教えて!農薬Q&A

農薬はカラダに悪い?

農薬が人に及ぼす影響や安全性などについて

Q. 農薬の中には毒物や劇物があります。このような危険なものを使ってよいのでしょうか。

「毒物」「劇物」に該当する農薬であっても、農薬を使用する際に、使用基準やラベルの内容通りに使用すれば、使用者や農作物に悪影響を及ぼす事はありません。

 農薬はラベルの記載通りに正しく使えば、その安全性は保証されています。 「毒物」「劇物」というと非常に危険なものと感じられるかも知れませんが、人の健康に対する化学物質の影響は、化学物質の有害性(毒性)と人が暴露を受ける化学物質の量で決まります。毒性の強い化学物質でも暴露されなければ影響はでませんし、毒性の弱い化学物質でも大量に暴露されれば影響がでることが考えられます。農薬の場合には、使用者は比較的高い濃度で取扱う機会があるため多量に暴露される可能性が考えられますが、「毒物」や「劇物」に該当する薬剤を使用する時でもマスクや手袋などの適切な保護具を着用することで暴露量を減らして悪影響を回避することができます。また、使用方法を守ることで使用者以外の人への危害も防止できます。「毒物」や「劇物」は、譲渡や保管について「毒物及び劇物取締法」で規制されており管理をしっかり行うことで悪用や誤用による人への危害も防ぐことができます。

 農薬も一般の化学物質と同様に、その毒性に応じて「毒物及び劇物取締法」によって「毒物(正式には医薬用外毒物)」と「劇物(正式には医薬用外劇物)」に区別され、その取扱いが規制されています。毒物のなかでも特に毒性の強いものが「特定毒物」に指定され、さらに厳しい規制がされています。毒物・劇物の判定は、動物又はヒトにおける知見に基づき当該物質の物性、化学品としての特性等を勘案して行うとされています。動物試験の急性毒性値の目安を表に示しましたが、皮膚・粘膜の刺激性の程度によって劇物に指定される場合もあります。なお、「毒物」「劇物」に該当しない毒性の弱いものを、通常、「普通物」と呼んでいます。

 なお、「劇物」や「毒物」であってもそれらを使用した農産物の安全性は、登録に従い適正に使用されていれば、その残留濃度は一日摂取許容量(ADI)をもとに設定された残留基準値を超えることはないのはもちろん、環境中においても毒物、劇物であるがために悪影響を及ぼすということはありません。  また、農薬の毒性そのものについても低減化が進められた結果、普通物の割合が高まり、2007年には、生産された農薬のうち生産金額割合で81.7%が普通物、 17.3%が劇物、毒物は1.0%、特定毒物は0.001%でした。

■ 医薬用外毒物または劇物に指定するにあたっての日本での判定規準
急性毒性 医薬用外毒物 医薬用外劇物
経口(LD50) 50mg/kg以下 50mg/kgを超え300mg/kg以下
経皮(LD50) 200mg/kg以下 200mg/kgを超え1,000mg/kg以下
吸入(LC50)
(ダスト、ミストの場合)
0.5 mg/L/4hr 以下 0.5 mg/L/4hrを超え1.0 mg/L/4hr以下

LD50:半数致死量といい、試験に使われた一定数の動物の50%を死亡させる薬物の量を、その動物の体重1kg当たりの薬物量(mg)により表します。

LC50:半数致死濃度といい、試験に使われた一定数の動物の50%を死亡させる空気中の薬物の濃度を示します。通常、農薬でmg/Lなどと表わします(ガス状の物質ではppmで表わします)。吸入(LC50、1hr)は、実験動物に1時間吸入させ、50%を死亡させる薬物の濃度を示します。

参考文献
*日本植物防疫協会『農薬概説』

(2017年4月)

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