゴルフ場における農薬使用の適正化の推進と、ゴルフ場周辺水域の汚染防止を図る目的で、2017年(平成29年)に環境省は、生態系保全の観点から水産動植物被害の防止のための水産指針値を加え、新たに「ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止及び水産動植物被害の防止に係る指導指針」を策定しました。

その後、農薬取締法の改正を受け、指針値の根拠となる基準の名称が平成30年12月1日付けで変更され「ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止及び水域の生活環境動植物の被害防止に係る指導指針」となりました。

なお、農薬の流出実態の調査は、ゴルフ場から排出される水(排出水)がゴルフ場の区域から場外の水域に流出する地点(排水口)の排出水、つまり、農薬濃度が高い状態になると見込まれる排出水を用いることを基本として行われています。

指導指針に基づく調査結果は下表の通りで、水濁指針値の超過は見られなくなりましたが、水産指針値の超過事例が数件報告されており(指針値超過比率0.0077~0.0143%)、今後も、農薬の適正使用を周知・啓発するための活動を継続して参ります。

なお、水道水に関しては、水道法に基づき水道事業体等に検査の義務が課されていましたが、農薬が水道水の水質基準を超えて検出されることがなかったことから2003年(平成15年)に「水質基準に関する省令」が改正され、農薬が水道水の水質基準項目から除外され、別途、新たに水質管理目標設定項目として検査が続けられています。

ゴルフ場で使用される農薬に係る水質調査結果

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年度 調査対象
ゴルフ場数
調査対象
農薬数
総検体数 指針値超過検体数
水濁指針 水産指針
2000 1,673 35 84,071 2 -
2001 1,526 35 78,184 0 -
2002 1,539 45 79,893 1 -
2003 1,233 45 60,858 0 -
2004 997 45 45,880 0 -
2005 833 45 35,687 0 -
2006 786 45 30,430 0 -
2007 754 45 27,365 0 -
2008 634 45 23,403 0 -
2009 653 45 23,810 0 -
2010 563 75 22,727 0 -
2011 546 75 23,822 0 -
2012 555 75 23,205 0 -
2013 547 108 22,279 0 -
2014 511 127 17,328 0 -
2015 515 125 15,902 0 -
2016 1,038 168 27,182 0 -
2017 1,435 174 38,927 0 3
2018 1,481 174 38,188 0 5
2019 1,607 231 41,962 0 6

(環境省公表資料より作成)

参考文献
環境省ホームぺージ
厚生労働省ホームぺージ

(2021年1月)