旬素材の産地から 瀬戸内の島が育む
絶品の国産レモン

一般的に、レモンは料理の脇役です。国産レモンと輸入品では、何が違うのでしょうか。名産地・広島のブランドレモン「大長レモン」を栽培する大崎下島にその答えがありました。

レモンをそのままバリバリ食べる!?

わ!レモンが木になっている

JR広島駅から車で1時間ほど。
瀬戸内海にかかるいくつもの橋を越えて向かったのは、広島レモンの発祥地・呉市豊町。
レモンづくり20年以上の国実さんの畑でお話を伺いました!

わ!レモンが木になっているのを見るの、初めてです!

  • 国実さん
    ちょっと食べてみる?(と言ってレモンをもぎとり、ナイフでスパンッ!と真っ二つ)
    今は旬だからそのままかじっても大丈夫!10月くらいだとまだ若いから皮が固くて厚いんですけどね。

んー、すっぱいけどまろやか!まさにフルーツ!っていう感じのみずみずしさ。そのまま普通に食べられそう。

完熟レモンは中身が黄色い!

  • 国実さん
    国産レモンは安全性ばかりが注目されますが、実際には味も香りも輸入ものとはまったく違います。この前、東京のイベントでみかんとレモンの試食を出したら、みんなおっかなビックリだけどレモンを食べていましたよ。もちろんすっぱいって言う人もいたけど「おいしい!」「全然違う!」と言う人もいっぱいいた。子どもなんて遠慮せずにバリバリ食べてたからね(笑)

香りもいいし…繊細な味ですよね。

  • 国実さん
    輸入品は熟す前に収穫するけど、私たちは完熟してから収穫します。だから糖度が8度前後の輸入品と比べて国産レモンは1-2度高い。これなんか切ったらベタベタするから相当糖度が高いんじゃないかな。味も繊細だけどレモン自体がもともとデリケートな果物なんですよ。寒さに弱いし、病気やカビにもすごく弱い。だから、瀬戸内の雨が少なく温暖な気候が合ってるんでしょうね。

味や香りのほかに、どんなところが繊細なんですか?

  • 国実さん
    レモンの木には、ほら、あんなトゲがあって…あ、刺さると痛いよ!大長レモンは「ビラフランカ」というトゲの少ない品種だけどまったくトゲがないわけじゃないから、風や台風でトゲがレモンの葉や実の表面を傷つけるとそこから菌が入って病気になってしまう。特にやられるのは「かいよう病」かな。

こんなトゲ!つまようじくらいのものもあるとか。

「かいよう病」?

まさにかさぶたみたいです...

  • 国実さん
    実に茶色い斑点ができる病気で、ひどくなるとかさぶたみたいな状態になる。柑橘類の中ではレモンが一番弱いんじゃないかな。
    目に見えない小さな傷でも菌が広がるから厄介でね。トゲがつける傷以外にもハモグリガの幼虫が葉を食べた跡から菌が入ってかかってしまう場合もあって。そうなるともう売り物にならないですね。

デリケートだから、手をかけないと。

ガも襲ってくるんですね。

  • 国実さん
    ハモグリガは成虫ではなく幼虫がやわらかい若芽を食べにくるんです。このときにできた傷が後々病気につながるから、奴らが来ないように芽が出たらすぐ摘んでしまわないと。ガの幼虫なので春先よりあたたかくなる夏前に活動し始めるんですよね。夏以降に出てくる芽は徹底的に摘みますよ!

自分のトゲの傷でやられてしまうくらいだから、ほかにも弱いところがありそうですが。

黒点病。皮だけなので果汁には影響なしですが…

  • 国実さん
    あとは「黒点病」というカビの一種。人間でいうと“そばかす”みたいなものだけど、これも商品価値がなくなって加工品行きになりますね。カビだから湿気の多い時期に風や雨で菌が運ばれて感染する。瀬戸内は穏やかな気候だけど台風もくるから、そうなるともう大変ですよ!

どんな対策をするんですか?

  • 国実さん
    外で栽培する以上、雨風は避けられないので、とにかく先手を打って殺菌剤を散布します。とはいえ、できるだけ農薬を使わずに育てたいんですよ。JAが配布する『防除暦』には使う農薬とそのタイミングが書かれていますが、必ずしもその通りにしなければいけないわけではないので、減らせるなら減らしたい。いま散布するか、もうちょっと先のほうがいいか、この状態なら農薬を減らしても大丈夫かは、こまめに状況を見ていないと判断できないので、子どもを育てるような感じですかね。

防除暦の記載通りに栽培しなくてもいいってことですか?

  • 国実さん
    自然が相手だから、その年やそれぞれの木によって状況は変わりますよね?防除暦は参考ではあるけれど指示書ではないんです。ただ、農薬は効果と安全性の面から「使用基準」が決められていて、守らないと法律違反になる。JAが配布する『防除暦』には、「使用基準」の範囲内でいつ、どのように使えば効果的かが書かれているんです。

レモン畑

法律違反になる使い方をしていないか、どうやってチェックするんですか?

  • 国実さん
    私たち農家は使った農薬とその量や散布したタイミングをすべて記録する「防除履歴」というものをつけていて、防除履歴を見ればその農家がどうやって農作物を育てたかわかるようになっています。農薬ごとに決められている「使用基準」の範囲内で正しく使っているかどうかを確認するために、JAに防除履歴を提出しないと荷受けしてもらえないんですよ。だから防除暦通りに栽培しなくても農作物の安全性は厳しくチェックされているんです。消費者の方たちが国産レモンを選ぶ大きな理由は、何と言っても「安心・安全」ですからね。私たちもその点はプライドと責任感を持って作っています。

レモンは料理を変える名脇役。

木の内側で必死に収穫!

  • 国実さん
    あと、レモンはできるだけ木の外側ではなく内側に実がなるように栽培しますね。外側だとゴツゴツした実になるけれども、内側だと皮がツルッとしていて薄くなるんですよ。でも内側は枝が込み入ってトゲにやられる可能性が高くなってしまうので、枝がクロスした状態にならないようにこまめに剪定しなくちゃいけないんですけど。

想像以上に手がかかってるんですね…。

  • 国実さん
    そう。だからいいレモンができると収穫しながらニヤ~っとしちゃいますね(笑)。栽培し始めたころは勤め人で日曜農家だったので、小さな変化に気づけなかったんです。かいよう病もつけっぱなし。だから初めて作ったレモンは収穫できなかったですね。さっき話した病害虫以外にも、真っ白になる「チャノホコリダニ」真っ茶色になる「ミカンザビダニ」など、ダニも脅威なんです。ダニは発生したらもう手遅れ。とにかく果樹の状態を細かく見ていないとダメってことです。

ぜひ、おいしいレモンの見分け方を教えてください!

いい表情!ニヤ~っとしてます(笑)

  • 国実さん
    まずは表面がツルツルしていてなめらかなもの。手に取ってずっしりくるものは果汁も多いはずですよ。あとは、収穫後何日かしてくると皮がやわらかくなって、中の果汁も増えてきます。指で軽く押して返ってくるような弾力があれば熟した証拠です。

地元独特のレモン料理ってあるんですか?

  • 国実さん
    お酢の代わりにレモンを使った「レモン寿司」という混ぜ寿司がありますね。私たち地元の人間はレモンの香りをたっぷり味わうために多めに絞るんですが、慣れない人に出すときは少なめにするみたいです。個人的には焼き牡蠣に2~3滴レモン汁をたらして食べると「これほどおいしいものはない!」と思います(笑) 。お好み焼きにかけたり、牛乳にレモン1個絞ってヨーグルトのようにして食べたりしてる人もいます。レモンを足すと足さないのとではおいしさがまったく違うんですよ。

広島レモン

料理の脇役じゃなく名脇役ですね!私も試してみます。今日はありがとうございました。

  • レモン 英名:Citrus limon ミカン科 日本全国のレモンの生産量約9,438トン(平成21年産)のうち、広島県は5,542トン。広島県産のレモンは、呉市、尾道市などの島しょ部を中心に生産され、日本一の生産量を誇っています。「大長レモン」を扱うJA広島ゆたかでは、最盛期に収穫したレモンをP-プラスという特殊素材の袋に入れ、防腐剤を使わない国産レモンの鮮度を半年以上保つ方法を開発。年間を通じて国産レモンを求める消費者の声に応えています。

    参考:広島県ホームページ

  • レモン

国実さんの栽培スケジュール

枝と枝が交差しないように剪定します。

花が落ちそうな時期から殺菌剤をまきます

殺菌剤をまきます

様子見ながら新芽をつみ、7月中と8月20日前後に殺菌剤をまきます

直径55mm以上になった実から収穫!