Japan FRAC

 FRACによる殺菌剤の耐性リスク評価方法を以下にご紹介します。このリスク評価は、新規殺菌剤の開発にあたって、耐性菌対策の必要性を判断する目的で作成されました。農業リスクを地域ごとに設定できるため、地域における耐性菌対策の必要性や優先順位を数値化することにも使用できます。

殺菌剤の耐性リスク評価方法について

1.はじめに
Fungicide Resistance Action Committee (FRAC)は、殺菌剤の耐性リスク評価を過去の事例に基づいて、殺菌剤、病原菌および栽培の3要素から推定する複合リスクにより、耐性菌の発生しやすさを推定している。複合リスクによって、新規に開発する有効成分について、耐性菌対策の必要性を判断することができる。

2.殺菌剤リスク
殺菌剤の系統によって耐性菌の発生程度は大きく異なるので、殺菌剤リスクを高~低に分類している。殺菌剤の耐性リスクについては、FRACコード表に記載がある。

表1 殺菌剤リスク

3.病原菌リスク
特定の病原菌について耐性菌が出現するかどうかを科学的に推定する手法はないので、FRACは過去45年間の耐性菌の発生状況に基づいて病原菌リスクを高~低に分類している。

病原菌リスク

4.栽培リスク
気象条件、栽培品種、栽培方法等の違いによる栽培地域の発病程度の差により、殺菌剤の散布回数は大きく異なる。これにより、耐性菌の発生速度に地域による差が生じる。各地域の発病程度に基づいて、栽培リスクを高~低に分類する。

5.複合リスクの推定
殺菌剤、病原菌および栽培リスクの3要素から構成する複合リスクが図2である。殺菌剤リスクと病原菌リスクの数値を乗じた値に、さらに栽培リスクの数値を乗じて複合リスクを計算する。最大リスクである高殺菌剤と高病原菌リスクの組み合わせにおいて、栽培リスクが高い場合が最も高い複合リスクとなる。

図1 殺菌剤、病原菌および栽培リスクの基づく複合リスク

6.おわりに
複合リスクが高い場合には以下の対応をとる。
1) 散布回数(1年あたり、または1作期あたり) を制限する。
2) 使用時期を制限する (例:予防的に使用する)。
3) 防除対象病害に対して有効な殺菌剤との混合剤の開発を検討する。
4) ローテーション散布を推奨する。
5) 感受性モニタリングを実施して、耐性菌の発生状況を把握する。

引用文献
FRAC code list
FRAC monograph 1, 2
FRAC Pathogen Risk List 2014

耐性リスク評価(PDFデータ)