教えて!農薬Q&A

そのまま食べても大丈夫?

残留農薬や食品における安全基準などについて

Q. 輸入農産物の残留農薬が気になります。検査体制はどうなっていますか。

輸入農産物については、輸入時は国、輸入後の流通段階では地方自治体がチェックしています。

 日本に輸入される食品は、輸入時は国(検疫所)が監視業務を実施し、輸入後の国内流通時には国産品と同様に地方自治体が監視業務を行っています。
厚生労働省では、日本全国の港および空港に設置された31ヶ所の検疫所に、食品衛生監視員399名(2012年)を配置しています。食品衛生監視員は、監視業務として、輸入食品等の輸入届出について、食品衛生法の適否の審査、年間計画に基づくモニタリング検査によって違反がないかの監視、違反可能性の高いものに対する命令検査の実施等による輸入食品等の安全性確保の業務を担っています。例えば、2014年の輸入届出件数は、約222万件であり、このうちの8.8%にあたる195,390件を実際に検査した結果、877件が法違反であったことから、積み戻し、廃棄又は食用外転用等の措置がなされました。
 また、市場の抜き取り検査では、2011年には輸入食品も含めて4,365,095件が検査され、うち農薬が検出されたのは全体の0.27%でした。

 食品の輸入の手続きは以下のようなものです。

■ 港や空港で食品衛生監視員がチェック
 輸入される食品は、食品衛生法第27条に基づき検疫所に届出が義務付けられ、法に照らし合わせて適正な食品かどうかを食品衛生監視員が審査や検査をします。港や空港に着いた輸入食品はまず保税倉庫に納められ、穀物、果物、野菜、種子、樹木などは、農林水産省の植物防疫官により植物検疫をうけ、有害病害虫が発見された場合は積み戻しや燻蒸処理がされます。家畜などの動物検疫も同様です。輸入食品は、このプロセスを経た上で検疫所に送られます。検疫所の食品衛生監視員は、食品等輸入届出書に記載されている輸出国、輸入品目、製造者・製造所、原材料、製造方法、添加物の使用の有無などをもとに、以下の項目について、書類を審査します。
  1. 食品衛生法に規定される製造基準に適合しているか。
  2. 添加物の使用基準は適切であるか。
  3. 有毒有害物質が含まれていないか。
  4. 過去衛生上の問題があった製造者・製造所であるか。
 そして、さらに検査の必要がある場合は、実際に食品の変色や異臭、表示の確認、必要に応じて試料を採取して化学分析、細菌検査などがおこなわれます。
 こうした検疫所の食品審査に合格すると、税関に送られ、税金を納めると輸入が認められ市場に出ることになります。
 不合格の場合は輸入できず、廃棄や原産国に送り返されます。
 このように、輸入食品には書類審査と一部ではありますが実際の検査という二重のチェックがおこなわれています。2014年の輸入届出件数および重量は、2,216,012件(前年比1.4%増)、32,411,715 トン(前年比4.6%増)。このうちの8.8%にあたる195,390件が実際に検査されました。そして、877件が食品衛生法不適格となり、積み戻しまたは廃棄等の措置が行われました。うち農産食品が296件、18,593トンでした。
 違反の種類別にみると、残留農薬も含まれる「食品・添加物等の規格基準不適格」が最も多く539件(うち、残留農薬は195件)、次いで「販売等を禁止される食品・添加物(腐敗、変敗、かびの発生、毒魚の混入等)」が245件、「器具、容器包装の規格基準不適格」が70件、「添加物等の販売等の制限(指定外添加物の使用等)」が54件、となっています。
 検疫所の輸入食品・検疫検査センターまたは検査課にて、実施されたモニタリング検査が行われています。同一の輸出国からの農水産物で、同じ農薬が2回以上基準値を超えた場合は、食品衛生法第15条第3項により当局より検査命令が出されます。その場合は、すべての当該輸入貨物について厚生労働大臣の指定検査機関において検査が実施されます。
■ 市場に出ても保健所などの抜き取り検査が
 検疫所の審査、検査を通り市場に出たあとでも検査は行なわれます。全国の保健所や検査機関では、食品衛生法にもとづく市場からの食品の抜き取り検査を定期的に行ない、食品添加物や残留農薬について調べています。これは国産・輸入を問わず店頭に並んでいるすべての食品が対象です。
 厚生労働省では、この結果を全国集計していますが、2011年の結果では、輸入食品も含めて4,365,095件が検査され、うち農薬が検出されたのは11,950件(全体の0.27%)でした。
 農薬が検出された11,950件の内訳は、国産3,425件、輸入8,525件です。そのうち基準値をオーバーしていたのは456件、内訳は国産78件、輸入378件でした。基準値を超えた農産物は回収・廃棄などの処置がされます。
年度 検査数
  国  産 輸  入
2007 1,169,633 2,548,835 3,718,468
2008 1,140,672 2,991,348 4,132,020
2009 1,198,747 3,200,253 4,399,000
2010 1,294,451 3,049,606 4,344,057
2011 1,337,488 3,027,607 4,365,095
年度 検出数
  国産 輸入
2007 3,374 0.29 8,658 0.34 12,032 0.32
2008 3,140 0.28 8,424 0.28 11,564 0.28
2009 3,303 0.28 8,839 0.28 12,142 0.28
2010 3,818 0.29 8,881 0.29 12,699 0.29
2011 3,425 0.26 8,525 0.28 11,950 0.27
年度 基準値超過数
  国産 輸入
2007 48 0.004 441 0.017 489 0.013
2008 38 0.003 483 0.016 521 0.013
2009 40 0.003 422 0.013 462 0.011
2010 73 0.006 365 0.012 438 0.010
2011 78 0.006 378 0.012 456 0.010

厚生労働省「平成19~23年度 食品の残留農薬等検査結果について」(全食品)より引用

参考文献
*食品衛生研究会監修『食品中の残留農薬Q&A』2001、中央法規
*梅津憲治『農薬と食の安全・信頼』2014、日本植防疫協会
*厚生労働省・輸入食品監視業務ホームページ
*農林水産省「食料需給表」(平成22~26年)
*農林水産省/独立行政法人 農林水産消費技術センター「輸入野菜の安全管理 検査制度と食品安全への取り組み 中国・タイ編」(2005年)
*農林水産省/独立行政法人 農林水産消費技術センター「海外における野菜・果樹の生産管理状況 フィリピン・台湾編」(2006年)
*日本貿易振興機構(ジェトロ)ホームページ

(2017年3月)

MOVIEマークのページでは動画をご覧頂けます。