農薬はカラダに悪い?

農薬が人に及ぼす影響や安全性などについて

ベトナム戦争ではダイオキシンを含む枯葉剤が使われ、それを浴びた親から奇形児が生まれたと言われています。農薬にはダイオキシン類のような毒性の強い不純物は含まれていないのですか。

農薬登録時に不純物も含めて安全性を確認しているため、そのような毒性の強い不純物は含まれていません。

ベトナム戦争で使われた枯葉剤には何種類かあり、そのうちオレンジ剤は日本も含め世界中で使われていた除草剤2,4,5-Tと2,4-Dを半分ずつ混ぜたものでした。当時、2,4,5-Tには不純物として微量のダイオキシン類が含まれていました。

ダイオキシンは1種類の物質ではなく全部で222種の異性体の総称です。現在、登録されているすべての農薬についてもダイオキシンが生成しないような合成方法が確立され、実際に含まれていないことが、精密な分析により確認されています。

登録された農薬の有効成分(原体)は、その製造方法、製造場所、不純物成分およびそれらの含有率などが届出内容に従って厳格に規定されており、農薬登録の時には不純物も含めて厳密な安全性試験を実施して、その安全性が確保されています。農薬製剤についてはその製造に用いる補助成分についても規定されています。

参考文献
*渡辺正、林俊郎『ダイオキシン』2003、日本評論社
*E.M.フェラン『創られた恐怖』1996、昭和堂

(2017年4月)